胃集団検診における精度と効率を考えると偽陽性の検討は重要と思われる。当センターでの精検結果をもとに検討した。精検該当者は一次検診者と比較し, 平均年齢が高く, 初回受診者, 男性が多く認められた。また, 精検該当者には, 逐年精検該当者は少なく, 初回精検該当者が多く認められた。偽陽性無病変群64.4%, 偽陽性有病変群33.0%, 陽性群2.6%であった。偽陽性有病変群には胃潰瘍・潰瘍瘢痕, ポリープ, 粘膜下腫瘍, 腺腫等経過観察が必要な症例が約70%を占めた。読影の判定基準は±例 (存在診断疑い) が全体の89%を占め, そのうち約70%が無病変群であった。間接読影所見で偽陽性率は直接所見が低く, 間接所見が高く認められ, この傾向は±群においてもみられ, 間接所見が偽陽性と成り易かった。診断チェック部位において, 無病変群は, 小弩, M領域・胃角部が多くみられた。偽陽性無病変の特徴を踏まえ, X線所見のみではなく, 既往歴, 検診受診歴, 自覚症状, 前回X 線写真などを参考に慎重に読影する必要があると思われる。
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