口腔病学会雑誌
Online ISSN : 1884-5185
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37 巻, 4 号
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  • 中沢 勇, 雨森 洋
    1970 年 37 巻 4 号 p. 257-278
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 寺嶋 節子
    1970 年 37 巻 4 号 p. 279-286
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    ウ蝕を有する比較的新鮮な抜去歯の縦断面に種々の染色液を試みた結果, 塩基性フクシン・プロピレングリコール液の5秒間染色によって軟化象牙質が染まる表層と染まらない深層とに明瞭な境界をもって分かれることを発見し, この染色の深さと硬さ・自然着色・細菌侵入度との関係を41歯の46カ所について検討した結果, 次のような知見を得た。
    1.すべての場合に軟化開始部が最も深く, 自然着色がこれに次ぎ, 細菌侵入が最も遅れていた。フクシンによる染色は細菌侵入の深さと前後していた。
    2.急性ウ蝕の軟らかい軟化象牙質は一般に自然着色が薄く, 逆に色素により濃染した。慢性ウ蝕の比較的硬い軟化象牙質では一般に薄く染色され, 特に濃く自然着色された硬い軟化象牙質はまったく染まらなかった。
    3.急性ウ蝕では細菌侵入よりもやや深くまで染色されることが多く, 慢性ウ蝕では染色部よりもやや深く細菌が侵入していることが多かった。
  • 真空埋没による埋没材の物理的性質の変化
    小野 勝
    1970 年 37 巻 4 号 p. 287-294
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    鋳造修復物を作るに当り, 鋳造体面より気泡をとり除く方策の1つとして真空埋没法がとられるようになったが, 精密適合の鋳造修復物を作るための膨縮計算は常圧練和時の埋没材膨張量によって行なわれているのみなので, 著者は, 真空練和による埋没材の膨張量を測定すると同時に, その他の物理的諸性質を常圧練和によるものと比較検討した結果次の事柄が判明した。
    1.埋没材を真空練和すると, 埋没材の温度は上昇するが, 練和を中止し真空下で埋没操作を行うと徐々に下降する。しかし, これを常圧に戻せば初期凝結の始まる前に室温に復するので, この温度変化による蝋型の膨縮は考慮に入れる必要はないものと思われる。
    2.真空練和すると加熱膨張量は変らないが, 凝結膨張量がわずかに増した。また真空練和時に混水量を増すと凝結膨張量, 加熱膨張量ともに減少した。このことより常圧練和と同じ全膨張量を真空練和により得るためには, 混水比を0.36から0.37に1%増すとよいことが判った。
    3.凝結時間は真空練和することにより早くなった。
    4.破砕抗力, 引掻き硬さともに真空練和したものが常圧練和のものより丈夫であった。
    5.真空練和することにより, 埋没材の肉眼的に見うる気泡は全くとり除かれた。
  • 深江 允
    1970 年 37 巻 4 号 p. 295-302
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    エナメル質の石灰化に伴なう蛋白質の脱却の現象はすでに知られている。このような蛋白質の脱却と無機質との関係を分析し, 脱却される蛋白質の種類と様式についてしらべ, さらにムコ多糖の動態についても研究した。牛幼若エナメル質を発育に従い各stageにわけ分析した。
    その結果は初期のエナメル質石灰化において水含量はほとんど変らず, 無機質が脱却される有機質と置換して増加することがわかった。蛋白質の脱却は分子量約60, 000のものが減少し, つづいて約13, 000のものが減少すること, ムコ多糖は量的に非常に少く, 蛋白質の約1/100以下でありやはり石灰化に伴なって減少することがみとめられた。
    有機質の脱却はエナメル質のうちごく狭い部分で急激におこることが明らかになった。
  • 原 重信
    1970 年 37 巻 4 号 p. 303-311
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    骨や歯にはクエン酸が多く, その生理的意義は硬組織研究における重要な問題とされている。
    本研究では, 硬組織や合成または鉱物の無機質を材料とし, それらの粉末をカラムにつめ, 放射性クエン酸のクロマトグラフィーを行ない, その溶出パターンから吸着性をしらべた。
    灰化骨やエナメル質粉末はクエン酸に対し強い親和性を示し, 合成ハイドロキシアパタイト, 象牙質, フルオロアパタイト等はやや劣るが, 相当量のクエン酸のとりこみがみとめられた。これに反して炭酸カルシウム (大理石粉末) はクエン酸に対する親和性がまったくみとめられず, すべて溶出してしまった。
    クエン酸とは対照的に, 乳酸はどの試料についてもとりこみはおこらなかった。
    弗素イオンはクエン酸と拮抗し, 灰化骨粉カラムに一旦とりこまれたクエン酸も弗素溶液により殆んど完全に置換, 溶出された。
  • 小野 富昭
    1970 年 37 巻 4 号 p. 312-337
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    口腔粘膜における病的角化の機構ならびにそれに関与する微細構造を研究する目的で, 過角化を示めす白板症8例, 錯角化を示す扁平紅色苔癬5例, および臨床的に健康な付着歯肉上皮3例について, tonofilament, keratohyalin顆粒, membrane-coating granules (MCG) およびdesmosomeを中心に電子顕微鏡的に比較検討し, 次のような結果を得た。
    1.Tohofi1amentについて
    Tonofilamentは3者ともに基底細胞層から角質層表層にいたるまでのいずれの上皮細胞において認められる。しかし白板症の場合には上皮の全層にわたって総体的にtonofilamentの数が多く, その分布が密である。
    a) 基底細胞層から顆粒層にかけてtonofilamentは3者同様に順次発達し, 次第に数が増加する。
    それとともに束状に集束し, その集束は疎であるために個々の丘1amentが識別される。
    b) 角質層の細胞はいずれも全般的に電子密度が増大し顆粒層の細胞とは明確に識別される。
    イ) 扁平苔癬および歯肉上皮においてはtonofilamentの束が表層にいたるまで観察される。それらの集束は顆粒層におけると同様に疎であり, 個々のfilamentが識別される。
    ロ) 白板症におけるtonofilamentの束は角質層の深層までは他の2者とほぼ同様であるが, 中層では不規則に交錯し, かつ密に集束するようになり, 個々の丘lamentの識別は困難である。表層の細胞ではtonofi1amentが細胞質全体に密に充満するために均質的に電子密度が高く, filamentの束状構造はみられない。
    2.角質層を構成する細胞の核について
    扁平苔癬および歯肉上皮ではかなり表層まで変性した核を認めるが, 白板症では角質層の深層まで核が認められ, まれには中層にもそれが認められる。
    3.角質層のdesmosomeについて
    いずれの角質層においてもdesmosomeが認められ, その形態は下部細胞間のそれと類似している。
    しかし白板症の表層ではdesmosomeの数は少ない。
    4.Keratohyalin顆粒について
    Keratohyalian顆粒は3者ともに観察される。いずれも同一構造を示し, 電子密度が高く, 均一無構造で, RNP顆粒と関連している。Tonofilamentとの関連が明瞭なものと不明瞭なものとがある。
    5.MCGについて
    MCGは3者とも棘細胞の上部で出現し, 角質層下部領域で消失している。この顆粒は限界膜で囲まれ, その内部に層板状, うず巻状, 顆粒状およびそれらの移行を示す構造を有している。層板状の内部構造を有するものが多くみられる。
  • 早川 巌
    1970 年 37 巻 4 号 p. 338-347
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    歯槽骨の吸収が高度で, 低くなった顎堤は, 全部床義歯の維持安定を著しく阻害する。したがって, 歯を失なった後の歯槽骨の吸収機転を究明することは, 歯科補綴学の大きな命題となつている。
    しかし, この問題解明の直接の手がかりとなる骨の石灰化に関してすら, いまなお研究の途上にある。
    そこで本研究では従来骨の石灰化と密接な関係にあると考えられている酵素“アルカリ性ホスファターゼ, ピロホスファターゼ”について生化学的に研究することとした。この両酵素は, 古くから互に異なるものと区別されてきたが, 最近, Mossらによって, 軟組織の実験では, 同一酵素ではないかとの推定がなされている。そこで, もし硬組織 (骨) のホスファターゼにおいても, 同様の推定が可能ならば, 骨の石灰化におけるアルカリ性ホスファターゼの役割について, またアルカリ性ホスファターゼとピロホスファターゼとの関連性について, 両者間の関係をより明瞭にすることができるのではないかと考えた。そこで著者は, 主として硬組織 (骨) 由来の酵素について両酵素活性, それらに対する各種阻害効果, アイソエンザイム像, その他の特性について, 他臓器由来酵素と比較検討し, 次のような知見を得た。
    1.骨抽出液の両酵素活性は, ゲル濾過によって分離出来なかった。
    2.電気泳動を行うと, ピロホスファターゼのzoneは, アルカリ性ホスファターゼのzoneと全く一致した。
    3.L-フェニルアラニンおよび熱による阻害作用でも, 両酵素は同様の影響をうけた。
    これらの結果より, 骨のアルカリ性ホスファターゼは, ピロホスファターゼであると思われた。
  • 荻野 昭夫
    1970 年 37 巻 4 号 p. 348-358
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    酸性弗素燐酸溶液 (F: 1.2%, H3PO4: 0.1M, pH: 3) の作用によってエナメル質中に取り込まれた弗素が, どのような形で存在するか, さらにはエナメル質において結晶学的にどのような変化がみられるかを知るため, 牛歯エナメル質およびヒトの乳歯, 永久歯エナメル質を用い, X線回折分析法と赤外線吸収スペクトル分析法を併用して検討すると同時に, 乳歯エナメル質および永久歯エナメル質との場合を比較検討した。その結果次のような結論を得た。
    1.未作用の牛歯エナメル質粉末のX線回折図形は特異的なアパタイトピークを示しているが, これに酸性弗素燐酸溶液を4分間作用させると, 特異的なアパタイトピークの強度が著明に減少し・反面・幅広いCaF2のピークを容易に検知することができた。この傾向は14日間作用においてさらに著明に認められた。
    2.牛歯エナメル質粉末に酸性弗素燐酸溶液を4分間および14日間作用させた場合, 回折図形や算出した格子定数の比較からいわゆるフルオロアパタイトへの変化は殆んど認められなかった。
    3.作用時間と共に牛歯エナメル質のピークの強度は徐々に減少し, 回折線の分離も不明瞭になり, 明らかにcrystallinityの低下をきたした。しかしながら14日間という長時間作用後においても, 本来のアパタイト構造は基本的には残っていた。
    4.乳歯および永久歯エナメル質の赤外線吸収スペクトルからも, 基本的には共にアパタイト構造を示し, 作用後においても, 14日間作用時の472cm-1吸収バンドの消失を除いては著しい変化を認めることはできなかった。しかしながら乳歯エナメル質の方が多少溶液の作用による影響を受け易いように思われた。
    5.酸性弗素燐酸溶液の局所塗布がかなりの齲蝕抑制効果をもつという報告がみられるが, 本研究の結晶学的観察ではすべてin vitroの実験であるので, その結果を臨床成績と直接関連づけて比較検討することは困難であると思われる。
  • 第1報因子分析法による検討
    石黒 慶一
    1970 年 37 巻 4 号 p. 359-386
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    下顎前突の成因の遺伝的要因と環境的要因の解明にあたって, まず, 多変量解析法の一方法である因子分析法によって, 顎顔面頭蓋の形態変異の様相の把握を試みた。
    資料は, 下顎前突患者を発端者とする両親, 同胞からなる50家族193名の側貌頭部X線規格写真を用い, 顎顔面頭蓋形態を多変量として把えるため, 各々の側貌頭部X線規格写真上に30計測点を設定し, これらの計測点の基準X軸, 基準Y軸からの座標値を求め, 年齢差, 性差の補正を行なった後, BMD-X72のプログラムにより因子分析を実施した。
    その結果, 次のような所見を得た。
    1.顎顔面頭蓋の形態変異には, 主として次の10個の因子が関与していることがわかった。
    第1因子: 上顎骨長径関与因子
    第2因子: 下顎骨長径関与因子
    第3因子: 下顎骨下顎枝部高径関与因子
    第4因子: 上顎骨歯槽口蓋部高径関与因子
    第5因子: 脳頭蓋底中央部高径関与因子.
    第6因子: 脳頭蓋底長径関与因子
    第7因子: 下顎骨歯槽部高径関与因子
    第8因子: 脳頭蓋底前部高径関与因子
    第9因子: 上・下顎骨歯槽部長径関与因子
    第10因子: 上顎骨上顎洞部高径関与因子
    この結果, 顎顔面頭蓋の複雑な形態変異が10個の因子によって総合的に認識できることがあきらかとなった。
    2.顎顔面頭蓋の形態変異において, 下顎骨の形態変異と上顎骨のそれとの間には, 因子負荷の大きさの程度からみて, 相互作用がみられず, 明らかに異なる変異のパターンをもつものであった。これは, 下顎前突の形態変異の特徴の把握, その成因の解明に手掛りとなるものと示唆された。
    3.上・下顎骨では, それぞれにおいて高さと長さの変異は, 歯槽部を除くと, 明らかに異なる変異を示した。
    4.上・下顎骨の歯槽部の変異は, 相互に密接な関係がみられた。
    5.顎顔面頭蓋の形態分析において, その変異を総合的に多変量としてとらえることは, 下顎前突のような顎顔面頭蓋の形態異常の成因に関する分析に有効な手段となりうることが示唆された。
  • 黒崎 紀正
    1970 年 37 巻 4 号 p. 387-397
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/12/08
    ジャーナル フリー
    アマルガム構成成分のいかなる元素がいかなる場合に, どこまで歯質中に浸透するかを知るために, 古いアマルガム充填を有する人の抜去歯牙と犬の歯の窩洞にそのままあるいは人工軟化象牙質を作ってアマルガム充填を施したものとを用い, その断面を肉眼および光学顕微鏡によって観察し, またX線マイクロアナライザーによって分析検討した結果, 次のような知見が得られた。
    1.人のアマルガム充嗔抜去歯牙の窩底象牙質にはいろいろな範囲の褐色から黒褐色の着色がみられ, その部には多かれ少なかれCa濃度の低下が認められ, この部にはHgとAgは浸透していなかったが, SnとZnの浸透が認められた。その浸透の深さは軟化象牙質内にとどまっており, これより深く正常象牙質までおよんでいることはなかった。
    2.犬の正常象牙質窩洞にアマルガム充填を施したものでは実験期間にかかわらず, 窩底象牙質の着色はみられず, またいずれの元素の浸透も認められなかった。
    3.犬の人工脱灰窩洞にアマルガム充填を施したものでは軟化象牙質の深部にかすかながら灰色に着色した層が観察されたが, HgとAgの浸透は認められず, SnとZnのみの著明な浸透がみられた。
    しかしその深さは軟化象牙質内にとどまっており, これより深く正常象牙質までおよんでいることはなかった。
    4.軟化象牙質に浸透したSnとZnの濃度は初期には窩底象牙質の表層部で高く, 深部にいくにしたがって低くなっていたが, 時日の経過とともに表層のいわゆる第1脱灰層相当部の濃度が低下し, 逆に深層の第2脱灰層相当部に著明に蓄積されて, 正常象牙質のやや手前に明瞭なピークを作った。
  • 石原 伊和男
    1970 年 37 巻 4 号 p. 398-418
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    病巣感染の原病巣の診断法の1つとしてElektro-Herd-Test (E.H.T.) がある。駒村は, 何らかの歯牙疾患を持っている者と健康者について顔面のE.H.T.を行い, 歯髄疾患や歯周疾患のある者では顔面皮膚に見られる知覚過敏帯の出現頻度が高く, 知覚過敏帯の顔面の部位と罹患歯種との間には深い関連性があると報告している。しかし顔面のE.H.T.では原病巣の所在, 部位を適確に知ることは難しい。
    著者はこの診断法を患歯と関連のさらに深いと思われる歯肉粘膜に適用し, 歯肉のE.H.T.の臨床的価値を検討するため, 陽通電刺激と矩形波による陰通電刺激を用いて被検歯と対照の反対側同名歯の歯肉の感覚及び痛み閾値を測り, in situの人の歯に, 各種の歯髄の保存療法や除去療法を行い, その術前, 術後の歯肉の感覚ならびに痛み閾値の変動を対照歯のそれと比較しながら経時的に観察した。なおE.H.T.の診査に, より客観性を与えるため, 歯髄の電気刺激時の歯肉脈波の変動も調べた。
    その結果, 陽通電, 矩形波電流の陰極刺激を用いた場合の, 術前, 術後の閾値変化は差がなく (危険率10%) , 根尖を損傷する処置 (抜髄, 根管治療) を行った時の陽通電に対する痛みの刺激閾値は, 術後1週間~1カ月で下降し, 根充後1週間~1カ月になると上昇する傾向を示し, 歯髄, 歯根膜に加えられた手術による組織障害や, その治癒経過は歯肉の痛み及び感覚の刺激閾値の変動に深い関連を持ち, 歯肉のE.H.T.が原病巣の探索に役立つと思われる結果を得た。一般に閾値の変化は, 歯髄, 歯根膜に加えられる侵襲や処置後, 数日乃至は数週間後に起った。
    E.H.T.など歯肉の電気刺激閾値を歯髄, 歯周組織の病態の判定に用いるとすれば, 操作の簡単な陽通電が好ましいことを知った。
    歯肉脈波の変動をCdSeを用いて観察したが, 歯髄の電気刺激時の脈波の変動は, 歯肉ではほとんど見られず, 指尖部に著明であった。
  • 第1報牛幼若エナメル質に含まれるムコ多糖の分離・同定
    深江 允
    1970 年 37 巻 4 号 p. 419-427
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    牛幼若エナメル質 (Cheese like enamel) を調製し, これをpapainで消化して高分子ムコ多糖を得, これをDEAE SephadexA25で分画し, 各画分のヘキソサミン量, ウロン酸量, 中性糖量を定量し, ムコ多糖の同定は電気泳動で, 各画分の構成単糖類をペーパークロマトグラフィーで行なった。
    結果は高分子ムコ多糖として5種類が認められ, そのうち量的にはわずかであるがコンドロイチン硫酸Aと, 構成糖としてグルコサミン, ガラクトース, マンノース, フコース, 未同定物質を含み, ウロン酸, 硫酸基を含まない中性ムコ多糖2成分が認められた。中性ムコ多糖は高分子ムコ多糖の88%を占める。
  • 川崎 孝一, 伊藤 昌男, 石原 伊和男, 松元 仁, 永沢 恒
    1970 年 37 巻 4 号 p. 428-444
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
    象牙質形成不全症 (Dentinogenesis Imperfecta) は骨形成不全症 (Osteogenesis Imperfecta) の症候群に随伴して起る場合と, 単独に出現するものとがある。著者等は汎発性骨折, 青色鞏膜, 難聴等のvan der Hoeveの三徴候が見られず, 骨形成不全症とは無関係で, 単独に発症したと思われる永久歯群の象牙質形成不全症を20歳の女性で観察した。本症は常染色体性優性遺伝で非常に浸透性の高い疾患で, Talbot (1893) によれば1882年以前にBarretによって報告されて以来, 多くの報告が相次いでいる。しかし特に組織学的には十分に万人を納得させるような実証を伴っていない。著者等は本症の本態を知るため, 先人の業績を参考にしながら, 臨床的, ならびに顎骨中の歯根形成途上の歯胚を用いて組織発生学的観察を行なった。
    その結果, 萠出歯はX線写真で77を除いた歯牙に, 歯髄腔の消失が見られ, 歯冠はすべて半透明の紫色がかった灰青色ないし褐色の変色が見られ, エナメル質には縦走する亀裂が多数見られると同時に, 高度の咬耗が観察された。摘出歯胚の歯根は既に透明度が高く, 歯髄を透視出来る程であった。歯冠部髄周象牙質には封入体が多数みられたが, 脈管と断定出来るものはなかった。封入体は内外二層の異なった構造物からなり, 内層は細胞成分の見られるものや, 大小種々の空隙からなり, 外層は細管のない好塩基性基質から成り, 周囲の象牙質と画然と区別された。この所見は研磨切片や脱灰切片とも全く一致している。研磨切片は光学顕微鏡下で内層構造は暗く観察されるが, 内部に気泡を生じたためで, 光を強く屈折するためであり, 歯胚の生活状態で既に見られる。象牙質には他に種々の変化が見られたが, 歯髄腔には巨大な象牙粒の他に大小種々の遊離性象牙粒が多数認められると同時に一部歯髄組織に萎縮性変化もあり, 歯髄腔の消失現象は歯胚の状態で既に観察される。Burton vitalometerによる歯髄の電気診に対する反応の有無, 矩形波パルス列刺激に対する反応からも組織標本の結果の十分な裏付けが得られた。
  • 総山 孝雄
    1970 年 37 巻 4 号 p. 445-452
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 古屋 紀一, 大畑 直暉
    1970 年 37 巻 4 号 p. 453-458
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 西村 文夫
    1970 年 37 巻 4 号 p. 459
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 清水 正春
    1970 年 37 巻 4 号 p. 460
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 藤沢 盛一郎
    1970 年 37 巻 4 号 p. 461
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 神田 重信
    1970 年 37 巻 4 号 p. 462
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 荻野 昭夫
    1970 年 37 巻 4 号 p. 463
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 川崎 孝一
    1970 年 37 巻 4 号 p. 464
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 松本 直之
    1970 年 37 巻 4 号 p. 465
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
  • 1970 年 37 巻 4 号 p. 469
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/10/08
    ジャーナル フリー
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