口腔病学会雑誌
Online ISSN : 1884-5185
Print ISSN : 0300-9149
38 巻, 1 号
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  • 石川 梧朗
    1971 年 38 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 瀬戸 〓一
    1971 年 38 巻 1 号 p. 12-32
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    顎顔面領域の欠損に対する人工補填装置エピテーゼの材料として用いられる軟性メタクリル樹脂Palamedは, 皮膚類似性において秀れた特徴を有しているとされているが, 一方エピテーゼ装用中における変色傾向が多くの臨床報告に指摘されている。著者はこの点に着目して, この変色の性質について色彩科学的に検討した。実験はPalamedの基礎色重合体および表面に彩色したものを試料として, これを1) 暗室放置, 2) 屋外暴露ならびに室内放置, 3) Xenon lamp照射, 4) 蒸留水中浸漬, 5) 消毒薬剤中浸漬, 6) 皮膚分泌, 剥離物などの各影響下におき, 時間経過に伴う変色を測定した。
    変色の測定方法は, 分光光度計により測定した色彩を, CIE標準表色系に従って表色し, さらにMac Adamの偏差長円にもとつくSimon-Goodwinの色差計算図上で色彩変化を求め, これを数値的に表現した。実験結果を要約すると次の通りである。
    1) 暗室放置した場合でも, わずかな黄色変化が認められた。
    2) 屋外暴露した試片は室内試片に比して基礎色で約2倍, 彩色したもので約4倍の変色を示した。
    3) 屋外暴露彩色試片の変色は低彩度方向に向かうものであり, 明度変化はほとんど伴わなかった。
    4) Xenon lamp照射により基礎色試片はほとんど変色せず, 彩色試片では屋外暴露試片と類似した変色を示した。
    5) 蒸留水中浸漬によって, クロマチックネス変化を主とする変色がみられた。
    6) 消毒薬剤中浸漬により, わずかな変色がみられた。
    7) 皮膚分泌物, 剥離物などの影響では, 基礎色試片にも彩色試片同様の変色がみられた。
    8) 刷掃洗滌によって, 高彩度, 高明度方向への変化はみられたが, 全体の色差はほとんど影響を受けなかった。
  • 茂木 健司
    1971 年 38 巻 1 号 p. 33-57
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    抜歯創の治癒経過に伴なうX線不透過性の変化と組織学的所見との間の関連性を明らかにするため, まず, 基礎的実験を行なった。すなわち, 雑種犬13頭につき下顎臼前歯24歯の抜歯手術を行ない, 90日後までの抜歯創の組織標本を作製した。一方, 下顎臼前歯抜歯創用に特別に考案製作されたX線写真規格化撮影装置により, 規格化撮影を行なった。規格化写真につき, 抜歯窩X線像窩底部付近の黒化度 (濃度) を濃度計により測定し, 同時に撮影した銅製階段によるX線写真の黒化階段から, 測定した窩底部付近の黒化度を, それと等しい黒化度を示す銅の厚さとして取扱い, その経日的変化を求めた。その結果と対応する組織学的所見とを比較観察した。ついで臨床における下顎大臼歯抜去症例10例を, 臨床的およびX線学的に56日後まで観察した。
    これらの研究から次の結論がえられた。
    1.犬下顎臼前歯抜去後, 抜歯創の主に肉眼的観察により正常治癒経過と思われた実験例の抜歯窩X線像窩底部付近のX線不透過性は, 術直後から9日後まではほとんど変化せず, 以後, 急激に増加し, その後も徐々に増加をつづけ, 90日後には恒常状態に達する傾向であった。
    2.犬下顎臼前歯抜去後, 正常治癒経過例の組織学的所見は, 術後9目の抜歯窩内は窩壁に添ってわずかに細小な新生骨梁がみられるだけであるが, 20日後には窩内は細小な新生骨梁により満たされ, 45日後の抜歯窩は太い新生骨梁で完全に満たされていた。
    3.犬下顎臼前歯抜去後, 創の主に肉眼的観察により異常治癒経過と思われた実験例の抜歯窩X線像窩底部付近のX線不透過性は, 減少するか, 変化しないか, あるいはその増加開始時期が遅延した。組織学的所見はそれらの変化を裏ずけるものであつた。
    4.臨床例の下顎大臼歯抜去後, 臨床的に正常治癒経過と思われた症例の抜歯窩X線像窩底部付近のX線不透過性は, 術後2週頃までは変化せず, 以後, 増加した。
    5.臨床例の下顎大臼歯抜去後, 臨床的に異常治癒経過と思われた症例の抜歯窩X線像窩底部付近のX線不透過性は, 軽度に減少するか, あるいは長期間変化しなかった。
  • 第2報クラスター分析法による検討
    石黒 慶一
    1971 年 38 巻 1 号 p. 58-72
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    日本人に特徴的に多いとされている下顎前突の成立に対する遺伝的要因の解明のため, 一連の多変量解析法により, 家族内の顎顔面頭蓋の形態類似について分析を行なった。資料は下顎前突者を発端者とする両親, 同胞からなる50家族193名の側貌頭部X線規格写真を用い, 各々のX線写真上に30計測点を設定し, それらを51個の座標値として求め, 年齢差, 性差を補正した後, 分析を行なった。この多変量として表わされた顎顔面頭蓋の形態変異は, 前報で報告したように, 因子分析により10個の因子の変異として把えることができた。そこで, この10個の因子の因子得点をもとに, クラスター分析を行ない, 資料を5グループに分割し, 家族内の類似を分析し, 次のような所見を得た。
    1.子供と片親が同じグループに入った家族は44~48%, 同胞同志が同一グループに入ったものは23~32%であった。この類似の程度は, 片親と子供の間, 同胞の間に求められる近縁係数とほぼ一致するもので, この事実は顎顔面頭蓋形態の成立に関する遺伝的要因の解明に興味ある知見を提示するものである。
    2.さらに, 5グループ問の距離を参考にして, 第2段階の分類を行ない家族内の類似性を求めると, 親子間では78%, 同胞間では51%の家族において, 顎顔面頭蓋形態の類似を示すまでになった。
    3.側貌頭部X線規格写真による顎顔面頭蓋形態の臨床的分析では, 本研究で分類した5グループは, 下顎前突的な形態を示すグループと, それとは異なるグループとに大別された。このような各グループの臨床的特徴づけからみると, 従来, 単に, “下顎前突”と呼ばれていた咬合異常でも, 本質的には調和のとれた形態を示唆しているものもあったり, また逆に, 咬合様式は正常であつても, 本質的には下顎前突の形態を示すものも認めちれた。
    4.顎顔面頭蓋の形態分析に多変量解析法を適用することは, 下顎前突に限らず種々の咬合異常の成因の分析に有効な手段であるばかりでなく, 将来, 歯科矯正学おける計量診断の確立に有用な方法ともなることが示唆された。
  • 中川 茂美
    1971 年 38 巻 1 号 p. 73-93
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    本教室では, 1965年以来悪性腫瘍の本態解明のため組織培養法を応用し, in vitroにおいてもin vivoの特性を保持しているといわれている初代培養細胞を検索し, その成果の一端を発表してきた。本研究において, 著者は口腔領域各種非腫瘍ならびに腫瘍組織の初代培養を行ない, その由来組織を同定するために, 培養初期の各種細胞について, 形態的特徴の観察と, またこれらのうち, 良好な増殖を示した培養例については, その染色体の検索をも併せて行なった。
    研究材料は東京医科歯科大学歯学部付属病院口腔外科を受診した患者84症例の手術摘出物, 試験切除片より得られた。そのうちわけは, 口蓋裂部粘膜などの非腫瘍組織29例, エナメル上皮腫, 多形性腺腫などの良性腫瘍組織25例, 扁平上皮癌などの悪性腫瘍組織30例であった。培養法は直接カバーグラス法により, 培養液として199液とEagle MEMを用い, 37℃のCO2培養器で培養した。
    遊出細胞の形態的観察は, 位相差法およびギムザ染色を主体とした染色標本を用いて行なった。染色体標本の作製は, これら初代培養細胞をコルヒチン処理, 水処理の後に空気乾燥法により行なった。
    非腫瘍組織よりの遊出細胞は, ほぼ均一な上皮様の形態を示し, またその配列も比較的一定であった。これらの培養例について, 染色体を比較的十分に検索し得たのは5例で, その染色体数は46を中心に分布していた。
    良性腫瘍組織よりの遊出細胞は, 形態的にそれぞれの母腫瘍実質の構成細胞をうかがわせる所見を呈した。これらの培養例について, 染色体を比較的十分に検索し得たのは, エナメル上皮腫3例, 多形性腺腫2例, 粘表皮腫1例の計6例であった。これらの染色体数の分布状態は, 非腫瘍例とほぼ同様であったが, 異数性細胞が非腫瘍例に較べやや増加していた。
    扁平上皮癌よりの遊出細胞は, 遊出の初めより細胞の異型性に富み, 異常な核形態, 核分裂像を示すなど悪性腫瘍細胞の特徴を示した。これら扁平上皮癌の培養例について, 比較的十分に染色体を検索し得たのは3例であった。その染色体数の分布状態は, 非腫瘍例に較べ, 変異の幅が広く低2倍域から4倍域にわたっていた。すなわち, 下顎歯肉癌の2例では, 低2倍域の細胞が多かったが, 4倍性細胞も出現した。上顎癌の1例は高3倍性細胞が最も多かった。
  • ―特にその臨床視診型, TNM分類と組織学的所見について―
    戸塚 盛雄
    1971 年 38 巻 1 号 p. 94-130
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    最近3年1カ月間に東京医科歯科大学歯学部第一口腔外科を受診した口腔癌患者137症例を主対象として, 当科来院までの経過, 臨床視診型, TNM分類, 補綴物の装着状態, 組織学的, ならびに細胞学的検索所見などの相互関連を総合的に追求検索した。
    部位別例数は歯肉, 舌が共に34例, 上顎洞21例, 頬粘膜13例, 口蓋12例, 口底11例などであった。この内, 胃腺癌との重複癌1例 (0.8%) , 口腔内多発癌5例 (3.8%) がみられた。
    次に腫瘍の臨床視診型を膨隆型, 潰瘍型, 肉芽型, 白板型, 乳頭型に分類してみると, 口腔粘膜扁平上皮癌88例では膨隆型, 潰瘍型が共に24例, 肉芽型19例, 白板型10例, 乳頭型11例で, 上顎洞粘膜原発15例では12例が膨隆型であった。組織型別では未分化癌5例, 腺系悪性腫瘍18例の全例, 肉腫5例中の4例が膨隆型であった。その臨床視診型別部位分布傾向として, 膨隆型は上顎洞, 舌に多く, 潰瘍型は舌に, 肉芽型は下顎歯肉に多くみられた。
    口腔粘膜癌全体のUICC提案 (1968年) TNM分類別例数はT1, 3例, T2, 17例のほか, T3, T4の進展例は83例であった。うち舌癌にはT1, T2の軽度進展例が比較的多く32.3%, T3, T4は下顎歯肉癌に多く90.9%であった。リンパ節所見で, 触診されなかったNOは全例で12.6%にすぎず, 一方腫瘍を含むNlb, N2b, N3は全例で41.8%であったが, その中では下顎歯肉癌が最も多く72.7%であった。
    臨床視診型とTNM分類で, T1, T2症例が多くみられたのは, 白板型 (40.0%) , 次いで潰瘍型 (26.1%) , 以下乳頭型, 膨隆型, 肉芽型の順であった。N1b, N2b, N3の合計では乳頭型が63.6%と最も高率で, 次いで潰瘍型47.8%, 以下膨隆型, 肉芽型の順で, 白板型には1例もみられなかった。症状自覚より当科受診までの期間では, 全体の51.7%が3カ月以上経過していた。症状自覚より他医受診までの期間, および他医より当科来院までの期間とに分けると, 両者共に約30%が3カ月以上経過していた。腫瘍と歯牙および補綴物との関連性は, 白板型, 乳頭型の腫瘍に多くみられ, 膨隆型の腫瘍では少なかった。
    組織学的, 細胞学的所見では膨隆型と潰瘍型, および白板型と乳頭型とが, それぞれ近接被覆上皮と腫瘍との関係, 組織分化度, 配列, 細胞異型, 角化度ならびに細胞学的所見に共通するところが多く, 前2者が後2者より分化度が低く, 肉芽型はその中間であった。
  • 木村 興雄
    1971 年 38 巻 1 号 p. 131-158
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    乳歯歯髄内神経の走向分布状態を明らかにするために, 肉眼的に歯根吸収のないヒトの正常乳前歯を用いて, 歯髄の外形形態を観察するとともに歯髄内神経線維の走向分布ならびに歯髄を構成している神経以外の組織との関連について, 根尖から歯冠歯髄先頂に到るまでの位置的な変化を組織学的に観察した。
    材料は固定後, 唇舌, 近遠心, 横断の3方向に凍結およびparaffin切片を作製し, 鍍銀染色, azanmallory染色, H-E染色を行なった。また歯を唇舌, 近遠心的に切断し, さらに根尖から歯冠先頂に到るまでを連続的に横断して歯髄の外形形態を立体的に観察した。
    1) 根尖孔付近の歯髄横断像はほぼ円形を呈していて, 歯根歯髄では3角形となるが歯種により異なり, 上顎乳中切歯では唇舌的に著しく圧平された楕円形に近い形態をしている。
    2) 歯髄の最豊隆部は唇側面ではほぼ歯頸部付近にあり, しかも正中より近心に寄っている。舌側面ではそれよりやや歯冠側にあり正中より遠心によっている。したがって歯頸部歯髄の横断像は一般に菱形を呈する。
    3) 歯髄の最豊隆部付近で象牙芽細胞の脊丈が最も高く, 細胞稠密層は厚い。
    4) 歯髄の根尖側から約2/5領域までは神経ならびに動脈とそれらの間質を構成している密な線維性結合組織は歯髄の中央領域に集中していて, 静脈は歯髄の辺縁にわずかに存在する歯髄細胞を主体とする組織内に位置している。
    5) 同約3/5領域では神経, 動脈は分枝して数を増すとともに間質の線維性結合組織をともなって歯髄の辺縁に移動する。そのため歯髄の中央領域には歯髄細胞を含む組織が現れる。静脈はそれまで歯髄の辺縁にあったものが歯髄の内側へ移動する。
    6) 同約4/5領域すなわち歯頸部付近では神経, 血管はさらに分枝によって数を増すとともに分散する。同時に間質を構成していた線維性結合組織は漸次消失し, 神経, 動脈の周囲のきわめて限られた部分にのみ認められる。歯髄中央領域には比較的太い神経線維束が疎に分布し, 辺縁には細いものが密に分布している。
    7) 末消神経線維は歯根上半部に到って初めて歯髄表層にみられ, 歯冠側に向うにつれ漸次増加する。細胞稠密層の発達した領域では末梢線維の分布量も多く, これらは主に象牙質内面に平行に密な神経叢を形成している。しかしその分布密度は歯によって異なる。
    8) 歯冠歯髄先頂部では歯髄中央を上行してきた太い神経線維束が分枝して複雑な神経網を形成する。
  • 戸田 正甫
    1971 年 38 巻 1 号 p. 159-171
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    放射線治療において, 正常組織の障害を軽減させることの意義は大きい。舌粘膜の障害軽減を目的として舌に対する放射線の作用の生物学的解析を試み, その基礎としてラット正常舌粘膜細胞の世代時間および細胞周期中の各期の時間を推定し, X線照射 (500R, 1000R1回照線) により舌粘膜細胞に起る有糸分裂および核濃縮の起り方と細胞周期との関係について考察した。
    1) 推定されたラット正常舌粘膜細胞の世代時間, G1期, S期, G2期, M期の夫々の長さは, 62.6, 52.4, 6.7, 2.2および1.3時間であった。
    2) X線照射により起る有糸分裂百分率の経時的変化は, 500Rおよび1000R照射共に照射後4~10時間にわたり有糸分裂百分率の低下を認めた。
    3) 核濃縮百分率については, 500Rおよび1000R照射共6時間で最大であり, 500R照射では1.4%, 1000R照射では2.5%を示した。
    4) ラット舌粘膜細胞の放射線感受性と細胞周期中の各期との関係についてオートラジオグラフの観察から, 3H-TdRにより標識されしかも1000R照射によりひき起こされた核濃縮の現われ方を解析した結果, S期の細胞が他の期の細胞に比べて比較的X線の感受性が低いことが認められた。
    5) 以上の結果放射線障害に対する解析をin vivoにおいて核濃縮を指標として細胞動態学的に行なえ得ることが明らかになった。
  • 板倉 醇幸
    1971 年 38 巻 1 号 p. 172-204
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    顎関節疾患の多くは, その原因の多くが関節軟部組織にあるとされていながら, この部位の検査法すなわち造影X線撮影法の顎関節部への導入は, 造影手技および造影X線像の読影が困難なこと等の理由から, 容易にはなされなかった。
    著者は, 顎関節造影撮影法に関する基礎的検討を行なうと共に, 新鮮屍体, 健常顎関節造影X線像所見および病的顎関節造影X線像所見を対比させ, 顎関節疾患診断に不可欠な造影X線撮影法の一般化, および読影の普遍化を試みた。
    色素を混入した造影剤を用いて新鮮屍体顎関節造影撮影を行ない造影所見を得た後, 肉眼解剖学的観察を行なってその関連性を追求し, 関節軟部組織の伸展性の有無が造影像にかなり影響を及ぼしていることを知った。
    健常顎関節21関節に対する造影からは, いわゆる正常像を得, この所見は新鮮屍体顎関節から得られた造影所見とほとんど大差なく, これを模式図として示した。正常像においても造影像の形態の多少の変化を認めたが, これは解剖学的なものによると考えられた。
    顎関節異常を訴えて来院した67名91関節に顎関節造影を行ない, また非罹患側に対しても31関節に関節造影を行ない得た。この造影所見と臨床症状, および単純X線所見とを対比させ関連性をもとめた。この結果臨床症状では運動痛・開口障害を合併する症型が異常造影所見を最も多く示し, 軟部組織の変化を強く疑わしめた。単純X線所見上で関節骨部組織に異常を認めた症型が造影像上でも当然異常を多く認めたが, 単純X線所見上何ら異常を示さなかった関節20関節中55%に造影像上異常を認めた。また患側に対する何んら臨床症状を示さなかった非罹患側でも関節造影により過半数を上回わる51.6%に異常所見を認めた。
    顎関節腔冲に注入された造影剤の消長について, ファントーム実験から得られた結果を用い, 造影剤の関節腔内での濃度が注入直後の1/2になるのに要する時間を求めて検討した。
    この値は, 健常顎関節, 異常顎関節共に激しい個人差が認められ造影剤の時間的消長を, 造影剤の濃度が1/2に減少するに要する時間を指標として把握し, 顎関節異常の有無を推定することには危険があると考えられた。
  • 酒井 彬博, 加藤 一男
    1971 年 38 巻 1 号 p. 205
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 中野 毅
    1971 年 38 巻 1 号 p. 206
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 清水 正嗣
    1971 年 38 巻 1 号 p. 207
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 永田 尚弘
    1971 年 38 巻 1 号 p. 208
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 三浦 不二夫, 井上 直彦, 東 光夫
    1971 年 38 巻 1 号 p. 209
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 雨森 洋
    1971 年 38 巻 1 号 p. 210
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 長明
    1971 年 38 巻 1 号 p. 212
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 小守 昭
    1971 年 38 巻 1 号 p. 213
    発行日: 1971年
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
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