シリコン単結晶成長における熱物質輸送過程の一つである, マランゴニ対流を記述するために必要な溶融シリコンの表面張力とその温度係数を, 無容器電磁浮遊を用いた液滴振動法によって測定することを試みた. 半導体シリコン結晶を溶融・浮遊するためにBもしくはSbをドープして比抵抗を1×10
-4Ω・m程度まで小さくした試料を用いた. 300Kの過冷却状態を含む広範な温度領域で測定することに成功し, 融点における表面張力の値として783.5×10
-3N・m
-1を得た. 測定誤差は3-4%であった. 表面張力の値は添加不純物によらず1本の直線に乗っており, 温度係数は-0.65×10
-3N・m
-1・K
-1であった. 2次イオン質量分析法を用いて, 溶融前後の試料におけるB, SbおよびOの含有量を調べた. SbおよびOは加熱溶融によって蒸発したことが判明した. 測定された表面張力とその温度係数は, 汚染のない状態におけるシリコン融液の値に相当すると結論できる. 微小重力状態を利用した表面張力測定の可能性を調べるために, 航空機の放物線飛行により得られる微小重力状態を利用し, シリコン結晶の溶融・浮遊を試みた.
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