[目的]北海道における放射線診療の地域的な不均一性を評価するために、ローレンツ曲線とサンプル数(2次医療圏数)で補正された地域集中化Gini係数(以下、補正Gini係数)を用いて分析を行った。[方法]分析対象はCT、MRI、放射線治療装置などの放射線機器及び、医師、放射線科医、放射線技師など医療従事者とした。調査地域は北海道全域とし、分析は人口を基準としたもの及び、外来患者数を基準としたものの双方で推計を行った。[結果]分析の結果、医師数と放射線技師の人口を基準とした補正Gini係数はそれぞれ、0.130、0.112でありほぼ均一であったが、放射線科医は0.361であり不均一であった。同様に、人口を基準とした推計では、CTやMRIなど画像診断機器は北海道全域で均一に分布していたが、放射線治療機器は不均一であった。外来患者数を基準としたものでは、医療従事者および放射線機器の双方において、人口を基準にしたもの以上に補正Gini係数が大きくなった。[考察]医師・放射線技師および画像診断機器がほぼ均一に普及している理由として、医療機関間・医師間の不明確な役割分担、患者の大病院指向が考えられた。また、放射線治療機器および放射線治療医においては、その診療の特殊性によるものと考えられた。今回の分析の問題点として、放射線治療機器など導入が少ない機器ではローレンツ曲線が歪むこと、人口密度が考慮されず北海道の地域性が十分に反映されていないこと、などが挙げられた。
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