阿蘇海は, 日本海若狭湾の一部の宮津湾西側にある天橋立で囲まれた面積が約5km
2, 平均水深8.4mの閉鎖性水域である。1970年頃から表層のCODが3mg・
l-1を超え, 透明度も2m以下となり, 水質汚濁が進行してきた。このため, COD, N, Pについて現存量とそれを決定する諸要因の解明を目的に本研究を行った。閉鎖性水域の水質汚濁機構において水域外への汚濁成分の流出は重要な検討事項の一つである。そこで, 本報ではこの事項の解析に必要な阿蘇海と外海である宮津湾の海水の交換率について検討した。その結果, 1980年10月の調査で, 上げ潮の交換率は約0.84, 下げ潮時は約0.55, また, 阿蘇海水と宮津湾水が1潮汐当たりに直接交換する交換率 (
rG) は約0.49であった。さらに, 交換率は季節変動することが推察され,
lGについて推定したところ, 各月の中央値は0.29~0.61の範囲にあり, 概ね冬季から春季は高く, 夏季, 秋季は低くなることが推察された。
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