都市排水二次処理水の陸地還元による水の浄化は,排水中の化学成分が土壌層浸透を経て,地下水,土壌および植生中へ分散することによっている。この環境中への化学成分の分散は,土壌マトリックスと溶存化学成分との間のイオン交換作用,土壌マトリックスおよび植生の吸着・吸収によっている。Ca
2+を除くカチオンの土壌マトリックスへの吸着と15cm層より大きい0cm層での吸着は,土壌マトリックスのカチオン吸着能および0cm層の豊富な土壌腐植の存在に帰せられる。降水の地下垂直浸透に原因する土壌層のNa
+,Fe
3+およびCa
2+の垂直分布,すなわち,Na
+濃度とFe
3+濃度は上層部土壌より下層部土壌が大きいことおよびCa
2+濃度は下層部土壌より上層部土壌が大きいことを観測した。くわえて,散水域斜面の降水の水平方向の浸透に原因するCa
2+およびFe
3+の水平分布も観測した。Fe
3+の水平分布は,斜面上部域での溶脱および斜面下部域での再吸着に原因すると考えられる。しかしながら,散水中断後の土壌層の化学成分の経年変化の傾向は明らかでない。
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