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栗林 孝明, 横田 壮司, 村田 章太郎, 五味 學
セッションID: 1P19
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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我々は室温でわずかな電気磁気効果(ME)を示すCr
2O
3極薄膜を作製し、その電子デバイスへの応用の可能性を探る研究を行っている。これまでCr
2O
3/(La,Sr)MnO
3(LSMO)構造においてCr
2O
3のゲート電圧の変化によってヘテロ界面の輸送特性を変調できることを示してきた。今回、それらの輸送特性とME効果との関係を詳細に調べるために、チャネルである強磁性層の膜厚を変化させた試料を作製し界面交換結合状態とその輸送特性に関して評価を行った。LSMOの膜厚を20~80 nmと変化させたところ、強磁性キュリー温度は、膜厚の減少に伴って減少した。この試料上にCr
2O
3を成長させたところ80 nmの試料において交換結合が確認された。当日は、これら交換結合の関係と輸送特性との関係を議論する。
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梅木 真也, 眞田 智衛, 玉置 純, 小島 一男, 上城 政博, 松浦 康行
セッションID: 1P20
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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BaTiO
3系PTC材料では、希土類イオン(ドナー)がドープされ半導体化している。本研究では、半導体化の鍵をにぎるドナーの挙動を調べた。BaTiO
3(Ca、Sr、Pbドープ)に希土類としてPr
3+、Y
3+イオンをドープしたBaTiO
3系PTC材料を固相法により調製し、PTC素子として電気特性を調べるとともに、希土類イオンの挙動について、XRD、SEM、蛍光-吸収スペクトル、Ramanにより調べた。その結果、電気特性とドナーの挙動について明らかな相関があった。
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安達 裕, 坂口 勲, 大橋 直樹, 羽田 肇
セッションID: 1P21
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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近年、ZnOは紫外発光デバイスへの応用が期待され活発に研究されている。ZnOは青色発光ダイオードとして実用化されているGaNと同じウルツアイト構造を有し、基板上にc軸配向した成長をしやすい。GaN発光デバイスでは効率改善のため非極性面成長に関する研究が最近盛んに行われており、ZnOにおいても非極性面成長に関する情報を得ることは重要であると思われる。R面サファイヤ上にZnOを成長させると非極性面である(1120)面が配向するが、そのc軸長は基板の影響によりバルク値よりも小さくなる。本研究ではミスマッチの影響による格子定数の変化が電気特性にどのように影響するかに関して調査したので報告する。
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清水 幸介, 五味 學, 近藤 雄太, 横田 壮司
セッションID: 1P22
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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超音波スプレー熱分解(USP)法は大面積ZnO膜を簡便に作製可能な手法であり、得られたZnO膜は膜中に欠陥が少ないことを示唆する強い紫外バンド端(約3.3 eV)PLを示すものが多い。しかし、デバイス作製に不可欠な表面平滑性を含めた膜の質に関する総合的な評価はなかった。そこで、本研究では、ZnO膜を酢酸亜鉛水溶液と空気をキャリアーガスとしたUSP法によりガラス基板上に作製し、作製条件と光・電子物性との相関からUSP法の有効性を調べた。その結果、300 ~ 400℃の低温で強い紫外PLを示すZnO膜が得られ、その物性は膜表面モフォロジーと強い相関があることが明らかとなった。
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木戸 博康, 谷 淳一
セッションID: 1P23
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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固相反応法によるケイ化鉄半導体作製への銅の添加効果について報告する。原料調整時に銅添加を行い,固相反応による半導体相生成への効果を調べた。また,実用上大切な焼結体作製後の結晶相についても検討した。
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滝澤 修一, 五味 学, 吉田 英俊, 古川 尚徳, 横田 壮司
セッションID: 1P24
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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強磁性(反強磁性)と強誘電性が共存するマルチフェロイックスは、磁界(電界)による分極(磁化)変化が可能な交差相関物質として期待され、物性の探査がなされている。これまでに我々は強誘電体BaTiO
3に反強磁性体Fe
2O
3を添加した焼結体を作製し、これが母材のBaTiO
3中に微量の強磁性体BaFe
12O
19およびBa
12Fe
28Ti
15O
84が生成した複相系マルチフェロイックスであることを報告した。BaFe
12O
19の物性はよく知られており、また結晶の対称性から単相で強誘電特性を有することは期待できない。一方でBa
12Fe
28Ti
15O
84は比較的安定に存在するものの物性の詳細な報告がなく、またTiの結合状態に起因した強誘電性を発現する可能性を有している。そこで本実験はBa
12Fe
28Ti
15O
84に着目し、単相でこれを作製し磁気特性を評価した。併せてFe濃度の異なる試料も作製し結晶相および磁気特性の変化を検討した。
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坂元 尚紀, 渡辺 友亮, 松下 伸広, 久保田 佳基, 高田 昌樹, 吉村 昌弘
セッションID: 1P25
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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12CaO・7Al
2O
3(C12A7)結晶は、通常不安定な陰イオン種(電子(e
-)、水素イオン(H
-)、酸素イオンラジカル(O
-)など)を室温で安定に包接することが見いだされ、注目を集めている。本発表では、我々が初めて発見した、C12A7結晶が空気中で示す200℃付近での水蒸気吸収現象と、それに伴う結晶構造変化について報告する。水蒸気の吸収に伴ってC12A7結晶の格子定数が増大し、水分子の振動ν
1A
1が強まることがXRDおよびRaman散乱により観察された。SPring-8のXRDを用いたMEM/Rietveld法により構造解析した結果、水分子がかご構造内のS
4軸対称を持った位置に存在している可能性を見出した。
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井出 智之, 山田 高広, 山根 久典
セッションID: 1P26
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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アンモニア気流下において,ビスマス-ガリウム融液,またはビスマス蒸気中でガリウム融液を1173-1473 Kで0.5-5 h加熱して得られた窒化ガリウムの形態を観察した.1173-1273 Kでは,合成に用いたBNルツボを型とするGaNの多結晶体成形体が生成した.気相側ではc軸がルツボ面に平行に配向していることがX線回折測定の結果,明らかにされた.1373 K,1 hの加熱条件では、1 mol%のビスマスを添加したGa-Bi融液,またはBi蒸気中で加熱した試料では、坩堝口を塞ぐように濡れあがった状態で窒化ガリウムが得られた.気相側は緻密で硬質な表面で、坩堝側は粉末の集合体状であった。この気相側表面に無色透明のGaN単結晶が観察され、その大きさは最大300 μm程度であった。
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粕谷 祐貴, 岡野 純也, 伴 隆幸, 大矢 豊
セッションID: 1P27
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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酸化ガリウムは紫外光を透過する酸化物半導体として知られており、新しい光電子材料として注目を浴びている。この酸化ガリウム薄膜をオキシ水酸化ガリウム及び硝酸ガリウムを原料としてディップコーティング法によって作製した。得られた薄膜の構造をSEM、TEMで観察し、光学特性、電気伝導度について測定した。さらに、数種のドーパントを添加して、これが電気伝導度などに及びす影響を検討した。その結果、作製した酸化ガリウムは膜は4.7eV程度の光学バンドギャップを有し、5x10
6Ωcm程度の比抵抗を有していた。さらにZrやTiをドープすると約一桁比抵抗が減少することが分かった。
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磯村 亮太, 守谷 誠, 坂本 渉, 余語 利信
セッションID: 1PA01
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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現在、リチウムイオン二次電池の正極材料には、合成が容易かつ高い放電電圧が可能な層状構造を有するLiCoO2が主に用いられているが、コバルトの全世界での可採埋蔵量は限られており、コストが高価であるなどの問題がある。LFePO4は、比較的高い理論容量を有し、資源として豊富でかつコストの低い鉄元素が主成分となっており、環境負荷も小さく、さらにリンを構成元素に含み、酸素原子がリン元素と強く共有結合しているために高温での安定性、安全性に優れることから、次世代の正極材料として大きな注目を浴びている。本研究ではこのLiFePO4の合成法として、簡便かつ容易な合成プロセスであり、低エネルギー消費など多くの利点を有する水熱合成法を採用した。また、LiFePO4粒子について粒子サイズの制御および不活性ガス雰囲気中でのアニール処理について検討し、その充放電特性に及ぼす影響についても調査した。
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花村 康一, 横井 敦史, 杉下 潤二
セッションID: 1PA02
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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近年、鉛による地球環境汚染が懸念される中、PZT強誘電体の代替材料となる新規材料の開発が急務とされている。そこで、ビスマス層状構造の強誘電体は非鉛系強誘電体の候補の一つとして挙げられ、耐疲労特性に優れていることが知られている。本研究では、Bi
4Ti
3O
12セラミックと同様の結晶構造を有するSr
0.5Bi
2.25Na
1.25Nb
3O
12セラミックに着目し、Sr
0.5Bi
2.25Na
1.25Nb
3O
12セラミックの誘電率の温度依存性の詳細を検討するために、高温X線回折を用いて、誘電率の温度依存性について検討を行った。
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西尾 吉豊, 小澤 正邦
セッションID: 1PA03
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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γ-Al
2O
3にLaを0.1~10mol%含浸添加することで耐熱性を有する触媒坦体を作製し,600℃~1400℃の範囲での固相反応の様子を,XRDによる構造解析,XPSによる表面分析, SEMによる形態観察等により調査した.添加されたLaはアモルファス状態でアルミナ粒子を修飾するが,焼成温度の上昇にともない,アルミナ二次粒子中にLaAlO
3を生成し,固相反応が進行するとさらに板状のLaAl
11O
18を生成した.
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水野 祐介, 手嶋 勝弥, 鈴木 孝臣, 大石 修治
セッションID: 1PJ01
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
フリー
ZnOは電子セラミック材料や光触媒として,近年,注目されている物質である。本研究では,NaClフラックス冷却法あるいは蒸発法により,白色のZnO結晶を育成した。特に,保持温度,溶質濃度あるいは冷却速度などの結晶成長への影響を調査した。また,有機色素を用いた光触媒実験により,ZnO結晶が光触媒特性をもつことを確認した。
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手嶋 勝弥, 櫻井 光男, 鈴木 孝臣, 大石 修治
セッションID: 1PJ02
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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Ca
5F(PO
4)
3は,六方晶系に属する安定な結晶である。Ca
5F(PO
4)
3は,歯や骨の主成分であるCa
5OH(PO
4)
3より耐酸性能力に優れる。過去にCa
5F(PO
4)
3単結晶はフッ化物フラックスなどから育成されているが,NaClフラックスからの育成例は見当たらない。本研究では,人体や環境に全くの無害で,天然に豊富に存在するNaClをフラックスに用いた冷却法により,Ca
5F(PO
4)
3結晶を育成することを目的とした。生成したCa
5F(PO
4)
3結晶は無色透明であり,両端にピラミッド面が発達した六角柱を基本形状とした。生成した結晶の大きさは,溶質濃度や保持温度に依存した。
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敷根 延隆, 手嶋 勝弥, 湯葢 邦夫, 大場 点, 鈴木 孝臣, 宍戸 統悦, 大石 修治
セッションID: 1PJ03
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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光学分野やバイオ分野への応用が期待されるアップコンバージョン蛍光体は次世代蛍光体として注目されている。蛍光体のホスト結晶にフッ化物を用いた場合,高い発光効率を示すことが知られている。本研究では,NaFフラックス冷却法によりNaYF
4:Ln結晶を育成し,そのアップコンバージョン発光を観察することを目的とした。生成した六方晶NaYF
4:Ln結晶は白色であり,サブミクロンオーダーの結晶サイズであった。ドーパントに用いたYb, ErあるいはTmの濃度を変化させることで発光色の制御に成功し,赤,緑あるいは青色発光を可能にした。
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大谷 茂樹
セッションID: 1PJ04
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
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FZ法によりLaB6単結晶を作製した。結晶中のインクリュージョンと亜粒界は、5mol%のYB6を原料に添加することにより、それぞれ一桁および1/3に減少した。前者は融液が定比組成に近づいたため、後者は1%のYの固溶のため(固溶体硬化法)と、思われる。
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日高 美樹, 手嶋 勝弥, 鈴木 孝臣, 大石 修治
セッションID: 1PJ05
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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アルミナ多形の中で最も安定した構造のコランダムは,高融点,高硬度あるいは高耐薬品性などの優れた特性をもつため,さまざまな分野で利用されている。近年では,コランダム単結晶基板の需要も高まっている。本研究では,酸化モリブデン系フラックス蒸発法により,クロムとニッケルをドープしたコランダム単結晶薄膜をエピタキシャル成長させた。
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岡田 繁, 森 孝雄, 宍戸 統悦, 工藤 邦男, 飯泉 清賢, 中嶋 一雄
セッションID: 1PJ06
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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ニオブーホウ素二成分系には6種類の化合物が知られている。先に著者らは金属フラックスを用いてニオブホウ化物の合成について報告した。しかし、詳細な合成方法と物理的な性質については報告していない。本報告では、超伝導体として知られているNbB
2結晶の合成条件と低温度域での磁化率測定を行ったので報告する。金属フラックスとして銅を用いて、原料の配合比B/Nb=1.7-2.5(原子比),Cu/Nb=29.4で、加熱温度1600℃,5h保持後、室温まで25-50℃/hで徐冷した。得られた結晶についてはXRDで結晶相と格子定数、EDXとSEMで組成比変化と結晶形態を調べた。NbB
2結晶の物理的性質はSQUIDを用いて2Kから室温までの範囲で磁化率を測定した。その結果について報告する。
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新名 優貴, 手嶋 勝弥, 鈴木 孝臣, 石澤 伸夫, 大石 修治
セッションID: 1PJ07
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
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一次元形状をもつ材料(例えばウィスカー,チューブあるいはファイバー)は,その特徴的な形態に依存して,さまざまな特性を示すことが知られている。このため,形状やサイズを制御して結晶育成することは,工業的な観点から,きわめて重要である。本研究では,KCl-Nb
2O
5系高温溶液から,ニオブ酸カリウムウィスカー(K
2Nb
8O
21)を育成した。生成したニオブ酸カリウムウィスカーは無色透明であり,光触媒特性をもつことが確認された。
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宍戸 統悦, 葉 金花, 岡田 繁, 工藤 邦男, 飯泉 清賢, 澤田 豊, 佐原 亮二, クマール ビジャイ, 湯葢 邦夫, 野村 明子, ...
セッションID: 1PJ08
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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RPd3Bx (R=希土類元素, 0≦x≦1)をアーク溶融反応法で合成した。RPd3Bx はペロブスカイト型構造の立方晶系(空間群:Pm3m)を示した。RPd3Bxのボロン非化学量論性、ミクロビッカース硬さ、耐酸化性を調べた。.
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宍戸 統悦, 松永 敬浩, 小中 尚, 稲葉 克彦, 湯葢 邦夫, 野村 明子, 佐藤 友章, 佐々木 正明, 川添 良幸, 中嶋 一雄, ...
セッションID: 1PJ09
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
フリー
有機錯体のビスアセチルアセトナト亜鉛Zn(acac)2・H2Oを前駆体として、無機のZnO繊維に転換した。熱処理温度と比表面積の関係をBET法で、熱処理温度と結晶子サイズ分布(結晶子数分布)の関係をX線回折法によりそれぞれ調べた。最適条件で調製された繊維は、ナノサイズの単結晶粒子から成り、可視光下で光触媒特性を示しVOCガスを分解した。
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村越 世理花, 手嶋 勝弥, 湯葢 邦夫, 鈴木 孝臣, 宍戸 統悦, 大石 修治
セッションID: 1PJ10
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
フリー
Na
2Ti
6O
13ウィスカーは紫外光照射下で光触媒特性を示すことが知られている。本研究では,温度と育成期間の大幅削減を可能にした環境調和型NaClフラックス法により,きわめて高品質なNa
2Ti
6O
13ウィスカーを育成できた。生成したウィスカーは無色透明で自形が発達しており,光触媒特性をもっていた。さらに,ウィスカーサイズへの育成温度およびフラックス冷却速度の影響も調査した。
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飯田 晃弘, 上松 和義, 戸田 健司, 佐藤 峰夫
セッションID: 1PL01
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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KNbO3単結晶は非鉛系の圧電体でも良好な圧電特性を持つことから現在使用されている圧電体の代替材料として非常に有望視されている材料である。しかしながら、通常の融液からの育成では1100℃程度の高温が必要であり、不一致溶融の問題から良好な単結晶が得られにくいという問題がある。我々はこれらの問題を解決するために、前駆体として層状ペロブスカイト化合物K2NbO3Fに着目した。今までの研究により、K2NbO3Fは容易に層間に存在するKFブロックが脱離、層状の構造状態を維持したままKNbO3を生成するという性質を持つことが明らかになっている。本研究では、K2NbO3Fをテンプレート前駆体として用いることにより、従来よりも低温で特異的な板状形態を持つKNbO3単結晶の育成に成功した。
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小久保 貴文, 柿本 健一, 大里 齊
セッションID: 1PL02
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
フリー
ニオブ酸カリウム(KNbO
3)結晶は室温で高い電気機械結合係数を持つ鉛フリー圧電材料であり、かつ高い非線形光学係数を示すことが知られている。我々は複合酸化物微粒子の合成法の一種であるPechini法を用いることにより、KNbO
3微粒子の合成が可能であることを既に報告した。本研究は合成した微粒子を焼結実験に供し焼結特性を調査することを目的とした。その結果、得られたKNbO
3微粒子は固相反応法における焼結温度よりも低温で焼結可能であった。
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広末 忠之, 松本 研司, 晝間 裕二, 永田 肇, 竹中 正
セッションID: 1PL03
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
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KNbO
3[KN]セラミックスは潮解性および難焼結性のため通常焼成にて高密度な試料の作製が困難とされてきた。本研究では、作製プロセスを変化させ、通常焼成で作製したKN焼結体の微細構造および密度について調査をした結果、特に仮焼条件が微細構造と密度に大きく影響を与えていることが明らかとなった。仮焼を600℃-4 hで行ったものは相対密度90~95%であったのに対し、仮焼を600℃-4 hと1000℃-4 hの2段階で行うことによって相対密度97~98%の高密度な試料を再現性良く得ることが出来た。SEMによる破断面の微細構造の観察の結果、2段階仮焼した試料の粒径は2~3 μmと細かく緻密な焼結体であることを確認した。
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堀田 達郎, 柿本 健一, 大里 齊
セッションID: 1PL04
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
フリー
(Na
0.5K
0.5)NbO
3-LiNbO
3系圧電セラミックスは高いキュリー温度を持つこと、およびLiが6 mol%付近で高い圧電特性を示すことが報告されており、鉛フリー圧電材料としての応用が期待されている。一方、その優れた圧電特性を発現するメカニズムは明らかにされていない。本研究では組成および温度によって(Na
0.5K
0.5)NbO
3-LiNbO
3圧電セラミックスの結晶構造を制御して、各パラメータに対するラマンスペクトルの依存性を評価することを目的とした。
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安藤 聖剛, 柿本 健一, 大里 齊
セッションID: 1PL05
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
フリー
鉛フリー圧電材料の候補としてペロブスカイト型構造ABO
3を有するアルカリニオベート系圧電セラミックスが注目されており、その中でも特にLi
0.06(Na
0.5K
0.5)
0.94NbO
3圧電セラミックスは、室温において優れた圧電特性を示すことが報告されている。
一方、圧電セラミックスの物性はその組成に強く依存しており、ベース素材を構成する元素を他の元素で一部置換することによって様々な特徴が現れる。
そこで、本研究では鉛フリー圧電セラミックスLi
0.06(Na
0.5K
0.5)
0.94NbO
3の更なる特性改質を試みるために、AサイトにBa
2+を、BサイトにTi
4+を置換した場合の影響を調査した。
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高橋 俊成, 菅原 晃, 上松 和義, 戸田 健司, 佐藤 峰夫
セッションID: 1PL06
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
フリー
非鉛系圧電セラミックスの候補であるKNbO
3(KN)の合成において、従来の原料から直接KNbO
3を得る合成法では、カリウム(K)の蒸発や高温焼成が必要となるため合成が難しい。そこで、本研究では前駆体であるRuddlesden-Popper型層状ペロブスカイト化合物K
2NbO
3F(KNF)の単結晶を合成し、その後室温でKNF単結晶を飽和水蒸気中に放置することで、KとFを水に選択的に溶出させKN薄膜を作製した。この新しい手法により得られた薄膜は、非常に高い配向性を持つことが確認できた。
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林 宏美, 田中 清高, 柿本 健一, 大里 齊, 飯島 高志
セッションID: 1PL07
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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Li
xNa
1-xNbO
3(LNN)は,置換量
x = 0.02 ~ 0.15において強誘電性を示す。近年,強誘電体の薄膜化が求められ,中でも有害な鉛を含まないアルカリニオブ酸の一つであるLNN薄膜は重要な研究対象素材の一つである。しかし,アルカリ元素の揮発が問題となり,LNNを薄膜化に関する報告はほとんどない。そこで,本研究ではゾル‐ゲル法を用いて,焼成中のアルカリ元素の揮発を検討し, LiおよびNaの過剰量を変化させたLNN薄膜の作製を試みた。
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東 高裕, 坂下 達生, 松谷 淳生, 茶園 広一, ペツォッティ ジュゼッペ
セッションID: 1PL08
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
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BaTiO3はMLCC(積層セラミックコンデンサ)の主な材料である。MLCCは金属とセラミックスの同時焼成によって製造されており、金属とセラミックスの熱膨張率の違いから残留応力が発生する。この残留応力はMLCCの特性と信頼性に大きく影響を与えていると考えられている。我々はこれまで顕微ラマン分光分析法を用いたBaTiO3の評価・分析技術の検討を行い、強誘電体のドメイン、応力などを分析できることを示してきた。顕微ラマン分光分析法を用いたBaTiO3の測定ではレーザーによる各種影響が考えられ、それらについて検討した結果を報告する。
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笠原 大弘, 水野 洋一, 籠宮 功, 大里 齊
セッションID: 1PL09
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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近年デジタル機器の小型・薄型化の要求により、受動部品である積層セラミックコンデンサの小型・大容量化が急速に進んでいる。SrTiO
3は比較的大きな誘電率を有し、温度に対する誘電率変化も小さいためコンデンサの誘電体層として利用できる。また近年は、コンデンサの内部電極として低コストなNiが用いられるが、高温で酸化してしまうため焼成は誘電体と共に低酸素雰囲気で行う必要がある。しかしSrTiO
3は、高温で酸素の解離により半導体化する問題がある。そこで希土類元素をドナー及びアクセプタとして添加することでSrTiO
3にどのような影響を及ぼすのかを調査し、より高信頼なコンデンサ材料を創製することを目的とした。
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星 陽一郎, Xiang Ping-Hua, 武田 博明, 西田 貴司, 内山 潔, 塩嵜 忠
セッションID: 1PL10
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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BaTiO
3にPbの代替として(Bi
1/2Na
1/2)を置換した、BaTiO
3-(Bi
1/2Na
1/2)TiO
3セラミックスの作製を行い、Bi
1/2Na
1/2)TiO
3置換量に伴うPTC特性の変化及びその作製条件による影響を調べたので報告する。
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張中 久士, 武田 博明, 西田 貴司, 内山 潔, 塩嵜 忠
セッションID: 1PL11
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
フリー
130
oC以上の動作温度を持つPTC素子には鉛が含まれている。我々は近年の電子材料の環境低負荷化の流れを受け、非鉛PTC素子の実現を目指し、Pb
2+の代わりに(Bi
1/2K
1/2)
2+を置換させた非鉛Ba
1-x(Bi
1/2K
1/2)
xTiO
3 半導体セラミックスを作製した。そして、基準温度(25
oC)での抵抗値の2倍であるスイッチング温度(
TS)がおよそ150
oC、室温抵抗率(ρ
RT)が30Ω
cm、抵抗率温度係数(α)が9%/
oCを有する試料を得た。これまでの報告とは違い、(Bi
1/2K
1/2)
2+を置換させた系で半導体セラミックスの作製に成功したので報告する。
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Guojun Li, Rong Tu, Takashi Goto
セッションID: 1PL12
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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BaTi
2O
5 (BT2) body was prepared by pressureless sintering in air using BaCO
3 and TiO
2 as starting materials at 1150~1290
oC for 2 hours. Effect of additives on the structural stability BT2 sintering body was studied. BT2 decomposed easily with increasing sintering temperature and content of SrO and Nb
2O
5. At the content of 1mol% SrO, the main phase of the sintered bodies at 1150~1200
oC was BT2 and a small amount of BaTiO
3 was identified. BT2 was not obtained when Nb
2O
5 was added. BT2 in a single phase was obtained when B
2O
3 was added. Permittivity of the SrO added BT2 sintered bodies at 1200
oC showed a peak value of about 260 at 477
oC at 100 kHz.
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酒井 克義, 岩田 真, 青柳 倫太郎, 前田 雅輝, 石橋 善弘
セッションID: 1PL13
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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強誘電体を薄膜化した試料の特性はバルクの特性とはかなり異なっており,この主要な原因は薄膜における基板からの応力の効果であることが知られているが,充分な解明はなされていない.強誘電体薄膜に特有なこの現象を,基礎的な立場から解明するために,本研究ではその準備段階として,RFスパッタ法を用いてチタン酸バリウム薄膜を作製し,強誘電性を持つ薄膜の作製プロセスの研究を行った.作製した薄膜は,成膜温度により結晶の配向性が多方向から(111)単一方向になること,成膜時の酸素流量により薄膜の誘電率が2倍に変化することがわかった.強誘電性は高い電場において確認することができた.
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北中 佑樹, 野口 祐二, 宮山 勝
セッションID: 1PL14
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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層状構造強誘電体であるBi4Ti3O12(BiT)は、a軸方向とc軸方向に自発分極成分を持つことで知られる。フラックス法で育成したBiT結晶において、c軸方向の分極特性の測定とドメイン反転の挙動観察を行った。90度ドメイン壁を多く含んだas-grownのBiT結晶は2.2マイクロC/cm2の残留分極を示したのに対し、大気アニールで90度ドメイン壁を除去したBiT結晶の残留分極は4.0マイクロC/cm2であった。圧電応答顕微鏡によるドメイン観察により、as-grownのBiT結晶ではc軸分極反転時のドメイン成長が90度ドメイン壁上で阻害されており、a軸分極が形成する90度ドメイン壁がc軸分極反転に影響を及ぼすことが明らかとなった。
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鈴木 宗泰, 池崎 満里子, 打越 哲郎, 野口 祐二, 宮山 勝
セッションID: 1PL15
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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ビスマス層状構造強誘電体は,自発分極が大きく,キュリー温度が高いことから,高温用圧電材料として期待されている.本研究では,Bi
4Ti
3O
12(BiT)とBaBi
4Ti
4O
15 (BBTi)が交互に積層したBiT-BBTiを対象として,物性の結晶方位異方性を評価した.フラックス法により育成した単結晶の分極特性を評価した結果,
a軸方向に50 μC/cm
2を超える残留分極値が観測された.また、BiT-BBTi粉末を磁場中電気泳動堆積法により
a軸方向へ優先的に粒子配向させることで作製したBiT-BBTiセラミックスについて、強誘電特性、誘電特性、圧電特性を評価したので報告する。
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阪口 善紀, 武田 博明, 西田 貴司, 内山 潔, 塩嵜 忠
セッションID: 1PL16
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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Bi
2WO
6(BWO)は、ビスマス層状構造強誘電体の1つで、
Tc=940
oCと高いことから高温環境で使用できる圧電素子への応用が期待できる非鉛系圧電材料である。しかし、これまでフラックスを用いた除冷法によって得られた単結晶は厚みが最大1mm程度と薄く電気的特性評価における共振子作製において角度の大きな回転カットは作製が困難であるため、新しいカット方法を考える必要があった。本研究では従来の評価方法を用いて電気的特性評価を行うため、更なるバルク化を目指した結晶育成を行ったので報告する。
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齊藤 崇, 鈴木 宗泰, 野口 祐二, 宮山 勝, 渡辺 晃, 福井 武久
セッションID: 1PL17
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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BiFeO
3は高キュリー温度と大きな自発分極を併せ持つことから、PZTに代わる非鉛強誘電体として注目されている。Biの揮発を抑制するため、低温焼成が可能であるナノパウダーを原料として、BKT-BFO固溶体セラミックスを作製した。共振反共振法により圧電特性を評価し、誘電率との関係を調査した。また、Bサイトへの異種遷移金属ドープが、圧電性に与える影響についても報告する。さらに、ドープに伴う結晶構造の変化について、Rietveld法による解析を行った。
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岩田 麻希, 守谷 誠, 坂本 渉, 余語 利信
セッションID: 1PL18
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
会議録・要旨集
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現在広く用いられているペロブスカイト型強誘電性固溶体Pb(Zr, Ti)O3 (PZT)は、PbTiO3側の正方晶相とPbZrO3側の菱面体晶相との間にモルフォトロピック相境界(MPB)を有し、MPB組成付近では優れた誘電特性及び圧電特性を発現することが知られている。しかし、PZTの高温での安定した強誘電性の発現には限界があるという問題がある。一方、BiFeO3は菱面体晶ペロブスカイト構造を有し、マルチフェロイック物質と呼ばれ、その結晶構造上の特徴から強誘電性に加え弱強磁性も示す非常に珍しい化合物である。そのため、強磁性強誘電体材料として次世代電子デバイスへの応用が期待されている。また、近年の電子デバイスの小型化・高集積化に対する要求もますます高まっており、このような機能性材料の薄膜化は必須となる。本研究では、高いキュリー温度を有し、MPBを利用することで巨大物性を発現するマルチフェロイックBiFeO3-PbTiO3系薄膜を化学的手法(溶液を用いたプロセス)により作製し、発現する物性に関する調査を行った。
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松林 洋平, 坂元 尚紀, 脇谷 尚樹, 鈴木 久男
セッションID: 1PL19
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
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チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3(以下PZT)は高機能かつ多機能な強誘電体材料である。PZT薄膜と基板を構成する物質の熱膨張係数の差等から生じる応力や各種プロッセッシングパラメーターは、形成したPZT薄膜の電気特性に大きな影響を及ぼす。本研究ではCSD法により3種類の単結晶基板(STO(100)、STO(110)、MgO(100))上にPb1.2(Zr0.53Ti0.47)O3組成のPZT薄膜を形成し、それらの電気特性を評価した。結果として用いる基板により同じ前駆体溶液から形成したPZT薄膜でも、XRD測定、誘電特性や強誘電特性の結果が大きく異なることが明らかとなった。
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脇谷 尚樹, 篠崎 和夫, 木口 賢紀, 坂元 尚紀, 水谷 惟恭, 鈴木 久男
セッションID: 1PL20
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
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強磁性と強誘電性を併せ持つマルチフェロイックが現在注目されているが、マルチフェロイックには1つの物質からなるものと、2種類(強誘電体と強磁性体)を組み合わせたものの2種類が存在し、演者らは後者に注目している。本研究では強誘電体としてPZTを、強磁性体としてニッケル亜鉛フェライトとTerfenol-Dを用いた積層薄膜について磁場中での強誘電特性について検討したので報告する。
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越前 正洋, 久保 幸一, 西田 貴司, 武田 博明, 内山 潔, 塩嵜 忠
セッションID: 1PL21
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
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水田らが提案したゾルゲル法におけるa-Al2O3基板に対するMethanol表面処理は、内山らにより酸化物強誘電体(Pb,La)(Zr,Ti)O3薄膜に応用された。その結果、Methanol表面処理は(Pb,La)(Zr,Ti)O3薄膜にも有効であり、その結晶性などを向上させることが報告されている。したがって、表面処理は一般にCSD法に対して有効であると考えられる。しかし、Methanol表面処理のメカニズムやそれが基板表面や結晶成長に与える影響は明らかにされていない。本研究では表面処理が基板や結晶性に与える影響を実験し、表面処理のメカニズムを検討したので報告する。
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横田 壮司, 村田 章太郎, 栗林 孝明, 五味 學
セッションID: 1PL22
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
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我々は、気情報の半導体デバイスへの融合を目指した新規電界効果素子の開発を目指して研究を行っている。その一つとして室温電気磁気効果を示すCr
2O
3薄膜中に磁気的不均一層であるCr
2O
3-xを数nm導入しフローティングゲート(F.G.)層として用いることを提案している。これまで、この素子が磁性を有し、かつF.G.層において電荷を保持することを報告してきた。今回、この素子の保持特性の向上を目指し、初期トンネル絶縁層及びF.G.層材料の検討を行い、その磁気・誘電特性との相関について議論する。
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内田 寛, 加納 富由樹, 助川 太一, 由井 和子, 幸田 清一郎
セッションID: 1PL23
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
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超臨界流体を応用した材料合成プロセスにおいては、流体の特異的な物質輸送能および化学平衡状態を利用することで効率的な原料供給および化学反応の促進が可能であると報告されている。これらの特性は、材料の低温合成や三次元構造体上の段差被覆など、従来の電子デバイス用薄膜製造では達成が困難であった諸問題を包括的に改善する糸口として期待されることから、超臨界流体を利用した薄膜材料合成プロセスの開発が強く望まれる。本発表では超臨界流体中における金属酸化物前駆体原料の分解→堆積挙動を調査することで酸化物薄膜の直接合成の可能性についても検討する。あわせて、種々の基板表面上への薄膜堆積を実施し、温度や圧力などの流体パラメータが堆積物の形状や相状態に及ぼす影響を報告する。
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小林 伸行, 浦川 明, 七瀧 努
セッションID: 1PL24
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
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我々は、耐熱性が高いジルコニア基板上で、スクリーン印刷によりPZT厚膜をパターン形成し、高温熱処理によって十分に焼結させ、得られた焼結膜を、所望の基板へ転写する技術を開発した。今回は本プロセスの特徴である、ジルコニア基板上でのPZT膜の焼結挙動について調べた。その結果、高温でのPbO揮発性の低い組成を用いることで、ジルコニア基板との剥離性が実現されていることを確認した。また、膜と基板は点在する異相粒子により点結合されており、このことが、焼結中のパターン維持(拘束焼成)と、焼結後のハンドリング性(適度な付着性)に寄与していると考察した。
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馬場 創, 明渡 純
セッションID: 1PL25
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
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エアロゾルデポジション(AD)技術は緻密なセラミックス膜が室温で形成できるが、圧電膜のような電子セラミックス膜の場合には、エネルギー援用によって粒成長が必要である。本研究ではレーザー照射技術をAD技術に融合させ、レーザー援用AD法を開発し、膜をレーザーアニールすることで、ステンレス基板の上に圧電性の優れた厚膜を直接形成することに成功した。この成果は今までほとんど研究されていない電子セラミックス分野でのレーザーアニール実用化の可能性を見出すものである。本研究では実際にステンレス基板を用いた圧電アクチュエータデバイスにレーザー援用AD法を適用し、その特性を検討した。
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朴 載赫, 明渡 純
セッションID: 1PL26
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
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We prepared transparent metal-dielectric nanocomposite thick films by aerosol deposition method (ADM) and report their enhanced optical and electrical characteristics. ADM has been attracting much attention for its ability to deposit complex composite films at a high deposition rate and a low process temperature. Composite metal-dielectric powders are prepared from submicron particles of PZT and alumina and nanometal (10-20 nm) with concentrations below 1 wt%. Nanocomposite gold/PZT 3-μm-thick film acquired enhanced SPR at approximately 640 nm as a result of annealing.
We also acquired huge enhanced electrical properties in nanocomposite film post-annealed at low temperature of less than 600 `C.
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小林 裕二, 永沼 博, 岡村 総一郎, 飯島 高志
セッションID: 1PL27
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
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化学溶液堆積法で作製した膜厚10 umのPZT膜におけるユニポーラパルス、バイポーラパルス印加の繰り返しが圧電性、及び強誘電性に与える影響を調べた。
電圧80 V、周波数100 kHzのバイポーラパルスを2×10^8回印加後に測定したP-Vヒステリシス曲線と微小変位は、パルス印加前のP-Vヒステリシス曲線と微小変位に比べ、残留分極値、微小変位量が減少した。一方で、電圧80 V、周波数100 kHzのユニポーラパルスを10^8回印加後に測定したP-Vヒステリシス曲線と微小変位は、パルス印加前のP-Vヒステリシス曲線、微小変位と比較しても残留分極値、微小変位量に大きな違いは見られなかった。
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鈴木 至, 籠宮 功, 柿本 健一, 大里 齊
セッションID: 1PL28
発行日: 2007年
公開日: 2008/10/02
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高周波帯域用の誘電体材料には、低い誘電率(εr)、高い品質係数(Q・f )、0に近い共振周波数の温度係数(τf)の3特性が要求される。珪酸塩化合物は、他の酸化物に比べて共有結合性が大きいため、より低い誘電率を示す。したがって信号の遅延を防ぎ、高速通信への応用が期待できる。
そこで本研究では、環状型珪酸塩のひとつである高温型ウォラストナイト(-CaSiO3) 及びCa2+をSr2+に全置換した(-SrSiO3)のマイクロ波誘電特性に着目した。ともにSiO4四面体層+ (Ca , Sr)O8多面体層が c軸方向に交互に積み重なった構造をとるが、積層パターンが異なっている。(Ca1-xSrx)SiO3固溶体セラミックスのマイクロ波誘電特性と固溶に伴う結晶構造の変化との関連性について検討を行った。
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