日本外傷学会雑誌
Online ISSN : 2188-0190
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ISSN-L : 1340-6264
32 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
臨床検討
  • 小林 由香, 内山 善康, 鵜養 拓, 齋藤 育雄, 渡辺 雅彦
    2018 年32 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル フリー

     目的 : Gustilo分類type III Bの下腿開放骨折に有茎筋皮弁を施行した臨床結果を調査し, 術前の評価結果から, 有茎筋皮弁を適応としたことが妥当であったかを検討することである. 対象と方法 : 2011〜2015年に受傷した8例で, 男7例, 女1例, 20〜72歳. AO軟部組織損傷分類とGanga Hospital Open Injury Severity Score (GHS) で評価を行った. 結果 : デブリードマン後のAO軟部分類は, 筋腱損傷はMT1 (筋損傷なし) が1例, MT2 (1区画損傷) が5例, MT3 (2区画損傷) が2例であった. GHSのfunctional tissuesは, 1点 (筋体部分損傷) が1例, 2点 (縫合可能な完全損傷) が5例, 3点 (縫合できない筋体損傷) が2例であった. 自験例はMT3とfunctional tissues : 3点と評価した, 腓腹筋弁の1例と腓腹筋ひらめ筋弁の1例に壊死を認めた. まとめ : 下腿開放骨折における有茎筋皮弁の適応は, 下腿後面に筋損傷がないMT2 : 1区画損傷まで, functional tissues : 2点までの筋体損傷であった.

  • 大塚 洋幸, 平良 隆行, 佐藤 俊樹, 青木 弘道, 山際 武志, 中川 儀英, 猪口 貞樹
    2018 年32 巻1 号 p. 9-13
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル フリー

     【背景】Multi-detector computed tomography : 以下MDCTにより鈍的横隔膜損傷 (Blunt diaphragmatic injury : 以下BDI) の画像診断率は明らかに向上したが, 未だに診断困難例は存在すると考えられる. MDCTによるBDI診断の限界を横隔膜損傷 (Diaphragmatic injury : 以下DI) の大きさと対比して明らかにした. 【方法】2006年1月から2015年12月までに当院で術前MDCT施行後に手術したBDI 15例を対象として, その臨床的特徴, 術前診断率, DI所見などを後方視的に検討した. 【結果】平均年齢は48歳, 性別は男性66.7%, 交通事故が主たる受傷機転であった. 手術所見でDIの大きさ (cm) は13.1±9.1 (範囲1.0-33.0) でヘルニアは11例に認められた. ヘルニアのないDIの大きさ7.0と10.0の2例は術前診断できたが, 1.0と3.0の2例は術前診断できなかった. 術前診断率は86.7%. 【結語】MDCTでもヘルニアを伴わない小さなBDIの診断は難しい.

症例報告
  • 河野 文彰, 田代 耕盛, 中尾 大伸, 森 浩貴, 市来 伸彦, 緒方 祥吾, 遠藤 穣治, 池田 拓人, 武野 慎祐, 中村 栄作, 金 ...
    2018 年32 巻1 号 p. 14-19
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル フリー

     症例1 : 63歳男性, 転落外傷症例. 来院時にショックバイタルでFAST陽性であったため緊急開腹止血術が施行された. バイタルの安定後に胸腹部CTを施行し胸部大動脈と腎動脈の損傷を認めた. 腎動脈のTAE後に大動脈ステントグラフト内挿術を施行した. 術後に大きな合併症なく退院となった. 症例2 : 68歳男性, 交通外傷症例. 胸腹部CTで腹腔内の遊離ガス像と液体貯留, 左外腸骨動脈の閉塞, 胸部大動脈損傷を認めた. 下肢の動脈バイパス術後に開腹術で止血術と消化管・動脈修復術を行った. その後に大動脈ステントグラフト内挿術を施行した. 術後に下肢の虚血再還流障害が生じたが後遺症なく退院となった. 外傷性胸部大動脈損傷は, 腹部臓器損傷も生じることが多くdecision makingが重要である. 胸部大動脈損傷に対するステントグラフト内挿術は, 多発外傷症例に対する低侵襲かつ有効な術式と考えた.

  • 原 真也, 山本 祐太郎, 山崎 浩史, 西山 謹吾, 松岡 永, 谷田 信行
    2018 年32 巻1 号 p. 20-25
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル フリー

     近年, 人工呼吸期間やICU滞在日数の減少において, フレイルチェストに対する胸郭固定の有用性が報告されている. 当院でも積極的に胸郭固定を行っているが, 固定用デバイスとしてチタン製の下顎骨用ロッキングプレート (Matrix MANDIBLEm®, DePuy Synthes社) を用いている. 最近2年間に当院で胸郭固定を行ったフレイルチェストの4例 (多発肋骨骨折3例, 胸骨骨折1例) について臨床的検討を行った. ロッキングプレートは人工呼吸器から早期に離脱しうるだけでなく, 胸郭の確実な固定と再建が得られ有用であった.

第31回日本外傷学会総会・学術集会 パネルディスカッション
「本邦における外傷センターの整備」
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