【目的】JTDB (Japan Trauma Data Bank) データを用いて医療リソース消費のひとつである院内ベッド占有を軸として, 外傷症例の解析を試みた. 【方法】2004~2010年にJTDBに登録された症例を対象に, 入院先病棟ならびに入院後の転床・転院ルートを区分し, 重症度と入院日数を比較した. 【結果】60,580症例のうち初療後にICUに入院し, ICUから一般病棟と転床した症例は9,564症例あり, うち3,517症例が他院転院, 5,579例が退院となった. 一方, 一般病棟に転床せず直接転院, あるいは退院の転帰をとった症例は, それぞれ6,217症例, 9,444症例であった. 重症度 (ISS) とICU滞在日数は相関した. 3日以内の死亡が5,856例 (死亡例の68.0%) を占めた. 【考察】一般病棟に転床できない症例で特にICU滞在が長く, 救急医療における医療リソースを消費していた. 救命センターの出口問題の改善, あるいは救命救急入院料加算期間に関する改訂が望まれる.
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