いわき市における老健法による乳癌検診の成績について報告した。1988~1994年までの7年間に集団・施設検診を合わせて延べ51,392名の受診者があり, 受診率は10.4%であった。要精検者は2,084名 (要精検率4.06%) で, 1,563名 (精検受診率75.0%) が精検を受けた。59例の乳癌が発見され, 発見率は0.11%であった。初回受診者の発見率は0.17%で, 繰り返し受診者の発見率0.08%の約2倍であった。年齢別の発見率では50歳以上の高年齢層に高くなっていた。TNM分類ではTis2例, Stage I20例, Stage II30例, Stage III a7例であったが, TisとStage Iを合わせた早期例は22例 (37.3%) と不満足な結果であった。発見乳癌59例のうち, 腫瘤の自覚例が41例, 乳頭異常分泌の自覚例が3例あったが, この有症状者の多いことが早期例の少ない理由の1つと考えられた。今回の検診結果から, いわき市の乳癌検診の問題点と今後の課題について検討した。
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