人間が作業を行なう場合,大部分の情報は視覚によって得られるのであり,したがって疲労判定に視覚系の機能変化を測定する方法が古くからよく用いられる.
本報告は眼の臨界交照数(ちらつき値,F. V.と略称)測定器を用いて照明工学分野における明視条件とF. V.の関連性を2,3考察した.もとよりF. V.による疲労測定については種々異論もあるが,被験者によるF. V.の差異,測定回数,測定器の種類,測定環境などを一応考慮した実験結果ではつぎのような傾向がある、
1) F. V.は視力に対応し,F. V.低下は視覚系の疲労に関連する。
2) 目の順応の不平衡は目の疲労となってあらわれる.この不平衡をなおすような光刺激を適当に外部から与えると回復現象を生ずるように思われる.この現象は実際のF. V.値測定にあたって考慮する必要がある.
3) けい光灯照明下における白黒視対象に対する作業では色温度の低いけい光放電管を選んだほうがF. V.低下が少ない.
4) F. V.は明るさま,ぶしさ,視野内の輝度分布などにも対応する.
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