手賀沼の上流部における水中のLAS濃度は,季節変動(C
11~14体合計で0.01~1.5mg・
l-1)と共に流下方向に明確な減少を示した。流下距離約L8km,平水時の流下時間約34時間の河口域におけるLAS濃度(溶存・懸濁合計)の減少率は年間平均で60%程度だったが,各同族体・異性体や季節によって異なっていた。
底質への移行過程を考慮したLASの収支を整理するために,(1)生分解による消失,(2)懸濁態の沈降による底質への移行,(3)溶存態の拡散による水・底質間の交換,という3つの現象について現地調査室内実験,数値モデルなどの手法を用いて解析した。その結果,年間を通して,河川から流入するLASの1割程度が懸濁物の沈降により底質に移行すること,沈降による移行量は水・底質間の拡散による交換量より1桁程度大きく,夏期は生分解活性が高いため分解による消失量よりも1桁小さいが,冬期では同程度の量となっていることがわかった。
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