日本火災学会論文集
Online ISSN : 1883-5600
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71 巻, 3 号
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論文
  • 小林 広樹, 鶴田 俊, 大徳 忠史
    2021 年 71 巻 3 号 p. 53-59
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス

    狭い空間内で発生する燃え拡がり形態の一つにフィンガリングが存在する。本研究では,火炎先端の真円度を指標として,従来は目視でみなしていた同心円燃え拡がりとフィンガリング燃え拡がりを定量的に定義した。燃え拡がりが進むとともに,火炎先端の真円度が減少し続けた場合をフィンガリング,真円度が90 % 以上を維持した場合を同心円と定義した。また,これらから得られたデータを用いて拡散方程式を解くことで,流速と火炎先端半径の関係から,燃え拡がりの安定領域と不安定領域が存在し,不安定領域では真円度が加速度的に減少していくことを示唆した。

  • 岡本 勝弘, 柏木 伸之, 藤本 純平, 山﨑 宏樹, 市川 俊和, 本間 正勝
    2021 年 71 巻 3 号 p. 61-71
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では,5ドアハッチバック車を2 台並列させた条件での自動車燃焼実験を実施し,燃焼自動車から隣接自動車への熱流束とその延焼可能性について検討した。着火自動車の右側に同型車種の自動車を並列させ,自動車の離隔距離を変えて,灯油80gとガソリン10gを用いて左前輪タイヤに着火することにより,燃焼実験を開始した。離隔距離80cmでは,隣接自動車に延焼する状況が観測された。離隔距離1mでは,着火自動車の火炎が隣接自動車の左前輪が破裂するなどの焼損が観測されたが,延焼することはなかった。着火自動車の火炎のモデル化により側方放射熱流束を計算したところ,放射熱流束計算値とバンパーの着火特性から予測した延焼可能性は,燃焼実験と一致した。

  • 鈴木 正太郎, 中原 佳乃子
    2021 年 71 巻 3 号 p. 73-79
    発行日: 2021/12/25
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル オープンアクセス

    綿製品の着火性が密度に対して正の依存性を持つ原因を探るため,透光性固体に対して輻射光で局所加熱を行ったときの固体内の熱移動と温度分布を調べた。綿ブロックの上面に対して局所加熱ランプを用いて加熱を行ったときについて,内部の温度分布を数値計算により求めた。吸光係数は綿の密度に対して比例すると仮定して実験により求めた。加熱実験も実施し,その結果がシミュレーションと定性的に一致することを確認した。シミュレーションでは,密度が低い範囲では密度の増加にともない最高温度が上昇し,それ以上になると逆に下降した。これらの結果から,密度依存性を決定づけている要因が,輻射による固体内の熱伝達であることが示唆された。

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