金属ナトリウム漏洩火災の危険性評価のためには,燃焼残渣中の過酸化ナトリウムを定量的に把握する必要がある。燃焼残渣の物理性状と化学特性は過酸化ナトリウム試薬と異なるため,試薬を対象とする一般の定量分析方法が適用可能かどうかを検証する必要がある。この目的で,Na
2O
2試薬と同一条件で作成した燃焼残渣のサンプルを用い,過マンガン酸カリウム酸化還元滴定法と加水分解法の2つの方法により分析を行い,その分析結果を比較検討した。さらに,JIS K8231に定められた過マンガン酸カリウム酸化還元滴定法による燃焼残渣の分析過程で,発生した酸素が全量計測されない原因を調べた。この結果により,JIS K8231は燃焼残渣の分析に対して不適切な方法であると結論し,燃焼残渣の定量分析に残留液の分析を含む加水分解法の利用を提言した。
(オンラインのみ掲載)
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