【目的】両側椎骨動脈損傷を伴う頚椎損傷に対して, 頚椎損傷の整復・手術操作前に新規脳梗塞を防止するため椎骨動脈損傷に積極的な血管内治療を行うことが妥当か検証した. 【対象・方法】両側椎骨動脈損傷を伴う頚椎損傷手術症例を対象とし, 頚椎損傷・椎骨動脈損傷の部位, 分類, 治療法, 有害事象, 予後を調査した. 【結果】対象は5例で, 頚椎損傷部位は全例C5-7で, 全例に頚椎後方固定が行われた. 椎骨動脈損傷 gradeは両側grade IVが3例, 2例はgrade IVとIもしくはIIの合併だった. 4例のgrade IV損傷部にコイル塞栓が行われたが, 1例は行われなかった. コイル塞栓を行った4例のうち1例のみ小さな新規脳梗塞が発生したが, 行われなかった1例は脳幹・小脳梗塞から死亡退院した. 【結語】側副血行路が保たれていると判断されれば両側椎骨動脈損傷を伴う頚椎損傷にも積極的な血管内治療の適応があると考えられた.
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