土木計画学研究・論文集
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14 巻
選択された号の論文の108件中51~100を表示しています
  • 屋外における面積効果による「みかけの色」について
    皆川 朋子, 島谷 幸宏
    1997 年 14 巻 p. 459-465
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    土木構造物のような屋外の構造物の色彩計画を行う場合、屋外の光の条件の下でどのように見えているか、また、面積効果はどのように現れるか等の色彩の認知特性は考慮すべき重要な項目であると考えられる. 本研究では、屋外における面積効果による「みかけの色」について、試料の大きさ、光の条件、色をパラメータとして測定を行い、以下の結果を得た.
    (1) 面積が大きくなるほど、直射日光 (夏及び春) 下では、「みかけの色」は変化し、明度、彩度が上昇する.(最大で明度は2.5、彩度は6上昇する.) 晴天光下では変化は小さい.
    (2) 直射日光下における「みかけの色」の変化は明度・彩度により傾向がみられる. 変化の傾向として2パターンを示した.
    (3) 屋外の直射日光下における面積効果による「みかけの色」の変化は従来知られていた室内実験の結果と比べるとはるかに大きい.
    (4) 直射日光下 (春) において、1日の時間変化による照度の変化と「みかけの色」との関係を示した.
  • 斉藤 和夫, 石崎 裕幸, 田村 亨, 桝谷 有三
    1997 年 14 巻 p. 467-474
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    都市・地域の活性化計画を考える場合に、自分達が住んでいる地域のイメージについて様々な角度から調査し、イメージ形成の背景にあるその土地の資源を活用することが重要である。本研究では、室蘭市を対象として、市民のイメージを都市全体と居住地区の両面についてアンケート調査し、因子分析手法により市民のイメージ構造を明かにした。さらに、都市の景観資源とイメージ構造の関係を数量化理論で、地区の物的環境要素との関係を重回帰分析で定量的分析を行い、イメージを形成している地域特性との関係について有用な情報を得た。
  • 古来より讃えられた海浜の原風景と大学生の原風景との比較を通じて
    三溝 裕之, 横内 憲久, 桜井 慎一, 岡田 智秀, 喜多川 智一
    1997 年 14 巻 p. 475-480
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    各地で整備されつつある人工海浜は、無味乾燥なコンクリートを露呈した海岸構造物が諸所に配置されるなど、かつての自然海浜のものとは大きく掛け離れた姿となり始めている。
    本研究ではこうした状況を踏まえ、古来より讃えられた自然海浜を原風景として後世の人々に継承するために、かつての自然海浜と大学生の原風景を比較し、その変容状況を明らかにした。
    本研究で得られた主な成果は次の通りである。
    (1) これまで讃えられてきた自然海浜の景観要素とその形態的特徴等の抽出・整理
    (2) 大学生の原風景の成立要因と海浜整備との関連性
    (3) 大学生が抱く原風景からみた自然海浜における景観要素の伝承・変容状況およびその要因の把握
  • 伊藤 登, 天野 光一
    1997 年 14 巻 p. 481-486
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、河川ならではの多様な魅力を有する河川空間の実現を可能とするデザインの方法論として、自然的な河川の姿に範をとる河川空間のデザインを提示するとともに、このデザインを適用するデザイン手法は施工の進捗に合せてデザインを実施する非決定型のデザインであることを示した。また、これらの方法論を阿武隈川の福島市渡利地区に適用し、そのデザイン的効用を明らかにした。
  • 北河 大次郎
    1997 年 14 巻 p. 487-496
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    都市機能充実と関連づけられた都市景観秩序の再構成は、現在の都市計画者にとっての一つの重要課題である。本稿では、19世紀のパリ大改造が機能と景観を考慮した、壮大な歴史都市の社会基盤整備だったという見地にたち、その実体について考察している。そして、フランス産業化時代初期の都市に関する社会思想 (都市の再生計画における、交通・衛生・景観の融合的改善) や、計画・設計思想 (都市の歴史的なものの価値の相対化、都市形態秩序感覚の変容) を概観した上で、それらと関連するいくつかの整備事例を分析している。
  • 新屋 千樹, 篠原 修, 斎藤 潮, 平野 勝也
    1997 年 14 巻 p. 497-504
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    商業地街路の性格は, 音声をも含めた店舗の情報発信により規定されると考えられる. 本論文は街路の性格形成における音声情報, 視覚情報それぞれの役割及びその相互関連を明らかにすることを目的とし, まず、視覚情報, 音声情報を情報論的に分類し, それぞれ情報量を定性的に定義した. これに則り実態調査及びSD法心理実験を行い, 情報特性と街路の性格認識との関連を分析した結果, 街路の性格形成において音声情報, 視覚情報は同列に議論でき, 加工性の低い情報は街路の親近感を高める働きをし、加工性の高い情報は、猥雑さを演出する性質を持つことを明らかにした. さらにこれに基づき、情報発信形式に応じた商業地街路の6類型を抽出した。
  • 西村 昂, 山本 勝彦, 大杉 朗隆
    1997 年 14 巻 p. 505-510
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は、オープンスペースとそのNVI (植物活性量) 指標の関係を分析することにより、その温度緩和効果を把握することを目的としたものである。1987年より1992年の間に得られた3回のランドサットデータを利用し、以下の分析を行った。(1) NVIと地上気温データとの相関分析、(2) 土地利用分類毎のNVIの特性の分析、(3) 公園の規模別、および内部状況別、地表面被覆種別、住宅地区別のNVIの分析。以上より気温とNVIの間に高い負の相関関係があることを見出し、人工地より自然地の方がNVlが高く (すなわち平均気温が低い)、公園についても規模が大きいほど、またその内部の自然地の割合が大きいほどNVIが高いこと、等の結果を得て、緑地の温度緩和特性を定量的に把握した。
  • 加藤 哲男, 本多 義明
    1997 年 14 巻 p. 511-518
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, 周辺を山地や田園で囲まれている地方都市における緑の認知構造を明らかにし, 公園緑地計画の策定に役立てることを目的とするものである. 福井県民を対象として意識を把握した結果, 次のことが明らかになった.
    1) 自己の居住地周辺の緑が豊かであると感じている人は, 貴重な自然を大切にするべきだと考えている.
    2) 周りを緑豊かな山林や田園に囲まれていても, 住区基幹公園に対する要望が高い.
    3) 住区基幹公園の利用水準が目標に達していない地域では, 不満と要望が同様に高くなる傾向にある.
  • 室町 泰徳, 原田 昇, 太田 勝敏
    1997 年 14 巻 p. 519-526
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    海外における誘発交通に関する研究をレビューし、誘発交通の定義と内容、算定手法とその課題を整理した。また、短期的な交通頻度の変化、トリップ長の変化に関する理論的考察を行った。最後に、多摩ニュータウンにおけるアンケート調査をベースに交通需要予測モデルを構築し、買物目的交通に関する誘発交通量の算定を試験的に行った。誘発交通の内容は短期的には交通頻度の変化とトリップ長の変化に分けられ、その算定に関する理論フレームは準備されている。推定された買物交通手段選択と買物頻度に関するモデルは、試験的とはいえ理論フレームに沿った交通需要予測モデルであり、モデルを適用した政策シミュレーションの実行可能性が示された。
  • 松井 寛, 藤田 素弘, 土屋 真司
    1997 年 14 巻 p. 527-533
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究ではフレックスタイム制下における通勤行動を分析するための時間帯別通勤時刻選択モデルの調査、集計、モデリングの各段階において、そのより信頼性の高い方法を検討した。ここではまず、重要な変数である時間帯別平均所要時間について、個人の所要時間分布をアンケート調査の段階で把握でき、時刻の妥当な与え方等も考慮できる算定方法を提案した。次に通勤時刻選択モデルを非集計多項ロジットによって作成し、そのモデルの集計時の現況再現性を評価した。その結果、交通量の時間変動の影響によって集計誤差が発生する傾向が見られたが、説明変数の採用の仕方やサンプリング方法の工夫によって改善できることがわかった。
  • 溝上 章志, 柿本 竜治, 竹林 秀基
    1997 年 14 巻 p. 535-542
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    1件あたりの荷主の貨物出荷行動では, 輸送手段選択だけでなく輸送ロットサイズも同時に決定されており, かつ2つの選択が関連していると考えられる.本研究では, 地域間物流の輸送手段/ロットサイズ同時決定モデルへの離散一連続選択モデルの適用可能性を明らかにすることが主な目的である.その中で, 荷主の観測されない特性による効用関数の誤差項の両モデル間での整合を計るために, 新たに両モデルの繰り返し推定方法を提案すると同時に, 従来から用いられている段階推定法と推定特性の比較を全国貨物純流動調査データを用いて, 実証的に明らかにする.
  • 関 宏志, 飯田 恭敬, 倉内 文孝, 谷口 栄一
    1997 年 14 巻 p. 543-550
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 回帰分析における説明変数と被説明変数の間の関数型を自動的に探索する, 線形変換手法の1つであるBox-Cox変換を貨物発生・集中量の推定へ適用し, 品目ごとの貨物の発生量および集中量推定モデルの構築を試みる. なお, 発生貨物量と集中貨物量は, 個別に推定することにする.得られたモデルのパラメータの分析および線形回帰モデルとの比較により, Box-Coxモデルの優位性が確認された.さらに, 関数型を決定するBox-Coxパラメータの値は, 品目によって, かなり異なった値となるが, 同一品目の発生貨物量モデルと, 集中貨物量モデルにおいては, ほぼ同一値をとる, という知見を得た.
  • 黒田 勝彦, 楊 賛, 竹林 幹雄
    1997 年 14 巻 p. 551-558
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究において, コンテナ輸送に関わる港湾整備と貨物フローとの問題を取り上げ, 港湾計画に関する従来の静的な問題捉え方と違って, コンテナ貨物輸送市場における船社と荷主の行動をゲーム理論の観点から考察し, そのダイナミックな市場メカニズムを分析した上で, シュタッケルベルグ均衡モデルとして, 定式化を行った.現状データを用いて, モデルの有効性を検討し, それを確認できる結果が得られた.また, 港湾整備に関するいくつかのシナリオを想定し, 物流への影響を計算し, その結果から港湾整備の効果が認められた.
  • 渡部 富博, 奥田 薫, 吉松 正浩, 村田 利治
    1997 年 14 巻 p. 559-566
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    運輸省は、製造業・卸売業等に対するアンケート調査を実施しており、発着産業別の輸送貨物量等の資料を得ている (全国貨物純流動調査)。この調査データを用いて、産業間の貨物流動をあらわす投入係数マトリックスを作成し、産業連関分析で用いられる手法を用いてマトリックスの解析を行った。
    それにより、貨物流動に関して関連の深い産業を数グループに分類できたほか、グループ内での産業のヒエラルキー構造や、産業間エリア間の貨物流動状況が定量的に解析された。
  • 坪井 兵太, 秋山 孝正
    1997 年 14 巻 p. 567-574
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    交通行動記述モデルとして, 効用理論を前提とした統計的方法であるロジットモデルなどの関数型モデルや, 人間の知識に基づく主観的判断過程をモデル化するファジィ推論やNNモデルがある.
    また近年では, ファジィ推論とNNの各々の特徴を相互補完的に結合させたファジィ・ニューラルネットワーク (FN) によるモデル化手法が各種提案され, 多くの成果を挙げている.
    本研究では, 各種のFN方法の整理を行うとともに, ロジットモデル作成用データに対して, FNモデルを中心としたモデル化を行う.そして, 各手法の推計結果を比較することで, 標準的手順および各モデルの交通行動分析への適用性が検討できる.
  • 藤井 聡, 阿部 昌幸, 北村 隆一
    1997 年 14 巻 p. 575-583
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 同伴者を明示的に考慮し, 同伴者数を内生化した形での交通機関選択モデルを提案した. モデルシステムの定式化にあたっては, 同伴者数と交通機関選択モデルの双方に影響を及ぼす非観測要因の存在, ならびに, 個人の機関選択行動の意思決定構造はその個人が交通行動を行った際の同伴者の人数により異なるものと考えた. そして, ダイアリーデータから抽出されるトリップデータを用いて, 本モデルに含まれる未知パラメータを推定した. 推定の結果, 同伴者数と交通機関選択行動には相関関係が存在すること, 同伴者数とトリップ目的, 個人属性との間には相関関係が存在することが示された. 特に, 同伴者数が増加するにつれて, 時間価値が逓増する傾向にあることが示された.
  • 桝谷 有三, 下夕村 光弘, 浦田 康滋, 田村 亨, 斎藤 和夫
    1997 年 14 巻 p. 585-593
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、震災時における交通需要抑制策を図るための発生・集中可能交通量の算定について考察を試みた。本研究では、緊急車両と一般車両とを区分した2モードの多品種流問題をLP問題として定式化するとともに、一般車両に対する発生・集中可能交通量の算定手法について種々考察した。また、一般車両に対するOD交通パターンとしては、OD交通パターンに何ら制約を設けず上下限値だけを設定した場合、相対的比率としての目的地選択比率およびOD構成比を設定した場合それぞれの問題の定式化を試みた。
  • 権 寧仁, 森地 茂, 屋井 鉄雄
    1997 年 14 巻 p. 595-602
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 今後必要性が高まると予想される歩行者空間整備の計画基準の提案を目的として, 都市内狭幅員街路における歩行者, 自転車, 自動車交通からなる混合交通流内の歩行挙動の分析を行った.歩行挙動については, 交通・街路環境により変化する歩道の利用行動, 歩行者の障害物の回避行動等を取り扱っている. 分析には, 都内より抽出した15街路をビデオ撮影し, 実現象を数値化したデータを用いた. 計画基準については狭幅員道路を通行する交通手段に対し, 時間と空間のオキュパンシーを同時に扱うことを可能とする時間・空間オキュパンシー指標を提案している. 併せて, 混合交通流におけるサービス水準の評価指標として空間オキュパンシーとすれ違い, 錯綜の程度の使用を提案している.
  • 高見 淳史, 太田 勝敏, 原田 昇
    1997 年 14 巻 p. 603-610
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、「公共交通に近い立地が自動車利用削減に寄与するか?」ということを念頭におき、駅から様々な距離にある団地の住民の自動車利用実態の違いをアンケート調査を基に分析している。その結果、自動車の保有は駅に近い団地ほど少ないが、トータルな利用 (平均走行台キロ) は必ずしもそうなっていないことや、世帯属性が自動車利用に及ぼす影響が限定的であることなどを示した。また、送迎や買物目的では主要な活動目的地が近い団地ほど自動車利用が少なく、これら両者の近接化を図ることにより自動車利用を削減できる可能性があることを示した。
  • 岡山 正人, 小谷 通泰, 中下 光治
    1997 年 14 巻 p. 611-620
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、トラック事業所を対象にアンケート調査を実施し、阪神・四国間のトラック輸送において、1998年に開通予定の明石大橋が利用される要因について分析したものである。本研究ではまず、明石大橋の利用意識とそれと類似した瀬戸大橋の利用要因とを比較することで、明石大橋の選択要因を考察した。その結果、「所要時間」や「輸送コスト」の他、「輸送品目」や「トラックの大きさ」、さらに、フェリーを利用しているルートでは「船中で運転手が休憩できる」ことなどが、明石大橋の選択要因となっていた。また、明石大橋開通後のトラック事業所の経営環境変化も明石大橋の利用意向に影響を与えることを示した。
  • 森津 秀夫, 中島 正樹
    1997 年 14 巻 p. 621-630
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    動的経路誘導を意図した交通情報提供が開始された。しかし、走行経路を決定するのは運転者自身であり、経路を強制されるのではない。そのため、交通情報に基づく運転者の経路選択行動が動的経路誘導の効果を左右する。すなわち、動的経路誘導を行うシステムを検討し、それを評価する基礎になるのが経路選択行動である。そこで、ここでは動的経路誘導の計画や評価に適用することを前提とした経路選択行動のモデル化について考察した。動的経路誘導効果の分析に使用する経路選択行動モデルの具備すべき条件を示し、旅行時間予測モデル、経路変更モデル、経路選択モデルからなるモデルを提案した。さらに、神戸市の市街地部を対象にシミュレーションによるケーススタディを行った。
  • 古屋 秀樹, 西井 和夫, 上西 雅規
    1997 年 14 巻 p. 631-641
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、観光地における経路所要時間情報提供が観光客の周遊行動ならびに交通流動に与える影響把握を目的とする。経路所要時間情報が観光客の予想時間算出に影響を与えると仮定し、影響の大きさを把握するために情報評価係数を定義した。これを用いて経路選択ロジットモデルを構築した結果、観光客は自分の予想時間より表示時間に依存した行動を行うこと、道路走行の反復による学習過程 (来訪回数) ならびにトリップ形態 (来訪目的) によって情報評価係数の差異が認められること、などが明らかになった。また、交通流シミュレーションを行った結果、情報提供により経路選択における偏りの平準化が発現し、これによって情報提供が混雑の緩和や旅行時間の短縮などに効果を及ぼすことが明らかになった。
  • 藤井 聡, 大塚 祐一郎, 北村 隆一, 門間 俊幸
    1997 年 14 巻 p. 643-652
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 個人の生活行動の再現を図る際に重要な制約条件であるプリズム制約を考慮した上で, 個人の生活行動に関する意思決定を時間軸上で逐次再現し, それに伴う生活行動の軌跡を生成する生活行動マイクロシミュレーションを構築をした. 本研究では, これをPCATS (Prism-Constrained Activity-Travel Simulator) と呼ぶこととした.PCATSは活動内容選択モデル, 交通機関・目的地選択モデルなどのサブモデルで構成されており, それぞれサブモデルをダイアリー調査から得られたデータに基づいて構築した. モデル推定においては, 交通行動モデルの構築にあたり, 個々の移動を独立に解析するのではなく, 一日の生活行動全般を考慮することが重要であること, ならびに, プリズム制約等の制約条件を十分に考慮することが重要であることが示された. 最後に, いくつかの条件下での仮想的な個人の生活行動を再現することで, 従来のアプローチでは評価することが困難であった, 移動時間の増減や勤務時間帯の変化等が生活行動全般に及ぼす影響を, 本研究で提案するシミュレーションアプローチに基づいて評価できることが分かった.
  • 甲府買物パネルデータを用いて
    西井 和夫, 近藤 勝直, 古屋 秀樹, 栃木 秀典
    1997 年 14 巻 p. 653-661
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、パネルデータ収集に関連する固有な問題であるパネルアトリションに関して、これまでに検討例の少なかった複数時点間に及ぶアトリションバイアスの修正法を提案し、その有効性を適用例を通じて検証した。具体的には、甲府買物パネルデータを用い、各ウェーブ間のアトリションを説明するモデルの同定化を行った。次いで序数型 (非集計) ロジットモデルの考え方にもとづき多時点間のアトリション行動を表現できるモデルを構築するとともに、これを用いて買物場所選択行動におけるアトリションバイアスの修正法を検討した。その結果、初期アトリションとそれ以外との間の要因構造上の差異を示すことができたこと、またバイアス修正法の有効性も検討できた。
  • 高嶋 裕治, 谷下 雅義, 鹿島 茂, 荒井 徹
    1997 年 14 巻 p. 663-670
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    移動に費やす所要時間は、選択する経路の交通混雑状況によって確率的に変動する。自動車運転者は到着時刻に制約が存在する場合、遅刻によるペナルティ (損失) を充分小さくしようとし、また、早着による無駄 (損失) を最小にしようとして出発行動を決定すると考えられる。すなわち、出発行動は所要時間についての期待値のみでなく、遅刻及び早着の損失を考慮した「見込み到着余裕時間」に基づいて行っているとみなすことができる。本研究は、到着時刻に制約がある自動車運転者を対象に、「出発行動の決定」を「見込み到着余裕時間の形成」と仮定し、所要時間の不確実性に応答するためにどのように到着余裕時間を形成するかについて、出発行動の決定原理に関する2つの仮説を提示し、出発行動モデルを構築するとともに、自動車運転者へのアンケート結果からそれらのモデルの考察を行っている。
  • 藤原 章正, 杉恵 頼寧, 張 峻屹, 重松 史生
    1997 年 14 巻 p. 671-678
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    TDM政策の効果を事前に評価するためには, 政策に反応して個人が行う意思決定の最終結果だけではなく, その過程を時間軸上で予測することが重要である. 本研究はP&R政策を本格的に導入した後の自動車通勤者の交通行動の変化を分析するために比例ハザードduration modelを構築する. 再発事象を取り扱うことができるmultiple-spellduration modelを推定し, 広島市で1ヶ月間行われたP&R社会実験への自動車通勤者の参加行動を分析する. またP&Rシステムのサービス水準の改善に伴う将来需要の変化についてシミュレーションを行う.
  • 南 正昭, 高野 伸栄, 加賀屋 誠一, 佐藤 馨一
    1997 年 14 巻 p. 679-686
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、地域で中心的な役割を果たす拠点的な医療施設あるいは広域防災拠点への到達を2系統で保証する道路網のネットワーク構造について、一つの分析手法を提示し、実際の道路網への適用を試みたものである。目的地の変更を考慮し、道路途絶の発生時においても当該施設への到達を可能とする道路網整備計画案の策定支援を目標としている。まず、道路途絶の発生時に、平常時に比してどの程度の所要時間の増大をもたらすかを表現する指標を、目的地の変更を考慮して作成した。次にその指標を用いて、施設ノードへのアクセスを2系統で保証し、総整備費用を最小とする整備計画路線の選定を行う計算手順を提示した。以上の分析手法をもとに、山口県南西部の道路網を対象とした適用事例を示した。
  • 新田 保次, 上羽 省司
    1997 年 14 巻 p. 687-693
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では高齢者の交通負担感を考慮したバス停間隔を評価することを試みた。等価時間係数と時間価値を組み込んだ一般化時間モデルにより高齢者の交通負担感を示し、バス路線はピストン型、ループ型の2種類を考慮した。さらに路線バスと高齢者対応型バスが競合する場合について需要面から見た評価を試みた。
    その結果、徒歩移動が非常に困難な者に対しては200mにするのが望ましいが、そうでない高齢者に対してはバス停間隔が400mとなることが判明した。路線バスと高齢者対応型バスが競合する場合の需要面から見た評価では、バス停間隔よりむしろ料金氷準の影響が大きいことが判明した。
  • 岸野 啓一, 明神 証
    1997 年 14 巻 p. 695-701
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    わが国では人口の高齢化が急速に進む中で、高齢者の交通安全の向上が重要な課題になっている。こうした中で本研究は、増加し続ける高齢者の交通事故について、トリップ時間当たりの死傷者数等の指標を用いて評価を試みたものである。その結果、夜間や歩行中において特に事故率が高いことが確認されたほか、その原因として高齢者の運動機能や夜間の視認性だけでなく、トリップ特性と交通事故の発生に関連がある等の知見を得た。
    これに対し、本研究では、従来の対策に加え、地域コミュニティの形成による対策の必要性について提案している。
  • 福島 達也, 秋山 哲男
    1997 年 14 巻 p. 703-712
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    高齢者の寝たきりの主要な原因の一つに、転倒・転落など自らが原因で起こす「自損事故」がある。自損事故は死期を早めることや、その後の生活を根底から変えてしまうことなどから、問題の重要性は極めて高いにもかかわらず、道路・交通研究では全く手がつけられてこなかった。そこで本論では、自損事故に着目し、第一に身体機能や年齢別の自損事故発生状況、自損事故の形態などの実態把握を行い、第二に身体機能の自己評価と自損事故の関連性の分析から、自損事故の発生の特性を明らかにし、第三に自損事故後の生活と外出がどの程度問題になるかを明らかにした。
  • 飯田 克弘, 塚口 博司, 香川 裕一
    1997 年 14 巻 p. 713-720
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、筆者らがこれまで検討を重ねてきた方法論を発展させる形で街路空間再配分について検討する。具体的には、まず機能分類によって街路の特徴を把握し、オキュパンシー指標による街路評価を行って、問題街路の抽出とその区間の対応策について検討する。さらに、街路形態の検討に立地条件や利用者の意向を反映させるために、AHP手法を用いて街路構成要素の重み付けを行い、都心部における街路空間再配分代替案を提案することを目的とする。また本研究においては、震災からの復興過程で街路のあり方を早急に検討する必要のある神戸市都心部の街路をケーススタディの対象として考えることとする。
  • 鈴木 孝治, 西村 昂, 日野 泰雄, 村上 睦夫
    1997 年 14 巻 p. 721-726
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    都市交通環境悪化の原因の一つに、路上駐車車両による道路交通容量の低下があげられる。この路上駐車車両のうち比較的短時間の駐車車両については路上駐車施設で処理するのが効率的であると考えられる。そこで、本研究においては、建物用途別の駐車需要を分析し、その特性を明らかにするとともに、これを考慮した駐車施設設置効果を評価するためのシミュレーションモデルと評価指標を提案し、これによって駐車需要を効率的に処理するための路上駐車施設量を定量的に算出した。
  • 金沢市長町地区の事例
    川上 光彦, 馬場先 恵子, 堀 徹也, 村田 康裕
    1997 年 14 巻 p. 727-735
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    金沢市では、地区交通計画のモデル地区として長町地区で整備を進めている。本研究では、整備の一環として同地区の街路において実験的に2種類のシケインを設置し、交通環境の整備効果を調査研究するとともに、実験の有効性について検討した。その結果、シケインの設置により自動車速度の減速効果は確認されたが、歩行空間が十分に確保できず、歩行者の安全感を向上させることができなかった。原因として、現状の対面通行を前提にシケインを設置したことに加えて、実験方法に問題があったことが考えられる。今後、交通規制の検討と実験方法の確立が急務である。
  • 具 滋永, メオル・アジズ オスマン, 稲村 肇
    1997 年 14 巻 p. 737-746
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    従来, フィーダーコンテナ貨物需要予測はGDPの成長を基礎とした回帰分析を中心とし, 様々な方法が提案されてきた.しかし, これらの方法はいずれも国際競争を明示的に考慮できないという明らかな欠点を持っている.本研究は貨物量, 輸送運賃, 港湾料金といったフィーダー貨物の取扱量を決定づける変数間の関係を非線形の多次元曲面として捉え, この問題を解決している.モデルの信頼性は統計量によって検定された.モデルによる推計結果は韓国の港湾計画とそこで使用された推計値と比較され, その有用性を確かめている.
  • 土井 健司, 吉田 忠司, 水野 高幸
    1997 年 14 巻 p. 747-756
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    市場競争は財・サービスの価格と品質を中心に展開されるが、中小の多数の事業者が存在しかつサービスの供給を個々の運転手に依存したタクシー市場における競争は、極めて特殊な様相を帯びている。本研究においては、利用者への意識および認知調査を通じてタクシーサービスの特徴づけを行い、シェアの小さい多数の中小事業者を抱えるというタクシー市場の組織形態が、利用者の認知と選択可能性およびサービス評価に及ぼす影響を分析している。これにより、組織形態を数の問題として見た場合、都心市場においては数の集約化によって利用者の認知と選択可能性を高め、より高い評価を得る可能性が示唆された。加えて、運賃設定の弾力化あるいは差別化により、特定事業者のサービスを待つという動機が生じ、選択可能性が増大するという関係が捉えられた。
  • 黒田 勝彦, 竹林 幹雄, 三保木 悦幸
    1997 年 14 巻 p. 757-763
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は国内航空旅客市場をキャリヤー (航空会社、鉄道会社) を先手、利用者を後手としたシュタッケルベルグ均衡問題として定式化した。航空会社は利潤最大化を目的とし、その戦略はサービス路線とその機材投下数である。利用者は1991年時点での再現性検討から総旅行時間最小化を目的とするとした。次に、KIX開港以降の国内航空ネットワークを最適化した場合の旅客流動への影響把握を行った。その結果、hub&spoke型ネットワークの形成により航空会社の利潤は著しく改善され、逆に利用者の平均旅行時間は増大し、航空路線利用機会は減少することが認められた。さらに大阪国際空港廃止の効果は余り期待できない結果を得た。
  • 複数空港が存在する地域の空港選択構造
    浦田 康滋, 松本 直彰, 田村 亨, 斎藤 和夫
    1997 年 14 巻 p. 765-772
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、空港利用圏内に複数の空港が存在する場合の空港選択モデルの構築と、空港機能分担による空港シェアの変化を把握できるモデルの提案を行なうものである。従来の複数空港選択モデルでは、航空機運航頻度や料金、アクセス条件などを説明変数としており、幹線-非幹線など運航路線の質の評価ができるモデルではなかった。本モデルはこの点に工夫を行い、北海道の千歳空港・丘珠飛行場を事例にモデル推計を行なった結果、良好なモデルが構築できた。また、空港シェアモデルの提案では、空港アクセス条件という母都市と空港位置に関わる要因のみならず、複数空港における幹線-非幹線の分担関係を要因に取り込むことによりハブ化を評価できるモデルが提案できかつ、その感度分析からモデルの有用性を確認できた。
  • 家田 仁
    1997 年 14 巻 p. 773-782
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、Hub-Spokes/Point-to-Point輸送、物流やマストラ等の多段階にわたる集約輸送/直行輸送などといった多様な輸送方式を、一括して「階層的輸送モデル」として定式化し、DPで解くことによって需要密度や距離特性、規模の経済性なsどを含めたコスト特性などのファンダメンタルズと合理的選択の結果として採用される輸送パターンの関係を明示的にとらえようとするものである。本モデルは、現段階ではシンプルではあるが、輸送体系の広域でのマクロな特性分析や評価などに応用できるものと考える。
  • 大東 延幸, 原田 昇, 太田 勝敏
    1997 年 14 巻 p. 783-789
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論は、動く歩道が導入された商業目的の新規大規模開発地を対象事例として、動く歩道と、その代替案の短距離交通機関として他の開発地で導入事例のあるバスについて、所要時間と費用について比較を行い、次に対象開発地で行ったアンケート調査から、開発者が動く歩道を導入する理由として挙げた、利用者の 「快適性」「利便性」 が実際に意識されているかを検討した。その結果、利用者は動く歩道の 「利便性」「快適性」 を意識しており、代替案としてバスと比較した場合、動く歩道の特性が優れていることも合わせて考えると、対象開発地に動く歩道を導入したことは適切であったと考えられた。
  • 外井 哲志, 坂本 紘二, 井上 信昭, 中村 宏, 根本 敏則
    1997 年 14 巻 p. 791-798
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    著者らは、究極の歩行行動である 「散歩」 に着目して、散歩者の行動や評価の実態から、快適な歩行空間が備えるべき道路特性を抽出することを目的として、福岡県田主丸町で散歩行動実態調査を実施した。本研究では、散歩距離、散歩経路として利用される道路特性、散歩行動分類と道路特性の選好状況の関係などを分析し、(1) 散歩距離は平均で約2.8kmであり、個人属性や行動分類によって大きく異なること、(2) 散歩経路として選定される道路の特性は市街地的な特性ではなく、田園的な特性であること、(3) 散歩行動分類と市街化の程度、散歩距離との間には明確な関係があること、(4) 同一経路上で1度しか現れないリンクは田園的な特徴を示し、2度現れるリンクは市街地的な特徴を示すこと、などを明らかにした。
  • 山本 俊行, 松田 忠士, 北村 隆一
    1997 年 14 巻 p. 799-808
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    今後の自動車交通に関わる諸問題に対する政策を評価するためには, 世帯における自動車保有に関して, 系時的に捉えられた動的変化に基づく分析が必要である.そこで本研究では, 世帯における自動車保有期間に関する分析を行う.自動車保有期間は様々な要因によって決定されているが, 世帯が自動車購入時に予定していた予定要因と, 購入時点では予定していなかった予定外要因とに分けることが可能であると考えられる.本稿では, 両要因の影響を受ける自動車保有期間と, 予定要因のみに影響を受ける保有予定期間に関するモデルを構築し, 両モデル間の相違から保有期間に対する予定外要因の影響について統計的な推察を行う.
  • 今野 恵喜, 徳永 幸之
    1997 年 14 巻 p. 809-816
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、東北地方の高速バス運行実態と沿線住民の交通特性を把握して、高速バス活性化方策を検討したものである。調査・分析の結果、以下のようなことが明らかになった。1) 高速バスの利用者数は運行本数の影響を強く受けている。2) バス停施設やバス停までのアクセスの整備水準が低い。3) 高速バス停付近の無料駐車場の設置や運行本数の増加が利用者の外出回数を増やし、自動車利用者を高速バスに転換させ得る。
    以上のことから、高速バス活性化方策としては、高速道路上のバス停までのアクセスを整備し、これまで通過していた高速バスを停車させるなどして、住民の外出希望時間帯に合わせた高速バスダイヤを設定することが検討されるべきである。
  • 岡村 敏之, 家田 仁, 千葉 信宏
    1997 年 14 巻 p. 817-826
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    大都市圏鉄道において、既存線の増強・改良等の設備投資は、それ自体は鉄道事業者に利潤増・需要増をもたらさない。そこで、そのような環境の中での大都市圏民営鉄道事業者の設備投資水準決定行動を表現するために、本研究では、
    鉄道事業者は、
    (1) 利用者からのサービス改善への要求 (2) 利用者からの運賃抑制への要求という2種の相反する社会的な要求を同時に満足させ、かつ収支均衡の制約条件を満たす範囲内で設備投資水準を決定する。
    とする 「社会的圧力仮説」 を提示し、この仮説をもとに鉄道事業者の様々な設備投資行動について理論的検討を行い、東京圏・大阪圏の大手民鉄の設備投資実績データを用いて仮説を実証的に検証した。
  • 三和 雅史, 内田 雅夫
    1997 年 14 巻 p. 827-834
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    道床バラストを有する有道床軌道は、列車の繰返し通過によって軌道面の不整の発生・成長、いわゆる軌道狂い進みを伴うため、軌道形状の復元・補修作業が必要である。この作業には、一般に、マルチプル・タイタンパ (MTT) が用いられるが、効率的な保守活動の実現を目指す上で、このMTTを適切に運用することが極めて重要である。そこで本研究では、このMTrの運用計画問題に対して、遺伝的アルゴリズム (GA: Genetic Algorithm) を用いた解法を示し、得られる解の性質を調べる。
  • 八川 圭司, 徳永 幸之, 須田 熈
    1997 年 14 巻 p. 835-841
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地方部において新幹線駅に無料駐車場を整備することはアクセス改善に対してだけではなく新幹線の利用促進に対して非常に有効であると考えられる.また, 地方部の人口減少に悩む過疎地域では, 近隣都市圏との交流が地域の利便性の向上, 生活機会の改善のために必要不可欠であり, 地方部における新幹線の活用は重要である.このように, 地方部における新幹線駅の無料駐車場整備は非常に重要であるにもかかわらず, P&Rを考慮した駐車場容量の算定基準はなく, 駐車場容量が地域住民の交通行動に与える影響に対する定量的な分析も為されていない.本研究では, 新幹線駅の駐車場容量に応じたアクセス手段, 交通機関選択行動の変化を表現できる需要推計モデルを構築することを目的としており, これに基づいて地方部の新幹線駅に関する駐車場容量の算定基準について検討を行った.
  • 今井 昭夫, Stratos PAPADIMITRIOU
    1997 年 14 巻 p. 843-850
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、グローバルアライアンスと呼ばれる協調配船グループの再編成がコンテナ定期船の分野で行われている。これにより大型船の投入や東アジア地域でのハブ港の再配置といった航路形態の大きな変化が予想される。本研究では船社と荷主の2目的を有する数理計画問題を用いて、東アジア地域でのコンテナ船航路の戦略について考察を加える。
  • 阪神高速道路池田線通行止め規制時において
    藤井 聡, 林 成卓, 北村 隆一, 杉山 守久
    1997 年 14 巻 p. 851-860
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 交通網異常時における適切な広報活動を検討するために, そして, 交通網異常の交通需要予測を目指して, 個人の対応行動モデルシステムの構築を図った.本研究では, 交通網異常時では交通状態の認知についての異質性が顕著となるものと考え, 交通状況の認知と交通行動の双方を内生化した.モデルシステムの構築にあたっては, 阪神高速道路池田線通行止め規制中の個人の交通行動データを用いた.推定の結果, 個人が認知する交通状況の異質性を考慮することでデータへの適合度が向上すること, チラシ, フリーダイアルが個人の交通状況の認知の向上に貢献することが分かった.また, 京阪神パーソントリップデータを用いて感度分析を行った結果, 本モデルシステムを用いて広報活動政策を集計的な観点から評価できること, ならびに, 複数の情報媒体を組み合わせることが有効であることが分かった.
  • 山田 稔, 山形 耕一
    1997 年 14 巻 p. 861-868
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    高齢化が進んだ社会では、信号交差点で横断歩行者にゆとりある青時間を割り当てることが重要と考え、その際の影響を定量的に明らかにする方法を確立することを目的とした。
    そのために、横断歩行者の意識・行動の実測調査を行い、信号設定がこれらに及ぼす影響を明らかにし、これまでにない知見を得た。さらに、これらの結果を用いて、青時間の増加が横断歩行者および幹線道路の通過車両に与える影響を評価するための方法を提示し、またケーススタディを行うことにより、評価指標が信号設定により有意に影響されることを確認した。
  • 金沢市中心部における調査研究
    川上 光彦, 馬場先 恵子, 今岡 寛
    1997 年 14 巻 p. 869-876
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、金沢市を対象に視覚障害者誘導用ブロックの整備実態調査、視覚障害者を対象とした意識調査を行い、誘導用ブロック設置の実態と利用上の問題点について考察した。その結果、誘導用ブロックの色彩が舗装面と同系色のものが多いこと、突起形状に識別しにくいタイプがあることなど、誘導用ブロックの設置形態が統一されておらず識別しにくいことが示された。また、進行方向を示す線ブロックの設置が少ないことも問題点としてあげられた。
  • 鹿田 成則, 片倉 正彦, 大口 敬
    1997 年 14 巻 p. 877-882
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
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