日本助産学会誌
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14 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 坂井 明美
    2000 年 14 巻 2 号 p. 1
    発行日: 2001/02/05
    公開日: 2010/11/17
    ジャーナル フリー
  • 夫の反応, 妊娠への思い, 性生活への思いに焦点を当てて
    竹ノ上 ケイ子, 佐藤 珠美, 松山 敏剛
    2000 年 14 巻 2 号 p. 5-17
    発行日: 2001/02/05
    公開日: 2010/11/17
    ジャーナル フリー
    流産後の女性49名に対して文章完成法を用い, 妻の目から見た夫 (パートナー) の反応, それが妻に与えた影響, 妊娠への思い, 性生活への思いについて, 直後, 3か月後, 6か月後の縦断的調査を行い, 次の結果を得た。
    1.多くの夫が驚き, ショックを受け, 悲しんでいる様子が妻によって記述された。
    2.半数以上の妻が, 夫が自分と悲しみを共有してくれた, 思いやってくれた, 支えてくれた, と記述した。一方で, 夫への怒りや反感, 気持ちのずれ, 申し訳なさや無力感, 寂しさ, 妻のほうが落ち込む夫を思いやり慰める例もみられた。
    3.夫が自分と悲しみを共有してくれる, 思いやり, 支えてくれると感じられると妻の悲しみは軽減し, 癒されていた。反面, 夫は思いやりがないと感じた妻は夫への怒りや反感, 気持ちのずれを感じていた。
    4.1~3の結果から, 夫の反応は妻の悲嘆を進める方向へも滞らせる方向へも影響すると考えられた。
    5.流産を機により良い関係, より親密な関係を創りあげたカップルがあった。
    6.妊娠を肯定的にとらえている妻が多かった。同時に, 人知を超える難しい出来事, 肯定と否定の混在, 妊娠や流産への不安を記述した人も多かった。これらは時間経過とともに, 妊娠しないことへの焦りや落胆, 無事出産した人への羨望などに変化していた。
    7.性生活の再開について喜びや幸福感を記述した人は少なく, 身体回復への不安, 次の妊娠や流産への不安を抱きながら性生活を再開している人が多かった。これらの結果から, 医療者は, 妻単独でなく, カップル双方が当事者であるという認識をもち, 夫婦両方の流産後の心理や相互関係を理解し, 流産後1~3か月後に心理面のチェックを行い, 性生活への不安, 次の妊娠や妊孕性喪失への不安の除去を含めたカウンセリングや指導教育が必要であることが示唆された。
  • 長岡 由紀子
    2000 年 14 巻 2 号 p. 18-27
    発行日: 2001/02/05
    公開日: 2010/11/17
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 不妊治療中の女性の抱えている悩みと取り組みを明らかにし, 自尊感情との関連を探ることである。不妊治療を受けている既婚女性に研究者作成による自記式質問紙調査を依頼し, 604名から回答を得た。結果は以下のとおりである。
    1) 因子分析の結果, 不妊治療中の悩みは5因子が抽出され,「第1因子: 不妊であるがゆえの傷つきやすさ」「第2因子: 妊娠に関する不確かさ」が不妊女性にとって特徴的な悩みであった。
    2) 悩みに対する取り組みも5因子が抽出され,「第I因子: 不妊の経験から新しい価値を見いだす」「第IV因子: 気楽に構える」などの前向きな取り組みが特徴的であった。
    3) 自尊感情得点は平均的であったが, 低得点の女性も16.22%認められた。重回帰分析の結果, 自尊感情に最も影響する取り組みは「内向的・感情的に対処する」であった。
    不妊女性はさまざまな悩みを抱えつつも自分なりのやり方で取り組み, 時には不妊を肯定的な体験に変えていくという側面をもっていた。さらに, 個々の対象がどのような悩みを抱え, どのように取り組んでいるかを把握することの重要性が示唆された。
  • 吉田 安子
    2000 年 14 巻 2 号 p. 28-38
    発行日: 2001/02/05
    公開日: 2010/11/17
    ジャーナル フリー
    本研究は, 分娩期に出現する嘔吐と分娩進行との関連に焦点をあて, その実態を調査したものである。目的は, 嘔吐の出現と分娩進行との関連を明らかにすることである。対象者は低リスク初産婦37名, 研究者が分娩中産婦を受け持ち, 観察ガイドに従い観察を行った。その結果, 対象を嘔吐あり群, 嘔吐なし群に分類して比較検討し, 嘔吐あり群の嘔吐出現状況と分娩の進行について分析を行い, 次の点が明らかとなった。
    1) 低リスクの初産婦17名 (46%) に嘔吐が出現していた。
    2) 嘔吐は分娩各期において子宮収縮が強くなった時に出現し, 食事摂取後3時間以内, 子宮口開大3cmの時に出現する傾向にあった。
    3) 子宮頸管熟化の良好な産婦が嘔吐した場合, 分娩進行は初産婦にしては速い経過をたどった。分娩進行が早くなると予測される産婦に対し, 進行状況に関する情報を与え, 産婦自ら身体のコントロール感をもてるようなケアが必要である。
    4) 子宮頸管熟化の不良な産婦が嘔吐した場合, エネルギーを喪失し心身共に疲労を来し, 続発性微弱陣痛となり分娩が遷延した。このような産婦に対し, 早期に不安の除去, 食事摂取の配慮, 疲労の緩和を行い, 産婦の生理機能が最大限に生かせるようなケアが必要である。
  • 立岡 弓子
    2000 年 14 巻 2 号 p. 39-47
    発行日: 2001/02/05
    公開日: 2010/11/17
    ジャーナル フリー
    正期産で健康な児を出産した129名の母親を対象に, 産婦の分娩時ストレス状態について, 分娩ストレス因子・身体的条件・ストレス感受性・性格から多次元的に評価し, 初乳中の分泌型IgA (Secretory IgA: S-IgA) 濃度との関係を検討した。初乳中S-lgA濃度は, 最小値13mg/dl, 最大値5860mg/dl, 平均値1223mg/dl, 中央値621mg/dlと大きな個人差がみられた。ストレスを感じやすく, 産後の性格傾向が不安定であり分娩時のストレスを強く受けた母親から分泌された初乳中S-IgA濃度が, ストレスを感じにくく, 性格傾向も安定しており分娩時のストレスも少なかった母親から分泌されたものよりも, 有意にその濃度が高かった。
  • 岡村 晴子
    2000 年 14 巻 2 号 p. 48-58
    発行日: 2001/02/05
    公開日: 2010/11/17
    ジャーナル フリー
    正常分娩経過中の体温変動パターンと分娩経過の特徴を明らかにすることを目的に本研究を行った。深部温モニターを使用し, 経腟分娩の産婦33例の中枢 (前額)・末梢 (足背) 深部温を継続測定した。その結果, 主に3つのパターンが確認された。
    1.「中枢・末梢ともに下降」グループ;このグループの分娩経過は, 静かに経過し確実に進行するという特徴があった。
    2.「中枢上昇・末梢下降」グループ;このグループの分娩経過は, 痛みの訴えの強い緊張タイプという特徴が認められた。
    3.「中枢・末梢ともに上昇」グループ;このグループの分娩経過は, 子宮口の開大が停滞したり, 努責時間が長いなどの運動量の多い特徴があった。
    以上より, 分娩進行中には体温変動がみられ, タイプ別の助産授助を考える必要が示唆された。
  • 野口 眞弓, 堀内 成子, 三橋 恭子, 多賀 佳子
    2000 年 14 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 2001/02/05
    公開日: 2010/11/17
    ジャーナル フリー
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