多発肋骨骨折 (MRF) は若年者から高齢者まで頻発する外傷で, 骨折本数と形態が生命と合併症に影響し, 生活の質にも影響する重大な健康ハザードである. MRFに対する手術治療 (SSRF) は過去約100年間, 散発的に議論されたが, 非手術的治療が推奨されてきた. しかし21世紀に入り画像検査と手術器具の発達に伴い, SSRFの有用性を強調する論文が急増している. 今回, 過去20年間にSSRFを行った自験62例 (66胸郭) を10年ずつ2期に分け (16 : 46例), 短期治療成績を比較検討した. 後期では, より幅広い年齢に手術を行い (p=0.022), 固定数に差はないが (p=0.839), より早期に手術を行い (p=0.028), 術中出血量減少 (p<0.001) と, 早期呼吸器離脱 (p=0.042) ・胸腔ドレーン抜去 (p=0.004) を果たせていた. 本論文では併せてSSRFの利点・欠点について文献的考察を加えて報告する.
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