J-START の結果も公表され,今後,マンモグラフィ(MG)・乳房超音波(US)併用検診の開始に期待が高まっている。併用検診を開始するにあたって,一番重要なことは「総合判定」を実施することである。総合判定とはMG とUS の結果を総合的に判定して,「要精査」とするのか,「精査不要」とするのかを決定する方法である。
総合判定の実施方法として「同時併用方式」と「分離併用方式」がある。MG を参照しながらUSを実施する「同時併用方式」の方が腫瘤などの確認ができるので精度は上がる。その受診者が高濃度乳房(dense breast)であるかどうかの確認もできる。しかしながら,人的な問題,施設・出張の環境などの問題で同時併用はできないこともある。「分離併用方式(MG を参照せずにUS を実施する方法)」であっても総合判定をする価値はあるので,実現可能な方法で導入してほしい。また同じ施設で両者を実施,判定する「一施設方式」と違う施設で実施,判定する「二施設方式」がある。各地方の特性により方法はさまざまであると思われるが,それも現行の方式に従い,導入しやすい方法で実施することが重要である。一番の障害になると思われるのが,報告書である。報告書が紙である場合には総合判定の用紙を追加する,あるいは総合判定の欄を追加するという簡単な作業で実施できるが,コンピュータを用いたレポーティングシステムの変更は予算も必要となり,難しい側面もある。しかしながら,その改良により円滑な検診実施が可能になるので,是非取り組んでいただきたい。われわれの施設のレポーティングシステムを紹介し,今後導入される施設の参考にしていただきたい。
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