超臨界流体は適度な溶解力と高拡散係数・低粘性という特徴をもち, その物性を温度・圧力によって広範囲に制御できる新しいタイプの溶媒である. 最近になって, これらの溶媒特性は溶質分子の周りに集まってくる溶媒 (超臨界流体) 分子のクラスタ構造 (溶媒和) に起因すると考えられるようになってきた. 本稿では, まず超臨界流体の示す溶媒特性のうち, 溶解度・クロマト分離特性・吸着平衡を取り上げてその特徴を示し, 次に, 超臨界流体中のクラスタ形成に関する実験事実とクラスタサイズに関する理論を述べる. また, 分子シミュレーションを用いた超臨界流体の溶媒特性に関する最近の研究を紹介する.
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