クロム含有廃水をフェライト化処理する場合,時に処理水にクロムが多く残留し,生成フェライトからもクロム(VI)が溶出する。本稿では主にこの対策を稼働しているプロセスに即して幾つか検討し,その結果を示した。
則ち,反応直前のクロム濃度が10mg・l
-1以下なら,pH9.0,65℃,60分の標準的な生成条件で処理出来る。これ以上の濃度では困難であるが,鉄(II)の濃度を2倍の10g・l
-1に,反応時間を5割増しに,更にアルミニウムを加えると25mg・l
-1の廃水は処理可能である。50mg・l
-1の廃水では生成条件の変更で,溶出クロムを抑えにくい。クロムだけならpHを0.8に下げると良いが,妨害する金属もあり,実廃水の場合には必ずしも良い操作とは云えない。溶出量を抑える最良の方法は生成フェライトの乾燥温度を70℃以下にすることである。
又,処理に失敗し,フェライトからクロムを溶出する場合の対策やフェライトの一利用法についても言及した。
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