日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
Print ISSN : 1345-7942
14 巻 , 4 号
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解説
  • 小林 功
    2013 年 14 巻 4 号 p. 147-154
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    本稿では,非対称貫通型マイクロチャネル(MC)乳化と乳化プロセスのComputational Fluid Dynamics(CFD,数値流体力学)解析に関する筆者らの研究について概説した.円形MC(入口側)とマイクロスロット(出口側)が連結した非対称構造の貫通型MCアレイは,従来のMCアレイと比べて液滴生産性と液滴作製の安定性ともに優れた高性能なMC乳化デバイスである.単結晶シリコン製の非対称MCアレイは,深堀イオン性反応エッチングによる複数回行うことにより精密に加工された.まず,非対称貫通型MC乳化デバイスの開発と基礎特性について概述した.適切な表面処理が施された非対称貫通孔型MCアレイを用いることにより,単分散エマルションを非常に高い分散相流速(>1,000 L/(m2 h))で製造することができた.次に,非対称貫通型MCアレイを利用した単分散食品用エマルションの製造および得られたエマルションの安定性評価について紹介した.さらに,非対称貫通型MCを介して液滴作製に関する三次元CFDシミュレーションにより得られた成果についても概述した.液滴作製における液滴離脱プロセスは,スロット内外における分散相内圧のバランスで説明できる3つの重要なステージから構成されていることを見いだした.
原著論文
  • 中村 恵子, 宮脇 長人
    2013 年 14 巻 4 号 p. 155-160
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    農産物の加熱による軟化機構を解明するために,加熱過程における電気物性および力学物性の変化を解析した.試料としてバレイショ,ダイコン,およびニンジンを用い,これらを生理的食塩水中で加熱し,LCRメータを用いてインピーダンス測定を,リード共振法により動的粘弾性測定を行った.その結果,バレイショ塊茎において,インピーダンスは加熱温度上昇とともに漸減,65℃において急激に減少し,同じ温度領域で,試料を浸漬した食塩水の263nmにおける吸光度が急激に増大した.このことは,この温度領域において,細胞内の核酸関連物質などが溶出したことを示唆する.さらに,同じ温度領域で,動的粘弾性も急激に減少し,細胞原形質膜破壊による膨圧の減少が推定された.これら物性の変化の程度や温度変化領域は異なるものの,同様の現象はダイコンおよびニンジンにおいても観測することができた.以上の結果は,農産物の加熱による軟化機構の主要な原因が細胞膜構造の破壊とそれに伴う細胞膨圧の喪失によるものであることを示している.
  • 渡邉 淳史, 宮脇 長人, 渡辺 学, 鈴木 徹
    2013 年 14 巻 4 号 p. 163-168
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    希薄塩化ナトリウム溶液を用いて界面前進凍結濃縮を撹拌条件として氷結晶生成速度uおよび氷相界面での撹拌速度Nを変化させて行い,溶質の氷相への取込み指標としての固液間分配係数(K)への影響を測定し,操作条件の結合パラメータu/N0.2が大きいほどKの値は大きくなることがわかった.一方,純水を用いて,同様に操作条件を変化させて界面前進凍結を行い,生成氷結晶構造を測定した.偏光を用いた観察法により,通常の可視光では均一に見える氷結晶が,伝熱方向と逆方向に成長した多数のデンドライト構造の集合体であることが明らかとなり,その氷結晶平均径は結合パラメータu/N0.2と明瞭な負の相関を示すことがわかった.これらを総合して,界面前進凍結濃縮における氷相への溶質の取込み機構は氷結晶粒の間隙への取込みであることが推察された.
  • 菊池 耕士, 山本 修一, 四日 洋和, 吉井 英文, 安達 修二
    2013 年 14 巻 4 号 p. 169-175
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    魚油や植物油などの液状脂質を食品高分子(包括剤または賦形剤という)の濃厚水溶液とともに乳化し,得られたO/Wエマルションを噴霧乾燥などにより急速に脱水して,微小な油滴を包括剤の乾燥層で被覆する技術を脂質の粉末化という.液状脂質を粉末化すると,脂質の酸化が抑制されたり,油相に含まれる芳香成分の放散速度が制御できるなどの利点がある.脂質を粉末化した際に,表面に露出した油の割合(表面油率)は,酸化や放散のされやすさの指標となり,一般的には,この値が低いほど良好な粉末化物といえる.粉末化物中の脂質の割合(含油率)が少ないほど,脂質の酸化が実質的に停止する未酸化率が高く[9],また油滴が微細なほど表面油率が低いことが報告されている[12].前者の現象に対して,浸透理論[14]を適用した解析が試みられている[9].近年,油滴の微細化技術が進展してきた.そこで,粉末化する際の油滴径が表面油率に及ぼす影響を傾向的に知るため,2次元または3次元の浸透理論を適用して検討した.また,乾燥条件により粉末化脂質は内部に空隙ができることがある.そのような中空粒子の表面油率についても検討した.
    2次元および3次元モデルでは,正方形または立方体の一辺をそれぞれNo分割し,No2またはNo3個の格子を考え,乱数を発生させることにより,粉末中の脂質の体積分率に対応するように脂質が存在する格子を決定した.2次元および3次元モデルではそれぞれ,表面に接する格子の脂質と辺または面で接する格子の脂質は抽出されると考え,脂質が存在する全格子に対する表面から連結している格子の割合を表面油率と定義した.中空粒子では,正方形または立方体の内部に一辺の分割数がNiの正方形または立方体を考え,その比Ni/Noをパラメータとして,中空の大きさが表面油率に及ぼす影響を検討した.
    中実および中空粒子ともに,表面油率が急激に増加する粉末中の脂質の体積分率の閾値が存在し,2次元モデルより3次元モデルの方がその値は小さかった.また,中空粒子では,Ni/Noが大きい(中空が大きい)ほど,表面油率が大きくなった.外辺の分割数Noの逆数(1/No)は,油滴の大きさに対応する.2次元および3次元モデルともに,Noが大きいほど,すなわち油滴が小さいほど,表面油率が低く,粉末化する際に油滴を微細化することは,脂質の酸化の抑制に有効であることが示唆された.また,Ni/Noが大きいほど表面油率が高くなることより,中空粒子では脂質が酸化されやすいとの経験則に合致したが,その影響は顕著ではなかった.
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