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隼瀬 幸浩, 掘露 伊保龍, 猪口 真志, 檜貝 信一
2013 年 1 巻 3 号 p.
94-97
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
ペロブスカイト型酸化物の一つであるチタン酸バリウムストロンチウムの酸素部を窒素置換した窒化酸化物ペロブスカイトは印加電圧に対する誘電率の変化が非常に大きい、誘電損失が低いといった、誘電体材料として優れた特性を有するが、これは窒素置換によるTiO
6八面体の歪みが原因と考えられる。今回、PDF(atomic Pair Distribution Function)解析
[1]を行い、この歪みについて調査したところ、Ti-Oの原子対によるものと考えられる約2 Å付近のピークは認められたが、フーリエ変換の打ち切り誤差の影響もあり歪みの存在を確認するまでには至らなかった。
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角野 広平, 藤本 靖, 山添 誠司, 山下 直人, 山田 研二, 梅咲 則正, 大渕 博宣
2013 年 1 巻 3 号 p.
98-102
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
Bi(ビスマス)をドープしたガラスにおける可視光励起による近赤外域での発光の原因を調査するために、Biドープリン酸塩ガラスについて、Bi L
III吸収端でのXAFS測定を行った。また、比較のため、Biドープソーダ石灰ガラスについても測定を行った。XANESは、Bi濃度や溶融雰囲気の還元性の強さが異なってもほぼ同じで、Bi
2O
3結晶に近い形状を示した、またBiドープソーダ石灰ガラスも同じXANESであった。一方、EXAFSはリン酸塩ガラスとソーダ石灰ガラスは異なり、後者の方が前者に比べ、Bi
2O
3に近いスペクトルを示した。
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松野 信也, 東口 光晴, 石川 哲吏, 松井 久仁雄
2013 年 1 巻 3 号 p.
103-106
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
軽量気泡コンクリート(ALC)の主成分であるトバモライト(tobermorite 化学組成:5CaO・6SiO
2・5H
2O)の量と質は、ALCの性能と密接な関係にあり、その反応過程を制御したALCの改良研究が、日本および欧州で活発になされている。そのような中で今回は、我々が2009年および2010年の検討で得た知見(Alの添加効果など)の現場プロセスへの応用を念頭にAlを含有するフライアッシュ(FA、火力発電所から排出される石炭灰)の再利用検討を行っている。今回は、メカニズム深耕のためセメントを使わない高純度試薬原料系による実験を行い、セメントを原料とした場合に比較してカトアイト(KA)生成量が少ないことが明らかになった。また、FA量が多くなるとトバモライト生成タイミングが遅くなることがわかった。
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河野(大竹) 健二
2013 年 1 巻 3 号 p.
107-108
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
NiZnフェライト焼結体表面での磁区を光電子顕微鏡(Photo Emission Electron Microscope; PEEM)を用いて観察を行い、微細構造が磁区構造にどのような影響を与えているのかを理解することを目的に実験を行った。実験の結果、フェライトの磁区構造を観察することができ、粒径が小さい方が、磁区も小さく、複雑な構造を取ることを確認し、また、磁壁は粒界部分に局在しているわけではなく、粒内にも多数存在していることが確認された。このような磁区構造は、透磁率、コアロス等のバルク体の特性から予想されるものとは異なっており、今回の結果は、フェライトの磁化過程と磁区の形成に関して、新たな知見を与えるものである。
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篠原 佑也, 岸本 浩通, 雨宮 慶幸
2013 年 1 巻 3 号 p.
109-111
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
本研究では、加硫ゴム中でのシリカ粒子のダイナミクスを解明するために、X線光子相関分光測定を実施した。実験の結果、未加硫ゴムと比較してダイナミクスが極めて遅くなっていることが明らかになった。一方で未加硫ゴムにおいて観察されたように、ダイナミクスが試料の扱いに敏感であるため、より再現性のあるデータ取得に向けて、実験時の試料の取扱いを今後工夫していかなければならないことが明らかになった。
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山本 裕介, 足立 大樹
2013 年 1 巻 3 号 p.
112-114
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
Al-Mg-Si系合金では、溶体化処理後にクラスタ1が形成されると人工時効時の硬化特性に負の効果が生じ、クラスタ2が形成されると正の効果が生じる。これらナノクラスタの局所構造の違いを調べることを目的として、クラスタリングやβ”相の析出によるXAFSスペクトルの変化を調べた。SiのXAFSスペクトルについては、試料表面への水分子の付着およびSiの蛍光X線強度の不足のため、解析可能なスペクトルが得られなかった。MgのXAFSスペクトルについても、試料間での明確な差が見られなかった。XAFSスペクトルの変化を調べるためには測定条件の改善が必要であり、次回以降の実験では測定時間の長時間化や測定温度の統一等を実施する。
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井上 敬文, 河合 朋充, 藤森 健, 竹原 孝二, 竹内 晃久, 上杉 健太朗, 鈴木 芳生
2013 年 1 巻 3 号 p.
115-118
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
走査/結像ハイブリッド型高感度高分解能微分位相X線顕微鏡により、アイロンによる加熱処理毛髪の内部微細構造を三次元で測定することができた。加熱処理毛髪でのトリートメント剤の有無の比較から、毛髪コルテックス部位で加熱処理により生じる空隙の生成がトリートメント剤によって抑制される傾向が観察された。
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岩堀 禎浩, 野口 博司
2013 年 1 巻 3 号 p.
119-123
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
Nb系圧電材料(1-
x)(Na, K)NbO
3 +
xCaTiO
3の常誘電相(Cubic相)について結晶構造解析を行った。 CaTiO
3固溶量に対し格子体積は、
x = 0.06で最小値になることが分かった。同時にMEM/Rietveld 解析注)により電子密度分布を求めると、CaTiO
3の固溶により酸素の熱振動異方性が緩和する傾向にあった。また、Nb/Ti - O間の共有結合性は、
x = 0.06で最も弱くなる挙動を見せた。
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佐野 雄二, 政木 清孝, 西銘 一貴, 梶原 堅太郎, Hatamleh Omar, 足立 隆史
2013 年 1 巻 3 号 p.
124-128
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
アルミニウム合金A6061-T6の摩擦攪拌接合(FSW)継手試験片に曲げ疲労によりき裂を導入し、その形状をラミノグラフィにより可視化した。更に、ビームライン脇に仮設した曲げ疲労試験機を使用してき裂を進展させ、その様子を非破壊で観察した。大型の板状の構造物の場合CTの適用は困難を伴うが、ラミノグラフィの適用は原理的に可能であり、微細な疲労き裂やその進展の様子を非破壊で観察できることを確認した。
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國貞 泰一, 寺田 昌生, 野井 浩祐, 関 隼人
2013 年 1 巻 3 号 p.
129-133
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
酸化ジルコニウムの不純物の多くは原鉱石由来である。主な原鉱石であるジルコンサンド中には主成分のジルコニウム以外にハフニウム(Hf)が約1.5〜2%含有されているが、ハフニウム以外にも極微量不純物が含有されていることが多い。本試験では放射光を用いた蛍光X線分析により酸化ジルコニウム粉末中の遷移元素の高精度分析を目指したが、主成分のジルコニウムピーク、ハフニウムピーク、それらサムピーク及び連続X線の影響により、精度の高い定性・定量はできないことがわかった。
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田島 右副, 折井 孝彰, 高久 英明, 木本 篤志
2013 年 1 巻 3 号 p.
134-137
発行日: 2013/10/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
有機薄膜太陽電池の活性層に用いられる導電性高分子やフラーレン誘導体を水性有機半導体コロイドインク化し、静電噴霧堆積(ESD)法によって薄膜を形成した。このコロイド薄膜の内部構造を解明するため、In-plane GIXD測定を行い、クロロベンゼン溶液からスピンコート法で製膜した薄膜と比較を行った。導電性高分子では成膜法に依存せず、分子の自己組織化能に依存した結晶構造が確認された。一方、フラーレン誘導体は化学構造によって成膜法の影響が異なり、結晶性の高いフラーレンでもコロイド薄膜ではアモルファス状態を取りやすいことが明らかになった。
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清水 克典, 鹿久保 隆志, 網野 直也
2013 年 1 巻 3 号 p.
138-141
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
タイヤ中のスチールコードとゴムを接着させることで耐久性が維持される。金属接着用ゴムには有機酸Coが含まれるが、ゴム中のCo塩の化学的情報はこれまであまり知られていない。そこで我々は加硫中におけるCo塩の経時変化ついて調査を行い、加硫初期にSと化学反応を起こしていると推測した。更なる分析としてCo塩配合コンパウンドにおけるSの反応メカニズムを軟X線を用いるXAFS測定より調査を行った。隣接する化合物の動径構造関数よりSは加硫初期においてCo及びCuと化学結合している可能性があることを見出した。
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伊藤 武利, 石田 和裕
2013 年 1 巻 3 号 p.
142-145
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
高結晶性の抗炎症薬であるイブプロフェンの溶解性向上を目的に、イブプロフェンの非晶質化について検討した。非晶質化剤として用いているアミノアルキルメタクリレートコポリマーは非常に高価であることから、本課題ではより安価な非晶質化剤の探索を行った。その結果、新たな非晶質化剤は見つからなかったが、非晶質化剤探索の指標として動径分布関数(RDF)が有用である可能性を見出すと共に、アミノアルキルメタクリレートコポリマーを大幅に減量したコストダウンの可能性を見出すことができた。
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八木 康洋, 小林 栄司, 松葉 豪, 乳井 樹
2013 年 1 巻 3 号 p.
146-149
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
バイオプラスチックであるポリ乳酸/ポリプロピレン複合材のサブミクロン構造と結晶構造の加熱・融解とその後の冷却過程による変化を、極小角X線散乱測定および小角X線散乱測定を用いて分析した。複合材は融解すると可視光波長領域の大きさを有する微小球晶が消失し、試料は白色から透明に変化することが分かった。また、急冷によってポリプロピレンの結晶性が低下し、徐冷では結晶ラメラ構造の層間距離が広がることを確認した。
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金子 房恵, 岸本 浩通, 為則 雄祐
2013 年 1 巻 3 号 p.
150-152
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
ゴム材料は、硫黄を用いてポリマー同士を橋掛けする架橋構造を形成することで、強度、機械疲労、粘弾性など特異な物理特性を発現する。しかし、その詳細な構造と物性の関係は未だ解明されていない。そこで我々は、硫黄架橋の詳細な構造を分析するためにS K-edge XAFS(X-ray Absorption Fine Structure)法に着目し、実験方法の検討を行った。
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金子 房恵, 岸本 浩通, 小嗣 真人, 大河内 拓雄
2013 年 1 巻 3 号 p.
153-155
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
高分子材料の微小領域の化学状態やその変化を精密に解析するために、XPEEM(X-ray Photoemission Electron Microscopy)を用いた顕微XAFS(X-ray Absorption Fine Structure)測定に着目し、SPring-8 BL17SUにて検討を行っている。これまでの実験から、炭素K殻吸収端領域の測定において、光学系における炭素汚染の影響により入射X線強度を正確に測定できていないためXAFSスペクトルが歪むなどの問題が明らかとなっている。今回、入射X線強度の計測方法の検討を目的とし実験した結果、炭素K殻吸収端におけるスペクトルの歪みを低減することができた。
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松野 信也, 東口 光晴, 石川 哲吏, 松井 久仁雄
2013 年 1 巻 3 号 p.
156-159
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
軽量気泡コンクリート(ALC)の主成分であるトバモライト(tobermorite 化学組成:5CaO・6SiO
2・5H
2O)の量と質は、その性能と密接な関係にあり、その反応過程を制御したALCの改良研究が、日本および欧州で活発になされている。そのような中で、我々が2009年および2010年の検討で得た知見(Alの添加効果など)の現場プロセスへの応用を念頭にAlを含有するフライアッシュ(FA、火力発電所から排出される石炭灰)の再利用検討を行っている。今回は、仕込み原料組成のCa/Si(C/S)比を変えることによって液中のイオン濃度の影響を検討した。
その結果、トバモライト生成のタイミングへの影響(C/Sが大きい方が生成タイミングが遅い)およびトバモライトの(002)面回折と(220)面回折の生成タイミングと成長速度に違いが明らかになった。
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岩堀 禎浩, 野口 博司
2013 年 1 巻 3 号 p.
160-164
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
リチウムイオン電池の正極材料に用いられるようになってきたLiFePO
4は、Nb元素を添加することによりイオン電導率が向上する。しかし、このNb元素がLiFePO
4結晶中でどのように結晶構造を安定しているのか明らかになっていない。そこでRietveld解析 [注1] により結晶構造を究明した結果、Nb
5+がLi
+サイトに固溶し結晶構造を安定化していることが明らかとなった。これら2元素は4配位の時、類似のイオン半径を取ることから、解析の結果は物理化学的に妥当なものであった。
[注1] Rietveld解析法: 粉末回折パターンから非線形最小二乗法を用いて格子定数と結晶構造パラメータ{原子位置、原子変位 (温度因子)、格子占有率、etc. }を精密化する手法。
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三崎 雅裕, 村井 裕樹, 栗本 大海, 上田 裕清
2013 年 1 巻 3 号 p.
165-167
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
ペンタセン前駆体は、熱や光によって難溶なペンタセンへと転化することから、塗布型有機半導体として注目されている。高性能な塗布型有機トランジスタを作製するためには、前駆体の転化や結晶成長を制御することが必須である。本研究では、熱転化型と光転化型のペンタセンを混合した薄膜を調整し、光照射と熱処理が結晶配向や結晶化度などの薄膜構造に及ぼす影響について、すれすれ入射X線回折(2D-GIXD)法による評価を行った。本研究により、光転化型ペンタセンの結晶核をトリガーとした熱転化型ペンタセンの転化及び結晶成長の制御が可能となった。
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小林 幹弘, 石原 嗣生, 泉 宏和, 西本 哲朗, 田中 寛之, 喜多 隆, 來山 真也, 市井 邦之
2013 年 1 巻 3 号 p.
168-172
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
Gd添加AlN薄膜の発光強度は成膜時の窒素流量、及び成膜後のアニール温度に大きく依存する。我々はXAFS測定によりGdの局所構造と発光強度の相関を調べたが、成膜時の窒素流量またはアニール温度により発光強度が大きく増加するにも関わらず、XAFS解析から得られる動径構造関数の変化に有意な差は認められなかった。アニールによる発光強度の増大と共に動径構造関数の第1近接Gd-Nの振幅が大きくなる傾向が得られたが、その差異は小さくGdの局所構造と発光強度との相関を充分結論付けるに至らなかった。
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小林 幹弘, 石原 嗣生, 泉 宏和, 西本 哲朗, 田中 寛之, 喜多 隆, 來山 真也, 市井 邦之
2013 年 1 巻 3 号 p.
173-177
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
我々は、水銀ランプの代替光源としてGd添加AlN薄膜の開発を進めている。今回、高エネルギー光電子分光(HAXPES)によりアニール前後の試料と電子線照射により劣化した試料の化学結合状態を分析し、発光強度と化学組成の関係を調べた。アニールにより発光強度が増大した試料は、酸化によりAl-O結合状態の領域が増え、窒素流量が大きいほど酸化物成分の割合が増加する傾向が得られているが、今回の結果より窒素流量、及びアニールによるCL強度増加の原因の究明に至る結果は得られなかった。また、電子線照射により劣化した試料は結晶が破壊されており、組成変化が発光強度の低下に繋がったと推測される。
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松野 信也, 東口 光晴, 石川 哲吏, 松井 久仁雄
2013 年 1 巻 3 号 p.
178-180
発行日: 2013/10/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
軽量気泡コンクリート(ALC)の主成分であるトバモライト(tobermorite 化学組成:5CaO・6SiO
2・5H
2O)の量と質は、その性能と密接な関係にあり、その反応過程を制御したALCの改良研究が、日本および欧州で活発になされている。そのような中で、我々はフライアッシュ(火力発電所から排出される石炭灰)など低結晶質シリカ源の利用検討を行っている。今回は、通常トバモライトを生成しない微結晶シリカを使い、その系に核として微結晶トバモライトおよびC-S-Hゲルスラリーを添加し、トバモライト生成の促進効果を調べた。今回の実験で、添加なしのブランクに比べていずれの添加系も反応促進効果があった。いずれの添加物もトバモライト(220)の生成(ab面内の成長)を促進した。特筆すべきは、セメント水和に効果のあるC-S-Hゲルスラリーを添加するとトバモライト(002)の生成(c軸方向の成長)、つまりトバモライト結晶の生成が認められた。
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片岡 恵太, 渡辺 行彦, 木本 康司, 北住 幸介
2013 年 1 巻 3 号 p.
181-183
発行日: 2013/10/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
半導体デバイスにおいてバイアスを印加した際のバンドエネルギーの変化は、デバイス動作を解析する上で重要な情報となる。我々は、半導体MOS(metal-oxide-semiconductor)界面におけるバイアス印加によって生じるバンドエネルギー変化の直接的な観察を目的に、バイアス印加状態で硬X線光電子分光による評価を試みた。標準的なSi-MOS試料について測定を実施し、ほぼ印加バイアスに対応したSi 1sコアレベルのシフトが確認できた。
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斎藤 吉広, 鶴見 大輔, 飯原 順次, 富永 愛子, 米村 卓巳, 山口 浩司
2013 年 1 巻 3 号 p.
184-187
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
電子デバイス用砒化ガリウム(GaAs)半導体の表面状態に関し、硬X線光電子分光(HAXPES)による分析を行った。特に、GaAs表面の酸化物がGaAs電子準位のエネルギーに与える影響について調べるため、酸化物量が異なると予想される2つの試料を作製し、Ga2p
3/2及びAs2p
3/2の光電子スペクトルを2水準の取り出し角で測定した。結果として、より多くの表面酸化物が確認された方の試料で、Ga及びAsのいずれのピークも低エネルギー側に0.2 eVシフトすることが確認された。このシフトは界面近傍に固定された負電荷の存在を示唆しており、GaAs表面酸化物が電子トラップの起源と推定される。また、酸化物の適切な制御により、耐圧特性に優れたGaAs高電子移動度トランジスタを実現できるものと期待される。
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青柳 拓也, 藤枝 正, 小原 真司
2013 年 1 巻 3 号 p.
188-190
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
V
2O
5-P
2O
5系ガラスの構造解析を目的として、V原子周囲の局所構造をSPring-8 BL14B2のXAFS測定装置にて評価した。V-K吸収端のXANESスペクトルの結果より、ガラス中にはバナジル基(V=O)の存在が示唆された。また、P
2O
5量の増大に伴ってVの還元量が増加することが分かった。EXAFSの結果からは、V
2O
5-P
2O
5系ガラスではV-O間の結合距離が結晶と比較して短いものが存在することが明らかとなった。さらに、V-O間の結合距離は、P
2O
5量の増加と共に変化することが判明した。
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松野 信也, 東口 光晴, 石川 哲吏, 松井 久仁雄
2013 年 1 巻 3 号 p.
191-193
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
軽量気泡コンクリート(ALC)の主成分であるトバモライト(tobermorite 化学組成:5CaO・6SiO
2・5H
2O)の量と質は、ALCの性能と密接な関係にあり、その反応過程を制御したALCの改良研究が、日本および欧州で活発になされている。そのような中で、我々はフライアッシュ(火力発電所から排出される石炭灰)など低結晶質シリカ源の利用検討を行っている。今回は、通常トバモライトを生成しない微結晶シリカを使い、その系に核としてγ-Ca
2SiO
4(以下、γC2Sと略記)とセメント(βC2Sが含まれている)を添加し、トバモライト生成の促進効果を調べた。今回の実験で、添加なしのブランクに比べていずれの添加系も反応促進効果があった。その結果、γC2S、セメントともに添加によるトバモライト生成促進効果が認められた。
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木村 英彦, 浅田 崇史, 山口 聡, 加納 大樹
2013 年 1 巻 3 号 p.
194-196
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
パワーモジュールは電気自動車やハイブリッド車の動力・環境性能に影響を及ぼし、製造時や実稼働時には内部に応力が発生する。性能と信頼性を更に高める次世代製品の開発には、内部の非破壊計測が有用である。モジュールは扁平形状のため、ラミノグラフィ法で内部形状等を計測した。その結果、素子、はんだや配線の接合体において、はんだ内部に積極導入した数μmの微小ボイドを可視化できた。今後の課題として、ラミノグラフィ特有のアーティファクトの低減と影響度の定量化が明らかとなった。
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小川 慎吾, 安居 麻美, 藤田 学, 宮本 隆志, 村木 直樹
2013 年 1 巻 3 号 p.
197-200
発行日: 2013/12/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
トップ・エミッション構造の有機Electroluminescence(EL)素子として、電子輸送層の有機膜であるキノリノールアルミニウム錯体(Alq
3)上に透明導電膜であるITO膜を陰極として形成した際のITO膜とAlq
3膜の界面の化学状態を硬X線光電子分光法(HAXPES)により調べた。角度変化測定により検出深さを変えて測定した結果、Alq
3膜上にITO膜を成膜するとAlq
3膜の深い領域(内部)は変化しないが、浅い領域(ITO/Alq
3界面近傍)ではAlq
3の分子構造が変化することが確認された。ITO成膜時のAlq
3の変性は、ITO成膜前にAlq
3膜表面に極薄LiF膜を堆積しても抑制できなかったため、性能向上のためのさらなるプロセス改善が必要であると考えられる。
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