研究目的は,回復期悩卒中片麻痺患者の非麻痺側筋肉量と基本的ADL (Activities of Daily Living)との関連を明らかにし,ADLを維持するための非麻痺則筋肉量の意義を検討することである。対象は,回復期悩卒中片麻痺患者の男性24名である。研究方法は,bioelectrical impedance analysis (BIA)法による筋肉量の測定,Barthel Index (BI)による基本的ADLの評価を行い,その関連性を分析した。その結果,非麻痺側上肢筋肉量とBIのうち,トイレ動作と排尿コントロールの各得点との間で有意な正の相関関係(相関係数0.428-0.458)が認められた。また,非麻痺側下肢筋肉量とBIのうち食事,整容,トイレ動作,排便コントロール,排尿コントロールの各得点,BI総得点との間で,有意な正の相関関係(相関係数0.432-0.740)が認められた。非麻痺側筋肉量が大きいとBI得点も大きいという関係があり,特に下肢においてはその関係が強いことが明らかになった。これより,回復期の脳卒中片麻痺患者において,非麻痺側筋肉量が増えれば,基本的ADLの維持・向上につながる可能性が考えられた。セラピストによるリハビリテーションとともに,日常生活の中においても,とくに下肢を用いた動作を積極的に促し,下肢筋肉量を強化していくことがADLの維持・向上につながる可能性があることが示唆された。
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