本研究の目的は, 出生後早期および生後1か月時点において, 児の泣き声を聞いたとき, 母親がどのように感じ, どのように考えて行動しているかという “児の泣き声に対する母親の反応” を明らかにすることである.
石川県内の出産施設で出生した正常な新生児をもつ母親16名を調査対象とし, 児の泣き声に対する母親の受け止め方について, 半構成的に面接を行い質的に分析した.その結果, 新生児の泣き声に対する母親の反応には, 以下の6つのカテゴリーがあげられた.そのカテゴリーとは,【感情・情動反応】,【認知的反応】,【泣きの解釈】,【児の要求を満たすための行動】,【児の泣きに対する思い】,【児の性格・気質の感じ取り】であった.このうち,【感情・情動反応】には, 児の泣き声を聞いたときの『母親の気持ちの安定性』,『母親役割意識』,『泣きの特徴からみた児の気質』,『前回の授乳時間からの時間経過』が関与していた.また【泣きの解釈】には『時間経過』と『泣きの特徴』が関与していた.
本研究の結果より, 出生後1か月ごろまでの児をもつ母親の心理的な状況と母親を支援する方向示唆された.
抄録全体を表示