魚類行動パターンの画像解析による水質異常検知を目的に, コイ, フナ, タナゴおよびウグイ各1尾について, 水質正常時および水質異常時 (CN
-=0.1mg・l
-1) における水深方向の位置分布を鼻上げ行動指標 (
Rw値) を用いて解析した。その結果, いずれもCN
-に対する鼻上げ行動を検知できることを見い出した。検知感度と応答性からウグイまたはタナゴが適していると思われた。さらに,
Rw値の頻度分布が指数分布に従うことを見い出し, 指数分布からはずれた値を異常とみなすことが可能であった。
次に, ウグイを用いて, 環境条件として水温と溶存酸素濃度の影響を調べた。その結果,
Rw値の増加勾配は水温が低い場合には緩やかであったが, 5~25℃ではCN
-=0.1mg・l
-1を10~30minで検知可能であった。また, 溶存酸素濃度が0.5mg・l
-1以下では
Rw値の増加が認められた。これらのことから, 水質異常検知のためには環境条件をできるだけ魚類の行動に好適に維持することが望ましいといえる。
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