本研究は,高齢者のスピリチュアリティ評定尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。16名の地域高齢者を対象としてインタビューを行い,高齢者のスピリチュアリティ概念と構造を明らかにした先行研究を基に,Reedらの研究を参考にして,「高齢者3次元(過去と未来,大いなるもの(超越性)と自己,及び他者)5概念」モデルを作成した。概念モデルから5概念42の質問項目を作成,予備調査を経て29項目に精選し,暫定尺度とした。高齢者スピリチュアリティ評定尺度の因子モデルとして, 2次因子を「スピリチュアリティ」とした5因子2次因子モデルを仮定した。老人福祉センター利用高齢者358 名に5件法の質問紙調査によりデータを収集した。310 名(男性76,各女性231名),平均年齢77.8(SD4.1)歳から有効回答が得られた。2次因子モデルの適合度を確認的因子分析により検証した結果, 5因子16項目からなる2次因子モデルが統計学的な許容水準を満たし,尺度の構成概念妥当性を支持するものであった。またCronbachのα係数による信頼性の検討により十分な内的整合性信頼性を有していると確認できた。5因子名は「乗り越えた道の確認」,「他者とのつながり」,「超越的なものへの関心」,「自己存在の探求」,「未来への心の準備」とした。スピリチュアリティ評定尺度と理論的に関連が予測される尺度との関連は高いとはいえず,スピリチュアリティ評定尺度の独自性が示唆された。
抄録全体を表示