けい光放電管の配光が, ほゞ完全拡散, 輝き一様な線分光源のそれと見られることは, 周知の事実であり, またこれより, やゝ外れることも, かなり広く知られている所である. 関重広氏は これをけい光体から出る時は完. 全拡散であるのが, ガラス管による屈折のため配光が変形するものと説明しておられるが, 元来, 完全拡散というものが, 自然現象を扱う場合の便宜から来た仮定であると思えば, 不完全拡散の方が本来の姿でもあろう. こう考えたら, これを解析的に扱うには適当な実験公式がほしい. かつて故池田進三氏が測定した結果があり, これが日本最初のものと思われるが, これについて既に完全拡散から外れていることが認められ, これに対し山内二郎氏のいわゆる高次の拡散の式も試みられた. しかし単一項のみでは不十分であった. 戦後知った所ではEinborn, Sauerman両氏が完全拡散と2次の拡散とを組合せて解析し, 二, 三の結果を得ている. 一方, けい光放電管は長い光源であり, かつ輝きが低いので, 測光距離が比較的短くならざるを得ず, 従って逆2乗法則からの外れの誤差が入り, しかもその誤差が方向によって変化することも考えられるので, 測光距離によって見掛けの配光が変るわけである.
以上の二つ, すなわち完全拡散からの外れと, 逆2乗法則からの外れとにより, けい光放電管の見掛けの配光は決して円にはならない. これを計算と実験とから研究し, またこれに関連する二, 三の問題につき研究の上, これらを先入の業績と比較して見たい.
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