われわれは対象とする脳疾患との類似度を一つの客観的な指標値として算出する脳疾患診断支援法を考案し,アルツハイマー型認知症や軽度認知障害患者をターゲットとしてこれまでその性能を評価してきた.また,約20,000件のFDG-PET画像から重複しない約6,000名の正常被験者を厳選し,性別・年齢階層別の正常脳データベースを構築した.これら2つの技術を浜松PET診断センターのシステムに導入し,実際の臨床現場において試験的な運用を行っている.これまで約2年間・735名の検診者に対する医師の診断結果と本手法により算出される指標値とを比較したところ,感度75.6%,特異度78.1%,正診率77.8%となり,軽度認知障害患者を対象とした場合の精度と同等の精度が得られた.このように認知症の早期発見を目的とする健常者を対象とした大規模な脳検診においても,本手法の診断支援ツールとしての有用性が示された.
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