中小規模事業場に勤務する管理監督者のメンタルヘルス不調者対応に関連する業務を担うべき人材に対する認識を明らかにすることを目的として,中小規模事業場に勤務する管理監督者を対象に自己記入式質問紙調査を実施した。9事業場の管理監督者175名の回答を分析した結果,以下のことが明らかになった。
メンタルヘルス不調者対応に関する業務「メンタルヘルス不調者の状況確認目的の面談」「相談利用方法の周知」「相談窓口」「医療職につなぐ」「管理監督者からの相談対応」「同僚からの相談対応」の6項目について,誰に担ってほしいかを尋ねたところ,中規模事業場の管理監督者は小規模事業場に比べて「医療職につなぐ」役割を管理監督者に担ってほしいと回答する人が多かった。事業場に対し希望するメンタルヘルス対策は,中規模事業場の管理監督者は小規模事業場に比べて「情報公開」「社外の専門職に相談する場の設置」が多かった。
本研究において,特に中規模事業場の管理監督者は,二次予防対策として医療職につなぐ役割を担うことを望んでいることが明らかになった。その役割を遂行するために,社外の専門職に相談する場を設置することと,メンタルヘルスに関する情報を公開することを求めているものと推察する。メンタルヘルス不調者の対応を円滑に行うために,事業場外の産業保健専門職は,管理監督者からの事例対応に関する相談を受け,助言する役割があることが示唆された。
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