Medical Imaging Technology
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37 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
JAMIT 2019 大会査読付き論文<研究論文>
  • 奥村 直裕, 庄野 逸
    2019 年 37 巻 5 号 p. 217-229
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

    陽電子放射断層撮影(positron emission tomography; PET)スキャンは,がんの発見などの病気診断で注目されている.PETスキャンにおいて鮮明な画像を得ようとすればS/N比を上げる必要があり,これは観測時の被曝量増加につながる.このため,被曝量を抑えつつ,画像のS/N比を上げることが望まれている.本研究ではこの問題に対して,実画像表現とサイノグラム表現のそれぞれにおけるノイズ除去手法を組み合わせた手法を提案する.サイノグラム表現に対するノイズ除去手法としては,辞書学習を用いた手法を適用した.実画像表現に対するノイズ除去手法としては,正則化アプローチに基づいた手法を適用した.このような2種類のノイズ除去手法を組み合わせてノイズ除去を行うアプローチは,従来手法と比較して有効であることを確認した.

JAMIT 2019 大会査読付き論文<研究速報>
  • 山田 あゆみ, 寺本 篤司, 桐山 諭和, 塚本 徹哉, 今泉 和良, 星 雅人, 齋藤 邦明, 藤田 広志
    2019 年 37 巻 5 号 p. 230-234
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

    病理診断において,肺癌の組織型を正確に把握することは,治療方針を決定するために重要である.病理医は画像のみでなく,患者の臨床的背景を理解して診断を行っている.そこで本研究では,液状細胞診(LBC)画像と患者臨床情報を用いた肺癌組織型分類手法を開発し,基礎評価を行った.はじめに,深層畳み込みニューラルネットワークを用いて,LBC画像から肺癌組織型に関する画像特徴量を抽出した.次に,電子カルテより患者臨床情報(喫煙情報など)を収集し,主成分分析により次元圧縮を行った.得られた画像特徴量とその画像に対応する患者臨床情報の主成分を識別器に入力し,3種類の肺癌組織型の分類結果を得た.149症例の臨床データを用いて,3分割交差検証にて評価を行ったところ,LBC画像単体での分類精度は82.9%であった.画像特徴と患者基本情報(年齢,性別,喫煙情報などを含む),また画像特徴と腫瘍マーカー値の情報をSVMに入力し,識別処理を行ったところ,それぞれ総合識別率は向上した.これらの結果から,提案手法の有用性が示唆された.

研究論文
  • 鈴木 朋浩, 工藤 博幸
    2019 年 37 巻 5 号 p. 235-243
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

    PET/SPECTなどの放射型CT画像再構成では,統計雑音が多く減弱補正が必要なため主として逐次近似再構成法が用いられるが,計算コストが大きい問題点がある.近年では,CT/MRI画像を利用した減弱補正も行われているが,比較的複雑な処理を必要とする.本論文では,フィルター補正逆投影(FBP)法で画像再構成した雑音が多く減弱補正されていないPET/SPECT画像に対して,後処理として畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて,雑音除去と減弱補正を同時に行う手法を提案する.放射能分布画像と減弱係数分布画像の原画像からシミュレーションにより作成した投影データを補正なしの単純FBP法で再構成し,それと原画像とのペアを教師データとして,CNNの学習を行った.さらに,その際に単純FBP法画像に加えCT画像(マルチモダリティー画像)を入力チャネルに用いることで,低周波アーティファクトに対してより良好な補正結果が得られることが明らかになった.本手法により,短時間での減弱補正と雑音除去が可能となる.

  • 福嶋 一茂, 平野 靖, 木戸 尚治, 岩野 信吾
    2019 年 37 巻 5 号 p. 244-254
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

    近年,コンピューター診断支援(computer-aided diagnosis; CADx)システムに関する研究では,ディープラーニングが使用される機会が多くなってきており,従来よりも高い性能を示すことが報告されている.肺結節の良悪性鑑別のためのCADxシステムでも同様の傾向があるが,それらはCT像などを入力とし,良性あるいは悪性の尤度のみを出力するか,クラス分類するものが一般的である.一方で,患者に対して医師が肺結節の診断結果を説明する際には,良悪性の尤度だけでは不十分であり,診断結果の根拠を説明することが求められる.そこで本研究ではディープラーニングの一形態であるCNN(convolutional neural network)を用いて,CT像中の肺結節が悪性であることを示唆する画像所見の存在の尤度を診断の根拠として提供し,さらにそれらの尤度を入力とするNN(neural network)によって良悪性の鑑別結果を医師に提供するCADxシステムの構築を行った.55個の良性結節と120個の悪性結節を用いて本手法の性能を評価した結果,識別率は79.02±8.43[%]となった.

日本医用画像工学会
編集後記
第37巻総目次
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