歯科薬物療法
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22 巻, 3 号
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  • 渡邉 京子, 東 泰孝, 白数 慎也, 大東 道治, 大浦 清
    2003 年 22 巻 3 号 p. 105-110
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    マクロファージは感染制御に必要不可欠であり, 自然免疫機構において重要な役割を担っている.感染が惹起されるとlipopolysaccharide (LPS) がマクロファージを刺激し, 炎症性サイトカインが産生される.一方, adenosineおよびATPは免疫刺激によっても細胞外へと放出された後, 様々な免疫機能を調節することが知られている.そこでわれわれは炎症やTh1/Th2バランスに関与するサイトカイン産生に対するadenosineおよびATPの免疫学的影響を検討した.AdenosineおよびATPはそれぞれマクロファージによるIL-10産生能を増強させたが, IL-1βおよびIL-12の産生能には影響を与えなかった.さらに, adenosineおよびATPはLPSで刺激したマクロファージによるIL.1βおよびIL-12に産生能を抑制した.これに対して, adenosineはLPSで刺激したマクロファージによるIL-10産生能を抑制したが, ATPは同IL-10産生能を増強した.以上の結果より, adenosineおよびATPが増加するような条件下においては, Th1やTh2免疫応答を含む広範囲な免疫反応に, なんらかの重要な役割を担っている可能性が示唆される.
  • 野村 典生, 柳沢 隆, 湯浅 茂平, 加茂 公隆, 斉藤 義夫, 吉田 紀昭, 新井 高
    2003 年 22 巻 3 号 p. 111-116
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    There have been many applications of toothpastes and gargles containing antibiotic ingredients to periodontal treatment. Cetylpyridinium chloride (CPC) is one such anti-plaque ingredient with a content of 0.05%. This study evaluated the effects of interproximal brushes with a prototype low viscid toothpaste containing 0.05% of CPC on slight periodontitis and gingivitis at interproximal areas. The subjects were 60 patients who had not received general and/or local antibiotics or periodontal therapy for at least 3 months prior to this study. They had at least 1 interproximal area where interproximal brushes could be inserted on the maxillar or mandibular incisors to second premolars without prosthesis. Sampling sites were interproximal areas in each subject. The subjects in the experimental group were instructed as to brushing method and used interproximal brushes with the prototype low viscid toothpaste containing 0.05% of CPC. The other subjects in the placebo group used a prototype low viscid toothpaste without CPC and were given the same instructions as the experimental group of subjects. Mondified gingival index (MGI), modified plaque index (MPI), amount of gingival cervical fluid (GCF), probing depth (PD), clinical attachment level (CAL) and ratio of subgingival microflora were measured at baseline, and after 1 month and 2 months. The data from 23 patients in the experimental group and 25 patients in the placebo group were adopted in this study. MGI, MPI, GCF and PD in both groups showed a significant reduction with time. GCF and PD in the experimental group were significantly lower than those of the placebo group at 1 month. CAL in both groups did not change at any period. Ratio of cocci increased with time in both groups, accordingly rods decreased with time. Spirochetes and motile rods were scarcely detected at every period. These results suggested that the use of low viscid toothpaste containing 0.05% of cetypyridinium chloride with interproximal brushes could quickly improve gingivitis.
  • 新井 通次, 長澤 恒保, 綱島 吉彦, 松田 朋広, 河村 広治, 茂木 眞希雄, 戸苅 彰史
    2003 年 22 巻 3 号 p. 117-126
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    チタン (Ti) およびTi合金は歯科材料として広く用いられている.最近, アルミニウムおよびバナジウムを含まないTi-29Nb-13Ta-4.6Zr合金が開発された.本研究では, Ti, Ti-6A1-4V合金 (最も広く使われているTi合金) およびTi-29Nb-13Ta-4.6Zr合金の生体適合性を評価するために脱灰骨基質 (DBM) ペレットを用いた.長管骨より作製したDBMらペレットをエーテル麻酔下でマウスの背筋の上に移植した.4週間の移植の後DBMペレットには, 骨芽細胞および破骨細胞表原型のmRNA発現および石灰化が認められ, DBMが異所性に骨を誘導したことを示した.Ti, Ti-6A1-4V合金およびTi-29Nb-13Ta-4.6Zr合金のディスクを載せたDBMペレットを同様に移植した.4週間後, それぞれに蓄積したカルシウムは36.6±8.0μg, 50.4±13.3μgおよび75.6±16.9μgであった.TiとTi-29Nb-13Ta-4.6Zr合金との間には有意差 (p<0.05) が認められた.Ti粒子はマウス骨芽細胞, マウス骨髄細胞およびウサギ分離破骨細胞において毒性を示さなかったので, TiとTi-29Nb-13Ta-4.6Zr合金における石灰化の違いは, DBM誘導異所性骨におけるTiによる石灰化の減少を示すものではなく, Ti-29Nb-13Ta-4.6Zr合金による増大を示していると理解するほうが合理的であると思われた.これらの知見は, Ti-29Nb-13Ta-4.6Zr合金が骨組織に対する優れた生体適合性材料となることを示唆するとともに, DBMで誘導した異所性骨がTi合金の生体適合性評価への簡便かつ有用な方法となり得ることを示した.
  • 東 泰孝, 渡邉 京子, 白数 慎也, 大東 道治, 大浦 清
    2003 年 22 巻 3 号 p. 127-135
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    アデノシンおよびATPは炎症反応の制御に関与し, 細胞発育, 細胞分化およびアポトーシスにも影響を与える.本研究において, アデノシンおよびATPによるヒト白血病細胞THP-1分化能について検討を行った.アデノシン10-3Mにおいては, CD11bの発現測定により, 著明なTHP-1分化誘導が認められた.同様にATP10-3Mにおいて, 有意なTHP-1分化誘導が認められた.また, アデノシン10-3MおよびATP10-3MにおいてTHP-1細胞数の有意な抑制が認められた.次にわれわれは, all-traneretinoic acid (ATRA) , 1, 25-dihydroxy vitamin D3 (VD3) , およびphorbol 12-myristate 13-acetate (PMA) といったような分化誘導剤によって分化させたTHP-1に対するアデノシンおよびATPの影響について検討を行った.すると興味深いことに, アデノシン10-3MにおいてATRA誘導性CD11bの発現が有意に増強され, さらにATRAはアデノシン誘導性CDIlbの発現を有意に増強した.同様にATP10-3MにおいてもATRA誘導性CDIlbの発現が促進された.これと比較して, VD3とPMAについては, それぞれアデノシンおよびATPとの併用によりCD11bのさらなる発現増強が認められた.以上の結果より, アデノシンおよびATPはヒト白血病細胞THP-1の分化を誘導し, ATRAによりさらに分化誘導が増強されるということが示唆された.
  • 大東 希好, 東 泰孝, 渡邉 京子, 白数 慎也, 嘉藤 幹夫, 篠原 光子, 大東 道治, 大浦 清
    2003 年 22 巻 3 号 p. 136-144
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    真核細胞ではほとんどの場合, タンパク質のde novo生合成は核内転写制御因子による遺伝子転写レベルでの制御を受ける.今回われわれは, 糖尿病発症に伴ない変動する転写制御因子を探索する目的で, ストレプトゾトシン (STZ) 投与による糖尿病発症モデルラットの脳および網膜を用いて, 転写制御因子activator protein-1 (AP1) ファミリーの構成タンパク質の一つであるc-Junの核局在性について検討を行った.イムノブロッティングアッセイ法により特異的抗体を用いた抗c-Jun抗体陽性タンパク質を解析したところ, c-Junの核局在性 (核画分/可溶性画分) は大脳皮質, 海馬, 線条体および小脳ではいずれもSTZ投与群の方が対照群動物よりも高かった.一方, 視床下部, 中脳, 橋・延髄および網膜ではいずれもSTZ投与群に伴うc-Junの核局在性に著明な変動は認められなかった.以上の結果より, STZ投与糖尿病モデル動物において, 脳および網膜内の転写制御因子AP1の構成タンパク質の一つであるc-Junの核局在性が変動する可能性が示唆される.
  • 大東 希好, 東 泰孝, 渡邉 京子, 白数 慎也, 嘉藤 幹夫, 篠原 光子, 大東 道治, 大浦 清
    2003 年 22 巻 3 号 p. 145-152
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    真核細胞ではほとんどの場合, タンパク質のde novo生合成は核内転写制御因子による遺伝子転写レベルでの制御を受ける。今回われわれは, 糖尿病発症に伴ない変動する転写制御因子を探索する目的で, ストレプトゾトシン (STZ) 投与による糖尿病発症モデルラットの脳を用いて, 転写制御因子NF-κBとAP-1のDNA結合能について検討を行った.コア塩基配列を含むオリゴヌクレオチドプローブを用いたゲルシフトアッセイ法により解析したところ, NF-κBのDNA結合能は, 大脳皮質および橋・延髄では増強が見られたが, 線条体および視床下部では減少が認められた.しかしながら, 海馬, 中脳および小脳ではNF-κB結合能に顕著な変化は観察されなかった.一方, AP-1結合能は, 小脳および橋・延髄では増強が観察されたが, 線条体, 視床下部および中脳では減少することが明らかとなった.しかしながら, 大脳皮質と海馬ではAP-1結合能に著変は見られなかった.以上の結果より, STZ投与糖尿病モデル動物脳内において, 転写制御因子NF-κBとAP.1のDNA結合能が変動することが明らかとなった.
  • 大東 希好, 東 泰孝, 渡邉 京子, 白数 慎也, 嘉藤 幹夫, 大東 道治, 大浦 清
    2003 年 22 巻 3 号 p. 153-159
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    プロスタグランジンD2 (dPGJ2) は, PGD2のアデニルシクラーゼ共役受容体を介して作用する.以前われわれは, DP受容体アゴニストであるBW245Cがマクロファージの走化性, 貪食能, スーパーオキサイド産生能, 亜硝酸産生能を抑制し, TNF-αの産生を増強するということを明らかにした.そこで今回は, マクロファージによるLPS誘導性TNF-α産生を増強させるDP受容体アゴニストのメカニズムについて検討するために, DP受容体によって増強するTNF-α産生の下流エフェクターについて解析を行った.p38 mitogen-activated protein kinase (MAPK) inhibitorであるSB203580および, extracellular signa1-relatad kinase (ERK) 1/2 inhibitorであるPD98059は, いずれもLPS存在下で, LPS誘導性TNF-α産生およびBW245CによるTNF-α産生増強を抑制した.これに対し, phosphoinositide 3-kinase (PI3K) inhibitorであるLY294002, phospholipase C (PLC) inhibitorであるD609およびPLDinhibitorであるスラミンは, いずれもLPS誘導性TNF-α産生に影響を与えなかったが, LPS存在下においては, BW245CによるTNF-α産生増強を有意に抑制した.以上の結果より, LPSはp38MAPKおよびERK1/2経路を介してTNF-α産生を誘導し, BW245CはPI3K, PLCおよびPLDを介してLPS誘導性TNF-α産生をさらに促進すると言うことが明らかとなった.
  • 東 泰孝, 渡邉 京子, 伊達 昌孝, 白数 慎也, 大東 道治, 大浦 清
    2003 年 22 巻 3 号 p. 160-168
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    15-Deoxy-Δ12, 14-prostaglandin J2 (15dPGJ2) は, peroxisome proliferator-activated receptorγ (PPARγ) のリガンドであり, 胃癌, 肺癌, 結腸癌, 前立腺癌, 乳癌といったようなヒトの様々な腫瘍のアポトーシスを誘導する.しかしながら, 白血病といったような他の癌細胞におけるPPARγのシグナル経路については, まだ解明されていない.そこで本研究において, ヒト急性リンパ芽球性白血病細胞株であるCCRF-CEM増殖能への15dPGJ2による影響について検討を行った.15dPGJ2, 5μMにおいては, 1-3日間培養後, CCRF.CEM増殖能を刺激し, 15dPGJ2, 10μM以上においては, 増殖能を抑制した.15dPGJ2の前駆体であるPGD2, PGJ2およびΔ12-PGJ2 (ΔPGJ2) 同様な増殖効果を示し, 高濃度においては増殖能を抑制した.また, P38 mitogen-activated protein kinase (MAPK) であるSB203580, およびphosphoinositide 3-kinase (PI3K) inhibitorであるLY294002は, 15dPGJ2および三種の前駆体は, CCRF-CEM増殖能抑制した.これに対し, extracellular signal-relatad kinase1/2inhibitorであるPD98059は, 15dPGJ2および三種の前駆体による増殖能に影響を与えなかった.5μMPGD2, 5μMPGJ2, 1μMΔPGJ2, 5μM15dPGJ2はCCRF-CEMにおけるcyclinAの発現を増強し, p18, p21, p27を含むCdk inhibitorの発現には影響を与えなかった.以上の結果より, PGD2, PGJ2, ΔPGJ2および15dPGJ2は, p38MAPKおよびPI3Kの活性化によってcyclinAの発現を増強させ, p38CCRF-CEM増殖能増強を誘導することが示唆される.
  • 2003 年 22 巻 3 号 p. 169-170
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
  • 2003 年 22 巻 3 号 p. 180-210
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
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