水域において水質調査を行うには,多大な費用及び労力そして器材を必要とするため,現在までのところ収支算定を可能ならしめる程の満足な調査例は多くない。即ち,水質情報の有する貴重な価値を低減させている原因が機器の不備にあると言っても過言ではない例が多いようであり,この問題を解決するためには安価で自作可能な調査機器の開発が必要とされるであろう。
本報告は,海域,感潮河川を主な対象水域として,設計された調査機器を試作し,過去10回程度に及ぶ調査実績を踏まえた上で,計測機器の特徴,機能について述べたものである。
機器の測定項目の構成は,1)流速,2)流向,3)水温,4)電気電導度,5)濁度,から成っている。大略的な機能として,1)流速計は,最小流速2~3cm・sec
-1,流速と回転数との直線性は2m・sec
-1程度まで良好である,2)流向は8方向の方位の識別が可能である,3)水温と温度センサーから出力との線形性は良好である,4)電気伝導度は感度切換により,海水から淡水までの測定が可能である,5)濁度は最大5g・l
-1程度のSS濃度までの測定が可能である,などが挙げられる。
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