口腔病学会雑誌
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42 巻, 4 号
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  • 宮瀬 英雄
    1975 年 42 巻 4 号 p. 343-351
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    象牙質う蝕とHyaluronidase (HASE) を有する菌との関連を調べる目的で実験を行った。
    0.1%メチレン青牛乳培地をPresumptive mediumとして, 象牙質う蝕から, メチレン青の還元を示すレンサ球菌52株を分離し, そのHASE活性および, 分離菌の同定を行った。得られた結果は次の通りである。
    1.Turbidimetric method (37℃, 30分incubate) を用いて測定した結果, 52株中43株 (82.7%) が0.2単位 (U) 以上の活性を示した。これらのうち0.5U以上の活性を示したものは31株 (59.6%) であった。HASE活性はin vitroでの菌の継代により著しい低下がみられた。またこの活性は基質 (ヒアルロン酸カリ) を培地に加えて継代しても回復はみられなかった。
    2.血清反応 (毛細管法) においては52株中, 47株がD群抗血清と反応し, これらはD群レンサ球菌と考えられた。
    3.分離株の生物学的性状については47株のD群レンサ球菌のうち, 8株 (17.0%) は典型的なStreptococcus faecalisの性状を示したが, 他のものは生物学的性状, 殊に抵抗性において腸球菌とは同定されなかった。
    しかしこれら同定不能株においてもHASE活性を示すものがかなり存在することからHASEないし同活性を有する菌が象牙質う蝕に何らかの関連をもつことが想像された。
  • 小谷野 英一
    1975 年 42 巻 4 号 p. 352-363
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    鋳造修復物をセメント合着する際に, なるべく薄いセメント被膜の厚さで正しく装着しうるような, もっとも有効な合着のための圧接法を知るために, 2種類の直径と2種類の深さをもった臨床に近い大きさの真鍮製円柱形窩洞と, これに合わせて市販銅合金を用いて作られた鋳造物とを, リン酸セメントを用いて, 静的並びに動的な各種の圧接法により合着し, その際窩底部および側壁部に生じたセメント被膜の厚さを測定した結果次のような知見を得た。
    1.セメント被膜の通常の圧力で圧縮しうる限度のcritical thicknessは, 平面板よりもインレー窩洞の底面の方が大きく, インレー窩洞ではcompressive pressureの働く底面よりも, shearing pressureの働く側壁面の方が小さかった。
    2.同じ深さで直径が異なる2種類の円柱形インレーの間では, 直径の大きなインレーの方がセメント被膜の厚さが小さかった。同じ直径で深さが異なるインレーのあいだでは, 窩洞の深いインレーの方がセメント被膜の厚さが大きかった。
    3.静的加圧や槌打よりも, 振動加圧の方がセメント被膜を薄くした。同じ圧力で振動加圧を用いた場合には, 垂直振動の方が水平振動よりもややセメント被膜を薄くした。しかし水平振動加圧には, 患者の歯に対する衝撃や苦痛がほとんど感ぜられないので加圧力をさらに増すことが容易であると思われた。
    4.静的加圧で修復物をほぼ正しい位置まで圧入し, さらに動的加圧を加える併用加圧法は, 各種の加圧法を個々に用いた場合よりもセメント被膜の厚さを著しく小さくした。
    5.実際の臨床では, まず手圧でもって修復物をできるだけ押しこんだのち, さらに水平振動を加えつつ圧接を追加する方法が最も適切であろうと判断された。
  • I.白板症と癌との関係について
    高木 実, 迫田 由紀子, 石川 梧朗
    1975 年 42 巻 4 号 p. 364-372
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    前癌性病変としての白板症の意義を究明すべく, 浸潤癌に何らかの関係を認めた白板症の14症例を病理組織学的に検討した。白板症は浸潤癌との時間的関係から, 先行例 (6例) , 併存例 (4例) , 続発例 (2例) , の3型に分けた。先行例では白板症が明らかに前癌性変化となっており, 白板症と組織診断されてから浸潤癌を確認するまでの期間は, 平均3年2カ月である。白板症から浸潤癌への転化は, 白板症の異型性が徐々に増加する過程を経るものが多いが, 異型性の少ないものから突然生ずることもある。白板症が多発性, 広汎性の時は, 浸潤癌への転化も時に多発性におこる。
  • II.紅色肥厚症について
    高木 実, 迫田 由紀子, 石川 梧朗, 天笠 光雄
    1975 年 42 巻 4 号 p. 373-380
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    紅色肥厚症が臨床的に疑われた2症例を報告し, 考察を加えた。症例1は72歳, 女性の頬粘膜, 上顎歯肉, 口唇の広い範囲にわたる典型例で, 組織学的には異型上皮, 上皮内癌, 浸潤癌への経時的変化がみられた。症例2は54歳, 男性の口底から舌下面の病変で, 組織学的には浸潤癌である。2症例とも肉眼的に赤色調が強く, 経過は緩慢で, 病変の拡がりは表在性である。紅色肥厚症は臨床的症状名として用いられることもあるが, われわれは上皮内癌, 異型上皮ないしこれに続発したと思われる浸潤癌の像を組織学的に確認し得た症例に対してこの名称を用いるべきと考える。本症とBowen病との関係についてはなお不明である。
  • 特に角質嚢胞について
    岩佐 俊明
    1975 年 42 巻 4 号 p. 381-404
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    歯原性顎嚢胞の嚢壁上皮について, その角化状態, および上皮と嚢胞の発育ならびに内容液との関係を追求するために, 組織学的に角質層がみられるもの7例, 角質層がみられないもの38例の計45例について, 電顕的に観察し, 以下のような結果を得た。
    1.細胞の配列状態について
    角質層をもつ嚢壁上皮には, 下層の基底層から表層の角質層まで一連の角化過程が観察され, 全層を通して比較的整然とした細胞の配列状態が保たれているように思われた。一方, 角質層をもたない嚢壁上皮では, 類似した形態の細胞が層をなしており, 表層においてもさほど扁平化せず, 全層にわたり細胞間隙の拡大が著明であった。また, 炎症性変化が加わった症例では細胞の配列が乱れ, 重層扁平上皮としての安定した状態はみられなかった。
    2.tonofilamentについて
    角質層の有無にかかわらず全例に, 上皮基底層からtonofilamentが認められたが, 角質層をもつ嚢胞では, すでにbundle形成をしているものが多く, 表層に向ってすこしずつその数を増し, 角質層では細胞内に密に分布していた。角質層のない嚢胞では上皮の全層を通してtonofilamentの数が少なく, 配列も粗であった。
    3.keratohyalin顆粒について
    角質層をもつ嚢胞では, 有棘層の上部, とくに角質層に近接した部位の細胞内に, 均一な高い電子密度をもち, いろいろな形の輪郭不明瞭なkeratohyalin顆粒が観察された。角質層のないものでは, keratohyalin顆粒は認められなかった。
    4.membrane coating granule (MCG) について
    両者とも有棘層上部の細胞辺縁部に, 周囲を限界膜で囲まれた, MCGと思われる微細顆粒が観察されたが, 角質層のない嚢胞では, 変性したmitochondriaと区別しにくいものが多かった。
    以上のことより, 角質層をもつ嚢胞の上皮角化過程は, 一般の角化重層扁平上皮とほぼ同様であるが, その程度が幾分弱いと思われた。
    5.嚢胞内容液との関係について
    嚢胞内容液に関しては, 細胞間隙を通しての組織液の流入だけではなく, 嚢壁上皮の変性産物および角化細胞の落屑などが加味されているであろうと思われた。
    6.嚢胞の発育について
    嚢胞の発育は主として基底層の細胞の増加と, 嚢壁を通して組織液の嚢腔内浸透によるものであろうが, 上皮の生理的ならびに病的変性産物の付加も関係があるように思われた。なお, 今回の研究では, 嚢壁上皮に分泌能は認められなかった。
  • ―食中類の顎筋における筋紡錘分布の比較解剖学的研究―
    柵木 利昭
    1975 年 42 巻 4 号 p. 405-443
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    顎運動の神経筋調節機構の解剖学的背景を解明するために, 顎筋の層分化と筋紡錘分布の関係についての比較解剖学的な研究が食虫類のトガリネズミ科のトガリネズミとジネズミおよびモグラ科のヒメヒミズモグラ, ヒミズモグラとアズマモグラで行われた。顎筋の層分化と筋紡錘分布はヘマトキシリンとエオジンで染色された前頭断と水平断の連続セロイジン切片で精査された。
    顎筋は開口筋と閉口筋とに分類される。モグラ科では, 外側翼突筋, 顎二腹筋前腹と顎舌骨筋が開口筋として, また, 側頭筋, 内側翼突筋と咬筋が閉口筋として分類される。閉口筋では, 側頭筋はさらに水平部の内層と外層, 中間部, 垂直部の内層と外層に, 内側翼突筋は内側部と外側部に, 咬筋は浅層部 (第1層, 第2層, 第3層) と灘部 (第1層, 第2層, 第3層) に層分化をしている.トガリネズミ科では, 顎筋の層分化は咬筋が深層部の層分化を欠く点を除けば, モグラ科での顎筋とよく似ている。
    閉口筋は多数の筋紡錘を含むが開口筋はこれを欠いている。トガリネズミ科では, 筋紡錘は側頭筋の水平部内層と外層, 垂直部内層および咬筋の浅層鱗2層に分布する。モグラ科では, 筋紡錘は側頭筋の水平部の内層と外層, 垂直部内層, 内側翼突筋の内側部および咬筋の深層部第1層に分布する。1側の顎筋に分布する筋紡錘数はトガリネズミで55.5個, ジネズミで82個, ヒメヒミズモグラで92.0個, ヒミズモグラで117.0個, アズマモグラで162.6個である。側頭筋は他の筋よりも多くの筋紡錘を含み, トガリネズミ科では顎筋の筋紡錘総数の90~88%に当たる筋紡錘が, モグラ科では70~63%に当たる筋紡錘が側頭筋に集中分布した。
    この顎筋の筋紡錘分布の様式から, 側頭筋の水平部と垂直部は顎運動の制御機構上とくに重要な役割を演じていることが推測される。
  • 第2報扁平上皮癌由来上皮細胞の超微細構造について
    結城 勝彦
    1975 年 42 巻 4 号 p. 444-472
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    口腔悪性腫瘍の生物学的性状解明のために, 第1報では正常口蓋粘膜由来上皮細胞の微細構造について報告し, 今回は口腔悪性腫瘍のうち最も多い扁平上皮癌由来初代培養細胞の形態学的特徴を明らかにする目的で電顕検索を行った。
    研究材料は東京医科歯科大学第1口腔外科を受診した扁平上皮癌患者40症例で, そのうち8症例について詳細な検索を行った。培養方法は第1報と同様, 直接カバーグラス法に準じて行った。
    本研究の対象となった8例中, 臨床的に腫瘍の急速な増殖を示した6例は細胞遊出が良好で, MIも正常口蓋粘膜のそれに比し高い値を示したのに対し, 材料採取前に化学療法, 放射線治療の両方または一方が行われ, その後臨床的に急速な腫瘍増殖がみられなかった2例では細胞遊出がやや緩慢でMIも低かった。これは, 培養下での細胞増殖の様相が由来する腫瘍組織の障害または増殖の状態をよく反映していたものと考えられた。また, これら8例の病理組織所見で細胞異型性, Broders分類と培養下での細胞増殖との関連性は明らかでなく, 角化傾向の強い症例に良好な増殖を示すものが多かった。しかし遊出細胞の異型性は組織所見のそれとはよく一致していた。遊出細胞の電顕所見では同一症例でも, また同一シートにおいても細胞によりその所見は異なっていた。しかし遊出細胞の多くは, 核が類円形で凹凸不整を示し, よく発達した1~4個の核小体を有し, 細胞質内には正常口蓋粘膜由来のそれと同様にミトコンドリアやリボゾームに富んでいた。一部には病的変性を示すと思われる環状核小体や, 角化傾向を強く示す細胞, ムチン様顆粒を多量に含有する細胞なども認められた。
    病理組織所見で, 角化傾向が中等度の症例では遊出細胞中にトノフィラメントを多量に含み角化を示す細胞がみられたが, 角化傾向の強い症例または弱い症例ではほとんど認められなかった。この理由として角化傾向の中等度の症例では部分的に強い角化傾向を示す細胞が混在し遊出したのに対し, 角化傾向の強い症例では遊出細胞は基底細胞に相当する細胞で, 弱い症例では本来強い角化を示す細胞が少ないためと考えられた。また同一症例で, 原発巣と転移巣について検索した1例では, 類似した組織所見であったが, 遊出細胞所見では転移巣由来細胞の方が増殖が活発で, やや末分化な傾向を示していた。
  • 第1報歯冠部の形態, および根面形態との関係
    青木 潤一, 花村 典之, 樋口 富一
    1975 年 42 巻 4 号 p. 473-477
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    継続歯の使用頻度はかなり多く, 鶴見大学の統計によると全補綴物の8%弱を示している。そこで口腔内装着直前の継続歯, 上顎中切歯109本, 上顎側切歯100本, 上顎犬歯60本を対象とし, X線による矢状断面写真を作り, それから大きさ, 形などを検討した。その結果, 形を5タイプに分類した。その分布はポストクラウン陶歯に関する調査に使用した模型と同じ傾向を示した。
  • 第2報合釘の長さ, 太さ
    青木 潤一, 花村 典之, 青木 保之
    1975 年 42 巻 4 号 p. 478-481
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    前報に使用した資料を使って合釘の太さと根面の大きさ, また合釘長と歯冠長との比を検討した。
    その結果, 合釘はほぼ歯冠長と同じ長さのものが5%前後で, 合釘長/歯冠長×100が60~80%のものが半数以上となる。合釘太さ/根面×100については歯根の直径に比して1/3のものが70%くらいとなった。
  • 西村 文夫
    1975 年 42 巻 4 号 p. 482
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 佐々木 哲
    1975 年 42 巻 4 号 p. 483-484
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 弘通
    1975 年 42 巻 4 号 p. 485
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 藤林 孝司
    1975 年 42 巻 4 号 p. 486
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 中沢 勇, 松元 誠
    1975 年 42 巻 4 号 p. 487
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 矢崎 国博
    1975 年 42 巻 4 号 p. 488-489
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 岡野 友宏
    1975 年 42 巻 4 号 p. 490
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 窪田 金次郎
    1975 年 42 巻 4 号 p. 491
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 1975 年 42 巻 4 号 p. 494
    発行日: 1975年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
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