流域における有機ハロゲン化合物前駆体の発生源構造を明確化するために, まず, 3種の面源 (雨水, 市街地域, 林地域) での負荷の流出機構の特性把握と定式化を行った。その結果, 3種の面源での負荷の流出機構がSTORMモデルタイプ (雨水, 市街地域) と降雨流出高に一次比例するタイプ (林地域) に分類されること, また, 市街地域での流出有機物が有機ハロゲン化合物前駆体に特に富むことが明らかにされた。ついで淀川流域 (淀川3川合流部を流末端とする) をモデル流域として発生源を4種類 (直接流出, 間接流出, 琵琶湖, 点線) に区分し, 3川合流部での流達負荷量を4種の発生源の流量成分と水質係数の積和で表し, それぞれの成分時系列と係数を観測量から決定した。この手法に基づき1年間の流達負荷量を各発生源に分配した結果, 1.91×10
6kgの有機ハロゲン化合物前駆体が総量として淀川三川合流部に流出する結果が得られ, その約76%が直接流出と琵琶湖に由来することが明らかにされた。さらに直接流出からの流出有機物が有機ハロゲン化合物前駆体に特に富むことがわかった。最後に発生源制御手法を確立するために考慮すべき変数を直接流出と点源について列記した。
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