医療経済研究
Online ISSN : 2759-4017
Print ISSN : 1340-895X
33 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
巻頭言
特別寄稿
  • 今村 知明
    2022 年33 巻2 号 p. 71-78
    発行日: 2022/03/16
    公開日: 2025/01/29
    ジャーナル オープンアクセス
  • 小池 創一
    2022 年33 巻2 号 p. 79-89
    発行日: 2022/03/16
    公開日: 2025/01/29
    ジャーナル オープンアクセス
    A declining birthrate and aging population have brought about a declining working-age population in Japan. As the working population declines, work style reforms to meet diversifying needs of workers such as redressing long working hours and improving productivity, balancing between childcare / long-term care and work, engaging women and elderly in work, redressing disparities between permanent and non-permanent staff, become more important. These formed the background for the legislation of the Act on the Arrangement of Related Acts to Promote Work Style Reform in 2018. Under this law, a new system that places an upper limit on working hours and the advanced professional system was established in 2019. However, for physicians, labor regulations are needed that pay particular attention to their special requirements such as the obligation to attend to patients as well as other special circumstances; the regulation of the upper limit on working hours was to be postponed enacted in 2024. In the meantime, specific regulations and efforts to shorten working hours, with the aim of realizing new high-quality medical care and working styles in the medical field, were discussed with the participation of the relevant medical community. In this article, I would like to outline the discussions of the national panel on Promote Work Style Reform of Physician, summarize the proposed regulation under current discussion, and examine remaining issues to be considered.
研究論文
  • 白根 友哉
    2022 年33 巻2 号 p. 90-108
    発行日: 2022/03/16
    公開日: 2025/01/29
    ジャーナル オープンアクセス
    「令和 2 年版救急救助の現況」によると、自動体外式除細動器(AED)によって救命された病院外心停止(OHCA) 患者の生存率は除細動が実施されなかった場合に比べて 4.5 倍高かった。一方で AED 除細動の実施率の低さは課題 であり、OHCA に対する一般市民による実施率は 5.1%であった。そんな中、無人航空機(ドローン)は医療機器等 の配送手段としても注目されてきており AED の運搬にも適用への期待が高まっている。そこで本研究の目的は、日 本の地域をモデルとして AED ドローンネットワークを構築した場合の費用対効果評価を分析することである。  茨城県内の消防署を基地局と想定し 2008 年から 2012 年におけるウツタインデータを用いて決定樹モデルによる 分析を行なった。基礎的な人口動態については国勢調査を利用し jSTAT MAP を使用してデータ分析を実施した。費 用はネットワーク構築初期費及び維持整備費、ドローン購入費及び整備費、モバイルデータ通信料及びパイロット人 件費とし、割引率は年 2.0%とした。   モデル分析によるベースケースでは気象条件及び人口カバー率も考慮し、AED ドローンが利用できる環境では 254.05QALYs が追加便益として得られた。追加費用合計は 1,632,527,863 円となり、ICER は 1QLAY あたり 6,425,928 円であった。感度分析として除細動実施における 1 ヶ月後生存の確率を 0.350、0.411、及び 0.550 と 設定し、AED ドローン除細動実施の確率を 0.20 から 0.90 の幅で移動させた結果、ICER はそれぞれ 18,432,545 円から 4,096,121 円、15,004,541 円から 3,334,342 円、及び 10,538,521 円から 2,341,893 円であった。 本モデルのベースケースは中央社会保険医療協議会が示す「価格調整を必要としない ICER」である 500 万円を超 え、費用対効果に優れているとは言えない結果となった。しかし AED ドローン運用の工夫等による除細動実施率の 向上、技術革新等による費用抑制や雨天飛行の実現、据置型 AED 台数削減効果、パイロット兼業化の可能性等を考 慮すると、AED ドローン導入について検討する価値は高いと示唆された。今後は AED ドローンの有効性及び安全性 が担保されるに従って法整備等の議論を加速させ、ネットワーク構築に向けた準備の進展が望まれる
基調講演
シンポジウム
  • 岩本 康志
    2022 年33 巻2 号 p. 109-133
    発行日: 2022/03/16
    公開日: 2025/01/29
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、新型コロナウイルス感染症の予防策に対する経済学の貢献として、(1)健康と経済のトレードオフを明確にして、費用対効果の高い対策を実行すること、(2)人々の行動を理解すること、の 2 つの視点の重要性を指摘する。 経済学者が描いたトレードオフのなかでどこを選択するのかは、政策決定者の役割である。対策がかならずしも効率的でない(効率性フロンティア上にない)場合は、経済学では改善を示唆できる。  対策のなかでとられた個人の行動制限と事業者の営業制限では、健康と自由のトレードオフが問題となる。法的強制力がなく要請に基づく活動制限を成功させるには、「人々はなぜ(利己的行動ではない)制限の要請に応じるのか」、「人々はなぜ制限の要請に応じなくなったのか(なぜ緊急事態宣言の効果が弱まるのか)」の 2 つの問いを考える必要がある。その際、「利他的行動の費用が高くなれば、利他的行動はとられなくなる」という経済学の視点が重要になる。  実際の対策は、この 2 つの問いの背景にある、人々の行動を理解していないことから問題を生じさせていると思われる。対策の運用は、対策に協力する費用を高めることで、人々の協力を失わせる方向に働いた。そして、法改正で罰則を導入することで、利己的動機によって協力を担保しようとしたが、このことは逆に人々の利他的行動を阻害し、社会秩序を棄損するおそれがある。
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