乳房超音波検診では,日本乳腺甲状腺超音波診断会議(JABTS)におけるカテゴリー3病変が高率に検出される。これらは精査機関で,経過観察でよい3a病変と組織学的検索が推奨される3b病変とに細分化されるが,Bモード法のみでは両者の鑑別は困難なことも多い。われわれは検診カテゴリー3の腫瘤像形成性病変の精査に際し,エラストグラフィを加えることで,穿刺の要否を簡便に判断できるのではないかと考えた。エラストグラフィスコアによる評価と穿刺細胞診・針生検結果による良悪性の結果との対比,さらにエラストグラフィで良性と判断された病変の経過観察後の超音波所見の変化の評価を行い,エラストグラフィによる穿刺の要否の判定について検討を行った。対象は検診カテゴリー3と診断され,細胞学的に良悪性の診断のついた腫瘤像形成性病変117病変である。エラストグラフィスコアは1・2・3・4がそれぞれ18 (15.5%),75 (63.8%),17 (14.7%),7 (6.0%)病変であった。細胞診,針生検での結果は良性が114病変,悪性は3病変であり,悪性病変のスコアは3が1病変,4が2病変であった。初回のスコアが1,2を示し,細胞診で良性と診断された20病変の1年の経過観察では14病変(70%)が不変,3病変が縮小,3病変は消失した。エラストグラフィスコア1,2の症例には経過観察を行い,3以上の病変を穿刺の対象とするとよいと考える。
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