日本外傷学会雑誌
Online ISSN : 2188-0190
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ISSN-L : 1340-6264
35 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著
  • 澤田 悠輔, 今井 諭, 青木 誠, 大嶋 清宏
    原稿種別: 原著
    2021 年 35 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2021/01/20
    [早期公開] 公開日: 2020/11/25
    ジャーナル フリー

     【目的】本邦の病院前外傷診療の活動指針であるJapan Prehospital Trauma Evaluation and Care™ (JPTEC™) に基づいたJPTEC™ファーストレスポンダー (FR) コースは, 本来, 非医療従事者対象であるが, 短時間で外傷診療の要点を学習できるため, 我々は医学生の臨床実習の一環としてFRコースを定期的に開催している. 今回, 医学生の外傷教育におけるFRコースの有効性を検証した. 【対象】2018年5月から11月までに当院救命救急センターで臨床実習を行った医学科5年生73名. 【方法】FRコース受講前後で, 外傷診療に関する自己評価についてのアンケート調査を行い, 統計学的解析を行った. 【結果】多くの医学生がFRコースを好意的に評価しており, 指導内容に高い満足度を得ていた. また, 基本手技や状況評価, 生理学的・解剖学的評価についても正しくできるようになったことが明らかになった. 【結論】FRコースは, 医学生に対する外傷教育のツールとして有効性が高いことが示唆された.

症例報告
  • 矢嶋 尚生, 澤田 悠輔, 青木 誠, 村田 将人, 沼尻 一樹, 中澤 世識, 矢島 俊樹, 調 憲, 徳江 浩之, 大嶋 清宏
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 35 巻 1 号 p. 8-11
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2021/01/20
    [早期公開] 公開日: 2020/11/25
    ジャーナル フリー

     胸部刺創による左横隔膜損傷に対し, 胸腔鏡を先行させた開胸アプローチによる横隔膜修復術を行い救命した1例を経験したので報告する. 症例は60歳代男性, 左頸部と左胸部をナイフで刺され, 前医へ救急搬送された. CT検査で左横隔膜損傷を認めたため, 精査加療目的に当院へ救急搬送された. 身体所見・CT検査所見では腹腔内臓器損傷を疑う所見は認めなかったため, 開胸アプローチによる左横隔膜修復術を施行した. 術後経過は良好で, 第14病日に独歩退院となった. 胸部の穿通性外傷による横隔膜損傷では, 腹腔内臓器損傷を疑う所見がなければ, 手術操作のしやすさや術後合併症の減少という観点から胸部アプローチを検討すべきである.

  • 今本 俊郎, 福島 亮介, 高見 尚平, 川島 寛, 細川 崇洋, 小熊 栄二, 植田 育也
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 35 巻 1 号 p. 12-15
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2021/01/20
    [早期公開] 公開日: 2020/11/25
    ジャーナル フリー

     バイタルサイン安定で造影CT上活動性出血を認めない肝損傷は出血に対する戦略として非手術療法 (NOM) を選択する. NOMとした入院翌日に被膜下血腫が破綻し循環動態が不安定になったため肝動脈末梢の仮性動脈瘤に対してTAE (transcatheter arterial embolization) を要し受傷9日目のCTでも前回と異なる部位に仮性動脈瘤を認め再度TAEを要した小児例を経験した. 小児のI型肝損傷はCTで血管外漏出像を認めなくても積極的に血管造影で評価することが必要かもしれない.

  • 宮﨑 誠司, 栩木 愛登, 松下 俊介, 猪狩 純子, 新井 晶子, 阿竹 茂, 河野 元嗣
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 35 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2021/01/20
    公開日: 2021/01/20
    [早期公開] 公開日: 2020/12/10
    ジャーナル フリー

     症例は58歳男性. 荷物の落下により左胸部を受傷し, 来院時に胸郭の動揺を認めた. 精査にて胸骨骨折, 多発肋骨骨折, 左血気胸等を認め, 胸骨骨折が動揺胸郭の主因と考えられた. 第1病日に酸素化の悪化を認め, 経口気管挿管による内固定を行ったが抜管には至らず, 第20病日に胸骨骨折に対しロッキングプレートを用いた固定術を施行した. 術後1日目で人工呼吸器を離脱し, 独歩退院となった. 胸骨骨折の多くは保存的治療で軽快し手術となることはまれである. 本症例では手術により良好な転帰を得た. 胸骨骨折に呼吸不全を伴う場合や転位の大きい場合には, 呼吸状態の改善, 疼痛の軽減を目的として, 積極的に胸骨固定術を検討すべきである.

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