口腔病学会雑誌
Online ISSN : 1884-5185
Print ISSN : 0300-9149
39 巻 , 4 号
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  • 三浦 不二夫
    1972 年 39 巻 4 号 p. 541-550
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 松本 光吉
    1972 年 39 巻 4 号 p. 551-564
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    臨床診断と病理組織診断の一致を目的とした歯髄診断の試みは多いが, 全ての歯髄の病態を確実に鑑別する診断法は, 未だ, 確立されていない。最近, 伊藤は, Pulse列矩形波電流で人の歯を刺激するとき・刺激の持続時間 (Dulation) , Pulse間隔 (Interval) , 及び刺激発数 (N) を変えて, これらの組合せによって起る痛覚閾値の変動で歯髄疾患の鑑別診断を研究したところ, 臨床的に健全歯と思われる歯牙と炎症歯と思われる歯牙との間に差があることを示唆した。そこで, 著者はこの研究を引継ぎ, 更に病理組織学的な検討を行った。
    被検歯は東京医科歯科大歯学部付属病院を訪れた9~58歳の患者85人 (♂28, ♀57) の111歯を用いて, 一般的な臨床診査を行い, 次いで, D=0.03msec, N=3を一定にしたpulse列矩形波電流刺激にて, Iを0.5, , 0.8, 及び1.0msec, 三通りの夫々の痛覚閾値を測定して, 直ちに抜去し, 歯髄の病理組織所見と痛覚閾値との相関関係を検討した。その結果, I=0.8msecを中心にPeakを示す症例は64例で, その中, 病理組織学的に全く健康歯髄と診断された症例が59例 (92.2%) , 慢性閉鎖性歯髄炎5例であった。一方, I=0.8msecを中心にPeakを示さなかった47例に於いては, 高度の変性, 萎縮又は炎症のある歯髄が40例 (85.2%) , 健康歯髄7例であった。又病理組織診断とD=0.03msec, N=3一定にして, Iを0.5, 0.8, 及び1.0msecと延長した場合に生ずる曲線の型との相関関係を統計的な検定 (差の平均値, t-分布) により推定したところ, 健康歯髄に於いては, I=0.8msecを中心にPeakを示す傾向があり, 一方, 炎症歯に於いては, I=0.8msecを中心にPeakを示す傾向がないことが確かめられた。
    従来の歯髄の電気診断は, 一般的には, 主に, 歯髄の生死の判定に用いられて来た。今回の実験結果から。従来その識別が全く困難なものとされた健康歯髄と機能的, 器質的に変化の生じた歯髄との鑑別診断の際に, Pulse列矩形波電流刺激が極めて有力な手がかりとなることを知った。
  • 高木 実, 石川 梧朗, 堀内 淳一
    1972 年 39 巻 4 号 p. 565-577
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    口腔粘膜原発の悪性黒色腫に関連してみられる特異な黒色症について, 自験例および本邦報告例の悪性黒色腫の94例を材料にして, 臨床病理学的に, また口腔粘膜の悪性黒色腫の組織発生の観点から考察した。我々は黒色症をその発生の時期によって先行型と, 併存あるいは続発型とに便宜的に分けたが, 94例についてみるといずれかの型の黒色症をみとめたものは62例 (66.0%) で, その中先行型は34例 (36.2%) , 併存あるいは続発型は28例 (29.8%) で, 黒色症を認めなかったものは32例 (34.0%) である。
    組織発生学的には, 口腔粘膜の接合性母斑はその疫学的考察から悪性黒色腫の一般的な発生母地とは考えにくい。しかるに悪性黒色腫の少なくとも1/3以上は黒色症から発生しており, その時間的経過は1年以上のものが多く (67.6%) , また正常口腔粘膜から発生したものも1/3以上はあると考えられる。したがってこれらの黒色症は前癌性黒色症 (Precancerous melanosis) とよべるものであろう。これらの黒色症とlentigo malignaとの相関々係については, すべての黒色症がlentigo malignaとは考えにくく, 少なくとも一部は反応性のものと考えられる。そして口腔粘膜原発の悪性黒色腫を有する患者には, 口腔粘膜のメラニン細胞を支配する何らかの局所性あるいは全身性の制御因子の存在することが疑われる。
  • 斎藤 允昭
    1972 年 39 巻 4 号 p. 578-596
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    Waterstratの処方に従って, ガリウム・パラジウム・スズ合金を試作し, この合金の硬化24時間後の歯質に対する接着力および窩洞に填塞した充填物の辺縁封鎖性について, 従来のアマルガムとの比較検討を行った。また硬化したガリウム合金表面, 接着力試験後のエナメル質被接着面および充填物の窩洞接触面を走査電顕で観察し, またガリウム合金の凝結膨張量を測定して, 次のような知見を得た。
    1) アマルガムは歯質に対して接着力を全くもたなかったが, ガリウム合金は接着性を有し, 特に象牙質よりもエナメル質に強く接着した。
    2) ガリウム合金のエナメル質に対する接着力は室温より口腔温の方が低く, また湿度が増加すると低下し, 水中ではさらに低下した。粉に対する液量が減ると接着力は低下した。
    3) ガリウム合金の象牙質に対する接着力は室温より口腔温の方が低く, また液量が少ないほど低く, この点ではエナメル質の場合と同様の傾向を示した。湿度に関しては室温のときには乾燥空気中が一番強く, 口腔温のときには乾燥空気中と水中で接着力がほとんどなかったのに対して, 飽和湿気中のみ若干の接着力を示した。
    4) 充填物の辺縁封鎖性はガリウム合金が最も良く, 削片型アマルガムがこれに次ぎ, 球状アマルガムが最も悪かった。
    5) 硬化したガリウム合金表面は細かいほぼ均一な凹凸面を示し, 未研磨面では合金粒子とマトリックスが区別できなかったが, 研磨面では両者が明瞭に区別できた。
    6) 引張り試験後のエナメル質被接着面にはガリウム合金がちぎれて斑点状に付着していた。
    7) 球状アマルガム充填の窩洞接触面は海綿状の残留合金粒子と粒状構造の結晶の集合からなるマトリックスがみられ, 凹凸が多かった。削片型アマルガム充填では接触面の形は不規則で, 凹凸はやや少なかった。
    ガリウム合金充填では合金粒子とマトリックスの区別がつかず, 軽石状の細かい凹凸による粗造面を呈していた。
    8) ガリウム合金の凝結膨張量は粉に対する液量が減るほど大きくなり, 24時間後では1: 0.5のとき21μm/cm (0.21%) , 1: 0.43のとき35.7μm/cm (0.36%) , 1: 0.4のとき40.7μm/cm (0.41%) であった。
  • 大藤 幸司
    1972 年 39 巻 4 号 p. 597-610
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    各種弾性印象材によって作られた石膏模型面の結晶の状態を走査電顕によって観察し, またその細線再現性と表在性硬さを測定して結晶形との相関を調べた。印象材による石膏結晶の変化を知るためには, プラスチック板に接して硬まった同種の石膏面を対照として比較した。
    これにより次のような知見が得られた。
    (1) アルジネート印象に接した硬石膏模型面には本来柱状結晶の均一な集合であるべき結晶形に著しい変化が見られ, 粒状結晶の融合によるコケ状物が存在し, 石膏によってはその間に板状結晶の放射状に集まったものが存在した。このため細線再現性は20μに止まり, 硬さもかなり軟らかかった。
    ポリサルファイド印象に接した硬石膏模型の石膏結晶は平板状に変形したものが密に分布していた。細線再現1生と硬さは印象材の銘柄によりやや異なったが一般に優れており, 特にポリサルファイド印象材Aは10μ線まで完全に再現し, 硬さも対照よりやや勝っていた。
    シリコーン印象に接した硬石膏模型面の結晶には印象材による変化が一般に少なかったが, 石膏の種類によって様子が若干異り, 細線再現性や硬さでもきわめて勝れたものとやや劣るものとが見られた。
    (2) シリコーン印象に接して硬まった各種の石膏のうち, 普通石膏によるものはもともと硬さは他種石膏より低く, 結晶粒が大きいために細線再現性は20μまでであったが, 印象材による結晶形の変化はほとんどなく, 硬さも対照とほとんど同じであった。
    硬石膏の結晶形はある程度シリコーン印象材の影響を受け, 中でも硬石膏Aでは長く発育した結晶が菊花状に集まった像が所々に見られ, 細線再現性は15μまで, 硬さもやや低下していた。しかし混入物の最も少い硬石膏Bの方は結晶粒の形にはほとんど変化がなく, ただその大部分が表面に平行に並んで網目状を呈しており, 10μ線を常に完全に再現し, 対照に比した硬さの低下もごくわずかであった。
    超硬石膏は3種ともシリコーン印象材により結晶発育がかなり影響を受けており, このため細線再現性はいずれも硬石膏の良質のものに及ばなかった。本来の硬さは最も高いものであるが, 対照よりはかなり低下しており, その中では超硬石膏Cが最も硬かった。
  • 大畑 直暉
    1972 年 39 巻 4 号 p. 611-652
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    口腔領域悪性腫瘍の治療のために下顎骨切除術を施行された症例の術後嚥下障害の様相を明らかにし, さらに本障害に対する治療法開発を目的として本研究を行なった。まず健常者10例の嚥下運動をX線映画撮影し, その運動の観察解析を行なつた。ついで1962年~71年間に東京医科歯科大学歯学部付属病院第1口腔外科で口腔悪性腫瘍のため一次的あるいは二次的に下顎骨切除をうけた58例中, 下顎骨全切除例4例を含む16症例につき, 術後嚥下障害の病態像を臨床的ならびにX線映画的に観察し, 両者間の関連性を追求し, これら異常例の所見と健常者の所見との比較検討を行ない次の知見を得た。
    健常者嚥下運動のX線映画解析において, 口蓋垂先端部, 舌骨体, 喉頭蓋谷, 喉頭蓋先端部に定めた4点が1回の嚥下運動の際にとる運動軌跡は定型的なパターンを示した。この4点の軌跡は正座位, 頸部前傾位程度の頭位変更では影響をうけないが, 嚥下物の量の多少により舌骨点の軌跡に変化を生ずる例も認めた。造影剤20ml嚥下の場合より, 唾液嚥下の場合に舌搾送運動は一層大きく出現し, この舌搾送運動に対応して舌骨点の軌跡は20ml嚥下の場合に前上方斜行を示し唾液嚥下の場合には, はじめ上行, ついで前行あるいは前上行を示した。
    口腔内に含みうる水の最大量は, 下顎骨半側切除例では健常例 (104±10ml) の約1/4に減少し下顎骨全切除例では0~8mlまで減少し嚥下準備相を阻害した。
    下顎骨全切除例では舌搾送運動が著明に阻害され嚥下物の口腔咽頭搾送機構が阻害された。これは嚥下における最も重要な口腔咽頭搾送機構の主要素である舌搾送運動が, 舌―舌骨―喉頭柱の支持体である下顎骨が存在して, はじめて成立することを示し, 嚥下運動における下顎骨の重要性を示唆するものである。
    下顎骨切除症例中, 喉頭蓋の反転を示さぬ例を多数認め, うち舌軟口蓋閉鎖機構のほぼ健常に保たれていた症例では, 術後1~3カ月で嚥下時の咳嗽反射が消失しX線映画像で喉頭括約機構の強化を示す所見を認めた。
    舌根部に手術侵襲を傍せうけた症例では嚥下時強度の咳嗽反射を示し, X線映画所見において舌軟口蓋閉鎖が不完全なために, 舌骨挙上開始前, 嚥下終期の中咽頭開大直後など時期的に不規則に造影剤が口腔より咽頭に流入して下咽頭, 喉頭前庭に貯留する像を認めた。
    喉頭口閉鎖機構において, 喉頭蓋の反転運動はこれに関与するが本質的なものでなく, 喉頭の括約筋作用が最も重要と考える。
    舌軟口蓋閉鎖, 鼻咽腔閉鎖, 喉頭口の閉鎖など一連の閉鎖機構の有機的な調和の維持は誤嚥をおこさぬための必要条件である。
    舌運動が障害された症例で軟口蓋, 咽頭後壁が健常な例では同部に代償的な過剰運動を生じ早期に機能の回復が認められたが, さらに軟口蓋の運動障害も併存した例では障害は一層顕著で機能の回復も極度に遅延した。
  • 茂木 克俊
    1972 年 39 巻 4 号 p. 653-691
    発行日: 1972年
    公開日: 2011/03/22
    ジャーナル フリー
    近年, 顎顔面口腔領域の各種疾患に合併した嗅覚障害, 手術, 放射線治療などに継発したり, あるいは, 特発性に発生する嗅覚障害が問題とされるようになってきた。特に, ここ数年, 増加の一歩をたどる交通事故による顎顔面領域の受傷者中に, 嗅覚障害を訴えるものがふえつつあり, その客観的検査および臨床生理学的研究は, 臨床的にも, また, 社会的にも, 必要性を増してきている。
    従来の嗅覚検査法および臨床生理学的研究においては, 嗅覚の有無あるいはそれらの障害の程度の判定は, 被験者の主観的応答に頼っており, 賠償神経症などの混在が予想される臨床検査には適さない憾みがあった。そのため, 最近, 判定を被験者の主観的応答にたよらず, 嗅刺激に対する1あるいは2種の生体反応を記録し, 他覚的判定を行なう方法が考案されつつある。もし, より多種類の生体反応を・同時に記録できれば, 嗅覚をより明確に, 客観的に把握できると考えることができるであろう。
    このように考え, 著者は, 嗅刺激に対する生体反応として, 脳波, 呼吸曲線, 眼球運動, 電流性皮膚反射, 耳下腺活動電流および心電図の6系統を同時記録し, それを定量的に分析し, 嗅覚を客観的, 定量的に把握することを目的として, 本研究を行なった。
    先に, 本教室で開発した上野式嗅刺激装置により, サイアミン・プロピル・ダイサルファイド6濃度, 酢酸4濃度, コーヒー1濃度およびバニラ1濃度の各匂い物質を, 健康男女各10名計20名の被験者に与え, 前述6系統の生体反応をポリグラフにより同時記録した。解析は, 刺激前30秒間 (PREと略す) , 刺激中30秒間 (ON効果) および刺激後30秒間 (OFF効果) を各々の匂い物質について行なった。各生体反応変化の出現率およびON効果とOFF効果について, 総合的に比較検討すると, 呼吸曲線 (ON効果40.7%>OFF効果18.1%) >脳波 (ON効果37.8%>OFF効果14.7%) ≒眼球運動 (ON効果30.3%>OFF効果19.1%) ≒電流性皮膚反射 (ON効果34.0%>OFF効果13.8%) >耳下腺活動電流 (ON効果28.9%>OFF効果7.8%) であった。なお, 心電図では, 波形の変化は認められず, 心拍数の増加あるいは減少が, わずかに認められるにすぎなかった。
  • 平井 敏博
    1972 年 39 巻 4 号 p. 692-703
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    歯を失った後の歯槽骨の吸収機構の解明は義歯の維持, 安定の点から補綴学的にも重要な命題である。硬組織とアルカリ性ホスファターゼ (ALP) の関係は今目まで主に硬組織, 特に骨形成における役割りを中心に報告され, 骨吸収との関連性を検討した報告はほとんどみられない。本研究はALPによりウシから得た歯槽骨粉末をはじめとする硬組織が溶解されるかどうか, そしてそれは確かに酵素作用であるか否かを確かめる目的で実験, 検討を行なった。
    歯槽骨粉末はALP添加により特異的なCa, Pの溶出増加が認められた。また温度の影響, 阻害, 賦活剤の影響, Lineweaver-Burkの解析などによりこの溶出反応が酵素反応の特性を良く示した。
    ALPのPhosphoprotein phosphatase作用は認められたが, 微弱であった。
    硬組織の無機質は溶け易い分画と溶け難い分画とがあるように思われ, ALP活性が充分であっても溶け難い分画が比較的多量に存在することがみとめられた。
    酸性ホスファターゼによる歯槽骨粉末よりのCa, P溶出に及ぼす影響はみられなかった。
  • 古田 勲
    1972 年 39 巻 4 号 p. 704-727
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    顎顔面領域の実質欠損に対する人工補填装置エピテーゼは, 接触する皮膚, 粘膜に為害作用をおよぼさないことが重要な前提条件となる。現在多くの軟性エピテーゼ材料が開発, 使用されているが, これら材料の生体組織反応に関する研究は極めて少なく, とくに皮膚為害性に関する基礎的な研究はほとんどなされていない。著者はこの点に着目し, 現在審美性に優れたエピテーゼ材料として用いられている軟性メタクリル樹脂Palamed, PVC樹脂Realastic, さらに対照として硬性メタクリル樹脂Acronを選び, 動物実験により, これらエピテーゼ材料の生体組織反応を組織学的に比較検索した。すなわち, ラットを用い試料の1, 埋入実験, 2, 著者の考案になるラット耳介を用いた人工耳袋法を利用しての皮膚接触実験を行なった。実験結果を要約すると次の通りである。
    1.埋入実験結果
    1) Palamed100℃7時間重合群は安定した組織親和性を示し, 硬性メタクリル樹脂群と類似の所見を得た。
    2) Palamed100℃2時間重合群は, 2週目まではわずかに炎症性反応が強くみられたが以後同様の組織親和性を示した。
    3) Realastic群は烈しい組織為害性を示し, 26例 (56.5%) に埋入部皮膚に潰瘍が形成された。
    2.接触実験結果
    1) Palamed (100℃2時間重合) 群では, 皮膚反応はごく軽度であり, 硬性メタクリル樹脂群と同様の結果を得た。
    2) Realastic群では, 著明な皮膚の急性炎症反応が認められ, そのうち挿入2カ月目までに試片接触部皮膚の潰瘍形成が2例に認められた。
    本研究における埋入実験ならびに接触実験の結果はほぼ一致し, Palamedは安定した組織親和性を示したが, Realasticは著明な組織為害性を示した。
  • 野田 忠
    1972 年 39 巻 4 号 p. 728-754
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    永久側方歯の配列の過程における機構を明らかにする目的で, 永久側方歯の配列の場の変化について検討した。永久側方歯の配列の場をあらわすものとして, 本研究では永久側切歯の遠心面より第1大臼歯の近心面までの直線距離, すなわち側方歯群長を用い, 永久側方歯の配列の過程での側方歯群長の変化について, 経年的歯列模型を資料として観察を行なった。
    観察の対象とした歯列は, 乳歯列より永久歯列への交換にあたって, 乳歯の歯冠崩壊による歯冠近遠心幅径の変化や早期喪失がみられないもので, 永久側方歯の配列が臨床的に正常となった上顎51症例, 下顎38症例である。
    これら資料について経年的に観察した結果次のような結論を得た。
    1) 側方歯群長は, 先行乳歯より歯冠近遠心幅径の大きい永久犬歯および第1小臼歯の一部の萠出に際して増加し, この側方歯群長の増加によって, 永久犬歯と第1小臼歯の配列が一般的には可能となる。これにより, 従来よりいわれてきた永久側方歯の配列の場のゆずり合いがなくても, 永久側方歯は正常な配列をすることができる。
    2) 永久側方歯群の配列する場は, 乳側方歯群の配列していた場より近心に位置することによって, 第1大臼歯は乳側方歯群と永久側方歯群の歯冠近遠心幅径の差, すなわちleeway spaceより大きく移動できる。
    3) leeway spaceがプラスであることは, 側方歯の交換過程では, 永久側方歯の配列のために必ずしも必要なものではなく, その配列に際しての場所的ゆとりめ一部分にすぎない。
    4) 側方歯の交換に際しては, 永久側方歯の萠出順序およびその間隔, 先行乳歯との交換間隔などが, 側方歯群長の増減に影響を与える。
  • 臼田 篤伸
    1972 年 39 巻 4 号 p. 755-778
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    本教室では1965年以来組織培養法を応用しヒト口腔領域の正常ならびに腫瘍組織の動態解明を試み, その成果を発表してきたが, 著者はこれらの知見を一層明確にするために, 前報において顕微鏡映画法ならびに3H-TdR投与オートラジオグラフィーを応用してヒト口腔上皮細胞の形態, 動き, 増殖の様相の経日的推移について検索を行なった。今回は多種多様にわたる口腔腫瘍の動態解析のために前報と同様の方法を用いて検索を行なった。
    研究材料は, 東京医科歯科大学歯学部付属病院第1口腔外科を受診した患者のうち, 良性腫瘍13例, 悪性腫瘍17例の試験切除片および手術摘出物より得た。培養法は直接カバーグラス法により, 培養液はEagle MEMニッサンを用い, 37℃のCO2培養器で培養した。顕微鏡映画撮影は培養後20時間目から行ない, 同時にその同型培養体に対し3H-TdR (0.5μCi/ml) を1cc, 1.5時間投与した後固定し, オートラジオグラフを作製してDNA標識指数および分裂指数を計測した。
    良性腫瘍由来上皮性細胞は, 一般にシートを形成して遊出し, 細胞間結合を保った比較的均一な細胞集団より成っており, 細胞の動き, 増殖は緩慢な例が多かった。シートの形, 細胞形態などは各腫瘍間, 培養例によって特徴的所見を認めた。
    悪性腫瘍由来細胞は明瞭なシートを形成することは少なく, 細胞結合も弱く, 細胞異型性が著明であった。
    細胞の動き, 増殖は活発な例が多く, 6~7カ月以上の長期にわたり分裂増殖を持続する例もあった。細胞分裂像には多極分裂などが多数見られ, それらは分裂時間が2~3時間に延長していた。またオートラジオグラフィーにより得られたL.I.とM.I.の経日的推移の曲線は, ほぼ相似の関係が認められ, 本実験における腫瘍細胞においてDNA合成を行なった細胞のほとんどが分裂を行なっていくものと考えられた。また, L.I., M.I.および顕微鏡映画法により測定された分裂時間の計測値とから求めたDNA合成時間および世代時間の推定値は, それぞれ良性腫瘍では, 多形性腺腫が前者11.2時間, 後者61.0時間, 以下同様にエナメル上皮腫が13.5時間, 115.7時間であり, 悪性腫瘍では扁平上皮癌が14.5時間, 45.6時間, 腺様嚢胞癌が6.9時間, 46.6時間, エナメル上皮肉腫が9.2時間, 139.8時間であり, 各腫瘍間に差異が認められた。
  • 小林 英和, 宮下 元, 遠藤 信武, 横田 誠
    1972 年 39 巻 4 号 p. 779-786
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    歯槽骨自体に標識をつけて歯槽骨の修復状態を経時的に把握する手段として, 岡田, 三村による酢酸鉛法が応用できるか, また応用する場合の問題点を明らかにする目的で, 5頭の雑犬の犬歯頬側歯槽骨を用いて実験を行なった。犬歯頬側の歯槽骨頂を一辺とする3mmの正方形の歯槽骨をノミで切除し, 削除断端の歯にノミでノッチをつけて, 酢酸鉛法を応用して手術後の歯槽骨修復状態の経時的な変化を比較検討した。
    酢酸鉛の注射によって得られる鉛線は術後1週間目頃より歯槽骨頂に出現し, 術後2週間目には明瞭な黒紫色の線 (金鍍金による) としてみえるようになった。しかし術後1週と2週に静注した鉛塩の沈着線は分離しておらず, この間における歯槽骨頂の骨形成はほとんど進行していなかったことが示された。
    術後1, 2, 8週間目 (56日目) に鉛塩を静注し, 8週間目 (57日目) に屠殺もたものでは, 新生骨表層に鉛線が出現し, 8週間目の鉛線と, ほとんど歯槽骨頂でかさなっている術後1, 2週の線との間隔がひろくなり, この間にかなりの骨新生がみられた。術後8週間目の鉛線は歯槽骨削除断端の標識として歯につけたノッチまで修復していた。
    サルと犬の歯間部歯槽骨に水平性, 二壁性, 三壁性骨欠損をつくって鉛線の標識をした所見を観察できた。
    酢酸亜鉛でも酢酸鉛と同様に歯槽骨の修復過程を観察することが可能であり, 鉛線と識別可能な沈着線として新生骨組織に沈着することがわかった。
  • 野口 俊英
    1972 年 39 巻 4 号 p. 787-799
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    歯垢中にみられる細菌性菌体外多糖類は歯垢形成に関してきわめて重要な役割を果たしている。そしてこれらの細胞外多糖類の大部分 (95%) がデキストランであると認められて以来, デキストラナーゼによる歯垢沈着の抑制が種々なされてきた。その結果In vitroにおいては, その抑制効果が明らかにされたが, In vivoにおいては抑制がおきたとするものと, おきないとするものとに分れている。そこで本実験ではアカゲザルの柔かい食飼中にデキストラナーゼを混ぜ, それが歯垢形成におよぼす効果, ならびに機構について臨床的および生化学的に追求した。まず臨床的には新たに考案した口腔内規格写真撮影装置を用い, 61|16/61|16の唇面および頬側面に付着した歯垢を0.1%塩基性フクシンで染色し, カラー顎撮影した。そしてそれを一定の倍率でスライド上に投影し, 歯の表面に沈着した歯垢の拡がりを固有の面積法で評価した。その結果, 実験開始2, 4, 7, 14, 21日後のどの時点においでもデキストラナーゼを与えた実験群と与えない対照群において歯垢沈着に有意な差が観察された (P<0.01) 。また実験群および対照群のサルの全歯から可能なかぎり, スケーラーで日齢7日目の歯垢を集め, 乾燥重量を測定した。その際, 実験群と対照群のサルを7日毎に交互に入れかえてくり返し9週行ったところ, 両者に有意な差 (P<0.01) が観察された。そこで同様に, 実験群および対照群のサルから日齢7日目の歯垢を採取してきて可溶性および不溶性の多糖画分を抽出し, その中に含まれる全糖量を測定した。その結果, デキストラナーゼを与えた実験群において, 前者は対照群の約1/100, 後者は1/2に減少した。なお抽出してきた多糖画分について水解, 酵素分解および赤外線吸収スペクトルによる分析を行ったところ, 可溶性の多糖画分は可溶性デキストランが大部分を占めており, 不溶性多糖画分は不溶性デキストランが主であることが明らかになった。
  • 木村 亜都子
    1972 年 39 巻 4 号 p. 800-810
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    乳歯の歯根吸収の機序について知るために, 特に歯質の無機成分の溶解について検討を行なった。
    実験には仔牛の下顎を用い, 歯根吸収の進行している乳歯を抜去してその吸収組織を採取するとともに, 研究対照として骨中より永久歯歯胚を摘出して, エナメル器と歯乳頭に分離して実験に供した。
    まず, 吸収組織のin vitroにおける歯質溶解能の有無について確認するために, 牛の永久歯切歯の研磨片の上に吸収組織を載せて培養した後, 走査型電顕でその表面を観察した。この結果, 吸収組織は象牙質のみならずエナメル質においても著明な吸収窩を形成し, 明らかに歯質を溶解することを認めた。
    次に, 吸収組織と歯胚の各組織について, 酸素消費量と乳酸生成量の関連について検討するために, Warburg法により呼吸活性を測定し, Glucoseを添加してincubationした後の乳酸生成量を比色定量した。これによると, 歯胚の各組織が酸素消費量および乳酸生成量ともに高い値を示したのに比べ, 吸収組織はともに歯胚各組織よりも低い値を示した。
    さらに各組織のGlucose代謝によって生じる有機酸の種類および生成量の特徴を知るために, Glucose添加によるincubationを行なった後に各種有機酸をGas-Liquid Chromatographyにより検出し, また14C-Glucose添加によるincubationによって, 生成された14C-乳酸, 14C-クエン酸, 14C-炭酸ガスの放射能量を測定した。Gas Chromatographyによる分析では, 歯胚の各組織と比較して乳酸のpeakが低いことならびにクエン酸のpeakがやや高いことが特徴として認められたが, 特に吸収組織に著明な有機酸の生成は認められなかった。また, 14C-乳酸, 14C-クエン酸の生成は, Gas Chromatographyによって示されたように14C-乳酸の生成が少なく14C-クエン酸の生成がやや多いために, 乳酸とクエン酸の放射能量がほぼ同量に測定された。14C-炭酸ガスもまた多量には認められなかった。
  • 佐藤 俊英
    1972 年 39 巻 4 号 p. 811
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
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  • 斎藤 祐一
    1972 年 39 巻 4 号 p. 812
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/12/08
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  • 安田 克広
    1972 年 39 巻 4 号 p. 813
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
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  • 村松 篤良
    1972 年 39 巻 4 号 p. 814
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
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  • 金子 勲夫
    1972 年 39 巻 4 号 p. 815
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/12/08
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  • 石川 烈
    1972 年 39 巻 4 号 p. 816
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
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  • 野村 孝太郎
    1972 年 39 巻 4 号 p. 817
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
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  • 埜口 五十雄
    1972 年 39 巻 4 号 p. 818
    発行日: 1972年
    公開日: 2010/10/08
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