本研究は薄い可燃性固体としてセルロースの繊維である円形のろ紙を実験燃料に使用し,ろ紙下部の間隙高さと,水平に対するろ紙の傾斜角度を変化させ,燃え拡がりがどのように変化するのか調べた。
ろ紙下部間隙高さと傾斜角度によって着火点から上下方向への燃え拡がりが異なり,ある条件では,着火後上方向へは燃え拡がらず,下方向へのみ燃え拡がる,従来ほとんど報告の無い「寺田現象」が再現された。
本論文では斜面に沿って置かれた薄い可燃性固体の燃え拡がりについて発表するとともに,得られた実験結果から寺田現象発生機構についての考察を提示する。