Medical Imaging Technology
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33 巻, 1 号
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特集/脳を対象とした縦断的画像の利用
  • 深見 忠典
    2015 年 33 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/29
    ジャーナル フリー
  • 瀧 靖之
    2015 年 33 巻 1 号 p. 3-6
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/29
    ジャーナル フリー
    近年,多数の被験者を対象とした研究や大規模な疫学研究において,磁気共鳴画像(MRI)を用いた脳画像の収集も行われるようになっている.このような疫学研究に脳画像を用いる際,ある一時点での横断的なデータ収集だけではなく,縦断的にも収集することは大変重要である.横断研究の利点は,比較的短期間に幅広い年齢層のデータを収集できることだが,一方で,種々の解析を行う際に,横断研究では個人間でのばらつきが結果に影響してくる可能性がある.これに対して,縦断研究では,収集に大きな時間と手間がかかるが,個人内の変化を解析するために軽微な変化を鋭敏に捉えることができる.本稿では,われわれがこれまで遂行してきた大規模脳画像データベースを用いた,脳発達,加齢研究の横断的,縦断的解析結果を提示し,横断研究および縦断研究からみた脳の発達,加齢を紹介したい.
  • 松成 一朗
    2015 年 33 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/29
    ジャーナル フリー
    アルツハイマー病に代表される認知症は,高齢化社会を迎えるわが国の健康上の最大の心配事のひとつである.われわれは,認知症などの脳変性疾患の早期診断法の確立を目指して2002年より「石川ブレインイメージング研究」に取り組んできた.これまで1,365例の地域ボランティア被検者と590例の認知症(疑い含む)患者にMRI/18F-fluorodeoxyglucose(18F-FDG)PET検査を施行してきた.その結果,ボランティア被検者であってもさまざまな疾患を抱えている場合があり,健常者の基準を満たさない例も数多く存在すること,アルツハイマー病には多様性があり,海馬にほとんど萎縮がなく,代謝低下の中心部位である後部帯状回に脳萎縮を認める場合もあることなどを明らかにしてきた.今後,これまで蓄積したデータが日本の多施設認知症研究でどのように利用できるかを検討中である.
  • 伊藤 健吾
    2015 年 33 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/29
    ジャーナル フリー
    アルツハイマー病(AD)の画像診断に関連した代表的な多施設共同研究としては,「MCIを対象としたアルツハイマー型痴呆の早期診断に関する研究(J-COSMIC)」,「MCIを対象とするアルツハイマー病の早期診断に関する多施設共同研究(SEAD-Japan)」,Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)などがあり,臨床評価,神経心理検査以外のおもな評価対象は,前二者では,それぞれ脳血流SPECT,FDG-PETであったが,ADNIでは,画像(MRI,FDG-PET,アミロイドPET),髄液バイオマーカー,遺伝子など多種類のバイオマーカーが対象となっている.これらの研究で確立されたADの発症と進行の標準的な評価法は,治療薬の開発に大きな貢献をすると予想される.
  • 根本 清貴
    2015 年 33 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/29
    ジャーナル フリー
    全脳を対象に灰白質・白質の密度や体積をボクセルごとに探索的に評価するボクセルベース・モルフォメトリー(voxel-based morphometry: VBM)は脳形態画像解析において広く用いられている.近年,これを縦断解析に応用した結果が発表されている.縦断VBMは,前処理の時点で工夫が必要であり,統計解析においても反復測定であることを考慮に入れた統計モデルを作ることが重要となる.縦断VBMはまだ方法が十分に確立しているとはいえず,さまざまな要因で結果が変わり得ることから,解析を行う際には注意が必要である.疾患の病態や健常加齢による脳形態変化を解明するためには,縦断解析は必要不可欠であることから,再現性の高い標準的な解析手法の確立が望まれる.
  • 舞草 伯秀, 深見 忠典, 松田 博史
    2015 年 33 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/29
    ジャーナル フリー
    アルツハイマー型認知症の発症の本質的な過程に直結した代理マーカー策定のための大規模な多施設臨床研究(ADNI)が,2004年より米国で発足した.これは臨床・心理・画像・生化学などの多様な検査を6か月間隔で2年ないし3年間行い,アルツハイマー型認知症の進行動態を正確にかつ客観的に評価する方法を策定する試みである.特に,MRIなど脳画像を用いて疾患による構造変化を捉える手法は,高い客観性と再現性をもつ代理マーカーになり得るとされている.しかしMRIは,用いる装置や撮像プロトコルに依存して画像の品質が異なるため,縦断的解析には一貫した撮像装置とプロトコルを用いる必要がある.また,MRIは撮像原理に起因する画像ひずみや信号不均一性の問題があるため,事前の補正が不可欠である.ADNIの成果によるデータベース公開は,過去に報告された脳画像解析法を用いた再現実験を可能にし,縦断的解析に内在する問題を明らかにした.縦断的脳画像解析では,画像変換の際の対称性や容積変化量における推移性を担保したアルゴリズムを用いることが重要である.
報告
日本医用画像工学会
編集後記
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