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伊藤 武利, 今井 博人
2014 年2 巻1 号 p.
5-8
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
溶解性の異なる各種の非晶質イブプロフェン複合体について、その微細構造をBL19B2において粉末X線散乱測定を行った結果、溶解性の低い複合体ではイブプロフェンの微結晶が観察され、非晶質化剤の動径分布関数がイブプロフェン結晶とは異なっていたのに対し、溶解性の高い複合体ではイブプロフェンの微結晶は観察されず、非晶質化剤の動径分布関数がイブプロフェン結晶と類似していた。これらから、有用な非晶質化剤探索の指標として動径分布関数が有用であることが分かった
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高垣 昌史, 本間 徹生, 吉田 博久
2014 年2 巻1 号 p.
9-12
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
福島第一原発事故によりCs 汚染された土壌などの浄化法研究の手段として活用すべく、BL14B2のXAFS測定システムを用いたXANES指紋法解析技術の開発を行った。汚染された土壌および生活木材のモデル物質を中心にCs-
K吸収端およびL
III吸収端でXANES測定を行い、サンプリングおよび測定条件の洗い出しを行った。しかし、今回の試料ではCsが微量なため指紋法の解析に足るスペクトルは得られなかった。
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皆川 正和, 渡辺 賢一, 小林 貴幸, 末岡 加奈
2014 年2 巻1 号 p.
13-16
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
サブµm~µmオーダーの多孔質構造からなる高分子水処理用ろ過膜についてX線マイクロトモグラフィーによる観察法の検討を実施した。高速スキャン条件、クライオユニットによる冷却等により、X線照射による高分子へのダメージが抑制され良好な3次元像が得ることを確認した。
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人見 尚
2014 年2 巻1 号 p.
17-19
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
海水を練混ぜ水に用いて作製したセメント硬化体の微細構造をSPring-8 BL20XUの高分解能X線CTを用いて観察した。シリカフュームを入れることで、粗大な空隙が減少し、海水を入れることでさらに全体の空隙量が減少する傾向、同様に密実な物質が生成していると考えられる結果を得た。海水を材料として用いたセメント硬化体には、今回の結果ではわずかであるが通常のセメント硬化体をち密化する可能性があると考えられる。
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人見 尚
2014 年2 巻1 号 p.
20-22
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
練混ぜ水に海水を用いたモルタルにひび割れを導入し、28日間の通水試験を用い自己治癒特性について評価を行った。モルタル供試体に対する通水試験では、モルタルのひび割れ部の空隙に新たな水和物が生成することが観察された。上水で練り混ぜた普通ポルトランドセメントによるモルタルでは自己治癒は一部に留まり、高炉スラグ微粉末を結合材に加え練混ぜ水に海水を用いたモルタルの自己治癒性の高いことが確認された。ひび割れの自己治癒は、周囲のセメント硬化体を原材料として用いられると推察される結果を得た。
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大塚 伸夫, 佐藤 眞直, 土井 教史, 日高 康善, 東田 泰斗
2014 年2 巻1 号 p.
23-26
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
炭素を0.05%含む純鉄を大気中700°Cで9 min加熱し鋼表面に20 μm前後の厚みのFeスケールを生成させた試料について、多軸回折装置を用いてX線侵入深さ一定sin
2ψ法によりFeスケールの残留応力深さ分布測定を室温で行った。Fe
3O
4とFeOでは圧縮応力が観察され、未変態スケールではFe
3O
4はスケール深部ほど圧縮応力が大きくFeOはスケール深さ方向で変化しなかった。ウスタイト変態によりFe
3O
4の圧縮応力はスケール表層よりも深い箇所で増加し、FeOではスケール表層で減少した。
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小林 幹弘, 石原 嗣生, 泉 宏和, 西本 哲朗, 田中 寛之, 喜多 隆, 來山 真也, 市井 邦之
2014 年2 巻1 号 p.
27-30
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
我々は深紫外光源用蛍光体として開発しているGd添加AlN薄膜の電子線ビーム照射前後の構成元素について、化学結合状態を調べるために光電子分光測定による分析を行っている。今回は薄膜の表面から内部にかけて薄膜の劣化状態を調べるために光電子スペクトルの検出角度依存性を測定した。測定結果より電子ビーム照射後の試料では、AlとNが還元された状態と酸化された状態で共存しており、電子ビーム照射により薄膜は深層部まで残存酸素が還元除去された後、表面近傍だけが酸化された状態になっていると考えられる。
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伊藤 恵利, 山本 勝宏
2014 年2 巻1 号 p.
31-34
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
コンタクトレンズ素材の中でも、素材への生体適合性を付与する親水性成分と高酸素透過性を付与する疎水性(シリコーン)成分からなるシリコーンハイドロゲルは、相分離構造を有すること、そのサイズが素材特性として重要であることが確認されている。今回、超小角、小角X線散乱法により詳細なサイズ測定を含む構造解析を行った。ハイドロゲル内部にはナノスケールの相分離構造が形成していることを確認でき、その相分離スケールが大きい方がレンズとしての高性能化に関与していることが明らかとなった。しかし透明性を維持するには、100 nm程度の相分離構造に制限することも重要である。
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八巻 悟史, 岡 隆史, 國澤 直美, 岡本 亨
2014 年2 巻1 号 p.
35-36
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
化粧品乳化物を塗布し乾燥した状態にして、微小角入射X線回折の手法を用いて構造解析を行った。
S(= 1/
d)= 0.02–0.3 nm
-1領域で測定し構造解析を行った結果、約
d = 6.7 nmの構造物があることが推察された。また同一試料での経時変化について、乾燥による構造の変化を示唆する結果が得られた。
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人見 尚
2014 年2 巻1 号 p.
37-39
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
放射性廃棄物処分場に用いられるセメントは、環境要件より低アルカリ性であることが求められる。このために、産業副産物であるフライアッシュやシリカフュームの混和が行われている。本研究では、普通セメントに産業副産物を混和した低アルカリ性セメントの改善を目的とし、撮影条件の設定や時分割による測定を試みた。X線回折を用い最適な実験条件の設定を行ったうえで、低アルカリ性セメントと普通セメントの差異の確認、さらに低アルカリ性セメントの練混ぜ後1時間ごとの反応の経時変化が観察できることを確認したが、試料の保水性に課題があることを見出した。使用量を減らしても従来のセメントと比較しても遜色ない結果を得ることを確認した。
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平野 辰巳, 寺田 尚平, 日高 貴志夫, 梶原 堅太郎
2014 年2 巻1 号 p.
40-43
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
次世代リチウムイオン電池の開発には、リチウムの挿入脱離反応を三次元で可視化する評価法が要望されている。そこで、二次元XAS、およびラミノグラフィー法を応用した三次元XASによる遷移金属の価数分布の可視化計測法を検討した。二次元XASからLiFePO
4におけるLiの挿入脱離反応は非一様であることが判明した。また、リチウム正電極の三次元像の構築には成功したが、電極断面における反応分布の識別は困難であることが判明した。
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安岡 茂和, 石田 潤, 甲斐 拓也
2014 年2 巻1 号 p.
44-47
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
A
2B
7型金属間化合物が主相である超格子水素吸蔵合金は、高いエネルギー密度や優れた自己放電を有しており、Ni-MH電池に使用されている。しかし結晶構造がAB
2ユニットとAB
5ユニットが積層した複雑な結晶構造を有しており、単相化しづらいことから結晶構造の同定が困難であった。今回、SPring-8の放射光X線を用いて測定し、リートベルト法で解析することにより、微小な相の比率や元素位置の同定を試みた。今回の測定結果では、Ndの一部をCeで置換した合金では、CeがAB
2ユニットに存在しやすく、AB
2相を収縮させ、水素吸蔵放出の可逆性が失われて電気化学容量の低下や劣化の促進を引き起こしたと考えられる。またNiの一部をAlで置換した合金では、AlがAB
5ユニットに存在しやすく、AB
5相を広げたため、より安定な水素吸蔵放出が可能になったと考えられる。
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國貞 泰一, 寺田 昌生, 関 隼人, 野井 浩祐, 伊藤 真義
2014 年2 巻1 号 p.
48-53
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
酸化ジルコニウムの不純物の多くは原鉱石由来であり、それら不純物は極微量である。本試験では酸化ジルコニウム中の希土類元素、トリウム及びウランについて、高エネルギー放射光蛍光X線法による定量分析を検討した。その結果、183 keV入射光でトリウム、ウランについては検出下限1〜2 ppmとICP等と同程度の感度が得られたが、Ceなど希土類元素については共存元素の影響のため検出下限5〜30 ppmであることを確認した。
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米村 卓巳, 飯原 順次, 橋本 信, 斎藤 吉広, 中村 孝夫
2014 年2 巻1 号 p.
54-56
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
イオン注入法で作製された窒化ガリウム(以下、GaN)中のマグネシウム(以下、Mg)は、高温アニール処理を実施しても活性化しない課題がある。しかし、これまで高温アニール処理に伴うGaN中のMgの挙動を原子レベルで調査した報告はなく、Mgが不活性な原因は未解明である。今回、我々はBL27SUにて蛍光XAFS法を使って、高温アニール処理に伴うMgの局所構造変化を調査した。その結果、イオン注入されたMgの局所構造が高温アニール処理によって変化することが分かった。
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小林 貴幸, 渡辺 賢一, 北 早苗, 皆川 正和, 橋本 千恵, 井上 加奈
2014 年2 巻1 号 p.
57-60
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
樹脂中に炭素繊維を埋め込んだモデル試験片を用いて、炭素繊維の破断によって生じる樹脂へのクラックの形状を、X線マイクロトモグラフィーを用いて3次元的に調べた。繊維表層の破壊の起点を中心に、繊維側と樹脂側の両方に向かってクラックが放射状に発生することがわかった。さらにクラックの進展によって別の繊維が破断する様子が高分解能かつ非破壊的に初めて観測された。
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岡本 泰志
2014 年2 巻1 号 p.
61-63
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
近年自動車部品のエレクトロニクス化が進展しており、これに伴い電子デバイスにおけるニッケルめっきとエポキシ樹脂の密着性の向上が課題となっている。そこで本課題ではニッケルめっき表面の化学構造をXAFS測定により解析し、エポキシ樹脂の接着性との関係について検討した。その結果、ニッケルめっき表面の構造はめっき条件によりNiまたはNi
3Pの構造を有していることが明らかになったが、接着性との相関は認められなかった。
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松田 健太, 平井 秀憲, 広田 孝司, 羽田野 晃葵, 米山 飛鳥, 網野 直也, 佐藤 有二
2014 年2 巻1 号 p.
64-68
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
ゴム製品の品質・生産性の向上を目的として、加硫中のゴム内部での発泡、及び消泡のメカニズムを解明すべく、X線イメージングによる加硫中のゴム内部の観察装置系の構築、及び発泡/消泡過程のリアルタイム観察を行った。その結果、加硫が不十分なうちに加硫圧力を除圧する過程で、未加硫ゴムに含まれている揮発成分が発泡していく様子を捉えることに成功した。またゴム内部に閉じ込められた空気が加硫中に分散していく様子を観察することもできた。
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山本 裕介, 足立 大樹
2014 年2 巻1 号 p.
69-72
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
Al-Mg-Si系合金では、溶体化処理後にクラスタ1が形成されると人工時効時の硬化特性に負の効果が生じ、クラスタ2が形成されると正の効果が生じる。これらナノクラスタの局所構造の違いを調べることを目的として、Mg, SiのXAFS測定を行い、MgのEXAFSスペクトルから計算した動径構造関数において、各時効条件の試料を比較した。その結果、クラスタ1はMg-Siクラスタであると考えられるのに対し、クラスタ2はSiクラスタであると考えられる。
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小池 真司, 柳 秀一, 高橋 哲夫, 上杉 健太朗, 竹内 晃久, 星野 真人, 鈴木 芳生, 渡辺 義夫
2014 年2 巻1 号 p.
73-77
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
CO
2レーザ照射による光ファイバ融着部の微細構造変化をBL47XU設置のマイクロComputed Tomography(CT)装置により評価している。これまでファイバ整列基板材料のジルコニア含有物の内包が融着界面に観測されてきた。本課題ではファイバ整列V溝基板をCO
2レーザの吸収率が小さいシリコン製に置き換えて融着治具を試作し、融着ファイバを観測した。その結果、従来問題であった融着ファイバ界面における内包物による侵食状態が観測されない良好な結果を得た。
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岡本 泰志
2014 年2 巻1 号 p.
78-81
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
近年自動車業界では、燃費向上のための軽量化やエレクトロニクス化が進み、材料に樹脂やアルミニウム合金、ニッケルめっきが多用される一方で、樹脂と金属間の接着信頼性の向上が重要な課題となっている。そこで本課題では、ニッケルめっきおよびアルミニウム表面の化学構造をX線吸収分光測定により解析した。その結果、ニッケルめっき表面はNi
3P、アルミニウム表面はAlの構造であることを確認した。
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平野 辰巳, 高松 大郊, 北川 寛, 織田 将成, 梶原 堅太郎
2014 年2 巻1 号 p.
82-85
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
次世代リチウムイオン電池の開発には、リチウムイオンの挿入脱離反応を二次元や三次元で可視化する評価法が要望されている。そこで、リチウムイオンの反応分布をラミネートセルを充放電させながら二次元XAS(X-ray Absorption Spectroscopy)により評価した。電解液量が多い部位で、リチウムイオンの挿入脱離反応が進行していることが判明した。また、電流レートが高い放電では反応分布にむらが存在する。両者とも電解液中のリチウムイオンの移動が律速になるためと推測される。更に、高密度な正極シートでは、正極粒子が緻密化し局所的(0.2 mm以下程度)に電解液が浸透しにくい領域が発生し、リチウムイオン移動の障害となっていると考えられる。
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網野 直也, 岩井 智昭, 佐藤 正樹, 植田 貴也, 小宮山 巧
2014 年2 巻1 号 p.
86-88
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
先端が半球状である針をゴムに押付けて摩擦させた時に、ゴム試験片の亀裂生成の様子をX線イメージング法によって観察した。実験は、SPring-8のBL19B2にて実施し、1秒間に59枚の画像を取得することで、摩擦中のゴムの破壊の様子を観察することができた。得られたイメージング画像から、針先端部に生じるせん弾力によって、針先端付近のゴムがせん断破壊し、ゴム表面に亀裂が生じるものと推定された。
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渡邉 優香, Saffarzadeh Amirhomayoun, 東條 安匡, 島岡 隆行
2014 年2 巻1 号 p.
89-93
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
パイロットプラントで作製した高濃度(190〜18650 mg/kg)の安定セシウムを含む人工焼却灰を用いて、底灰及び飛灰中のセシウムの存在形態の解析を粉末X線回折により行った。その結果、底灰中にはセシウムを含有する鉱物は確認できなかった。一方、飛灰からは塩化セシウムが検出された。このことから、底灰中のセシウムは非晶質に含まれる可能性が高く、飛灰中のセシウムは塩化セシウムとして存在していることが示唆された。
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人見 尚
2014 年2 巻1 号 p.
94-99
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
供用状態における低アルカリ性セメントの促進劣化試験法の確立を目的として、練混ぜ直後から30時間経過後までのX線回折チャートの取得を行った。カルシウム溶出促進効果を有する硝酸アンモニウム水溶液に普通ポルトランドセメントと低アルカリ性セメントを接触させ、X線回折の接触部からの距離を0.4 mmずつ変えた5点について、時間変化として30時間まで観察を行った。この結果に対しイオン交換水に3年間浸漬した試料と比較を行った。Caイオンの除去に関係する結晶の変化から、硝酸アンモニウム水溶液は非常に大きな劣化促進効果を持つことを確認した。しかし、硝酸アンモニウム水溶液の浸漬による新たな鉱物の生成も確認し、促進効果だけでない試験体の変化を捉えた。
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岩堀 禎浩, 今村 嘉也
2014 年2 巻1 号 p.
100-104
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
放射光によるX線異常分散回折を用いてフェライト中におけるFeの占有率を、MEM/Rietveld解析法により推定した。Feの4配位サイトと6配位サイトの占有率は、フェライト中のZn添加量に対応し変化が認められた。そしてFeが特定の占有率を取るときにフェライト透磁率が高くなることが確認できた。この結果から我々は、透磁率が高い材料デザインの指標を見出した。
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松野 信也, 東口 光晴, 石川 哲吏, 松井 久仁雄
2014 年2 巻1 号 p.
105-109
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
軽量気泡コンクリート(ALC)の主成分であるトバモライト(tobermorite 化学組成:5CaO・6SiO
2・5H
2O)の量と質は、その性能と密接な関係にあり、その反応過程を制御したALCの改良研究が、日本および欧州で活発になされている。そのような中で、我々はフライアッシュ(火力発電所から排出される石炭灰)など低結晶質シリカ源の利用検討を行っている。今回は、通常トバモライトを生成しない微結晶シリカを使い、その系に核剤としてβC2S(β2CaO・SiO
2)を添加し、トバモライト生成の促進効果を調べた。その結果、添加なしのブランクに比べて反応促進効果が認められた。
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戸田 裕之, 井上 圭介, 森田 敏之, 中山 恭平, 小林 正和, 橋本 保, 上杉 健太朗
2014 年2 巻1 号 p.
110-113
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
浸炭焼入鋼材は自動車用歯車等に用いられている。浸炭材の疲労挙動の詳細は明らかになっておらず、硬さ・残留オーステナイト・残留応力といった因子の影響も不明な部分が多い。浸炭層を模擬した高硬度鋼材での疲労き裂の進展過程をSPring-8の放射光によるX線CTでその場観察した。き裂の進展経路を明らかにし、浸炭材の疲労破壊メカニズムの解明を行うことを試みた。そして、高硬度鋼の疲労き裂の観察に成功した。
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河合 朋充, 井上 敬文, 藤森 健, 竹原 孝二, 竹内 晃久, 上杉 健太朗, 鈴木 芳生
2014 年2 巻1 号 p.
114-117
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
走査型X線微分位相顕微鏡を用いて、疑似太陽光照射による毛髪の内部微細構造の変化を測定した。光照射毛髪での防御剤の有無の比較から、毛髪キューティクル部位で光照射により生じる空隙の生成が防御剤によって抑制される傾向が観察された。
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広田 孝司, 平井 秀憲, 佐藤 有二
2014 年2 巻1 号 p.
118-121
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
ゴムコンパウンドを加硫した際に生じる発泡の機構の解明を目的として、加硫(加熱・加圧)中のゴムコンパウンドを除圧する過程で生じる発泡をX線イメージングによって観察した。その結果、発泡はゴムコンパウンドのモジュラスや架橋密度のみならず、ゴムコンパウンド中の揮発成分濃度にも影響されそうなことが分かった。
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米村 卓巳, 飯原 順次, 橋本 信, 斎藤 吉広, 中村 孝夫
2014 年2 巻1 号 p.
122-124
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
窒化ガリウムにイオン注入したSiは、高温アニール処理によって活性化するが、イオン注入したMgは全く活性化しない。活性化状態は注入元素の局所構造に依存すると考えられるが、原子レベルで調査した報告はなく、そのメカニズムは未解明である。今回、我々はBL27SUにて蛍光XAFS法を使って、イオン注入したSiの局所構造を調査した。その結果、高温アニール処理によってSiがGaサイトに入ることで高い活性化状態が実現することが分かった。
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榊 篤史, 川村 朋晃, 吉成 篤史, 宮野 宗彦, 為則 雄祐
2014 年2 巻1 号 p.
125-129
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
GaN中Mgドーパントの局所構造を解析するため、SPring-8のBL27SUを用いた軟X線XAFS測定を実施した。試料はMg:GaN(0.4 μm)/GaN(1.6 μm)/Sapphireで、Mg濃度は2E20程度である。GaN中MgのXAFS測定における大きな妨害要因である、マトリックスからのGa_L線(1.10keV)の影響を抑えるため、エネルギー毎に蛍光スペクトルを測定し、ピークフィッティングによりMg_K線(1.25 keV)のみの信号を取り出した。この結果、Mgの明確なEXAFS振動を得る事に成功するとともに、FEFFによるMg:GaNのシミュレーション計算結果と比較したところ、Mgドーパントは主としてGaサイトに存在している可能性が高い事を明らかにした。
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松野 信也, 東口 光晴, 石川 哲吏, 松井 久仁雄
2014 年2 巻1 号 p.
130-133
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
軽量気泡コンクリート(ALC)の主成分であるトバモライト(tobermorite 化学組成:5CaO・6SiO
2・5H
2O)の量と質は、その性能と密接な関係にあり、その反応過程を制御したALCの改良研究が、日本および欧州で活発になされている。そのような中で、我々はフライアッシュ(火力発電所から排出される石炭灰)など低結晶質シリカ源の利用検討を行っている。今回は、通常トバモライトを生成しない微結晶シリカを使い、その系に水酸化リチウム(LiOH)を添加し、トバモライト生成の促進効果を調べた。その結果、添加なしのブランクに比べて大きな反応促進効果が認められた。
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木村 英彦, 浅田 崇史, 山口 聡, 加納 大樹, 梶原 堅太郎
2014 年2 巻1 号 p.
134-137
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
自動車の駆動系は電動化が進んでおり、その基盤部品のひとつであるパワーモジュールの内部構造や損傷を非破壊で計測できれば、性能と信頼性の更なる向上に有用である。扁平なテストモジュールをラミノグラフィで計測した結果、モールド樹脂やはんだなどの異種材料積層体の内部形態を数μmの分解能で3次元構成できた。また、その場加熱計測を実施し、今後の内部熱ひずみ計測に必要な基礎条件を得た。
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松野 信也, 東口 光晴, 石川 哲吏, 小川 晃博, 松井 久仁雄
2014 年2 巻1 号 p.
138-141
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
軽量気泡コンクリート(ALC)の主成分であるトバモライト(tobermorite 化学組成:5CaO・6SiO
2・5H
2O)の量と質は、その性能と密接な関係にあり、その反応過程を制御したALCの改良研究が、日本および欧州で活発になされている。そのような中で、我々はフライアッシュ(火力発電所から排出される石炭灰)など低結晶質シリカ源の利用検討を行っている。今回は、通常トバモライトを生成しない微結晶シリカを使い、その系に水酸化リチウム(LiOH)を添加し、トバモライト生成の促進効果を調べた。今回、Li添加水準を変えて検討した結果、添加量が多い方がより大きな反応促進効果が認められた。
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佐藤 有二, 平井 秀憲, 広田 孝司, 戸田 博美
2014 年2 巻1 号 p.
142-145
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
ゴム製品の品質・生産性の向上を目的として、加硫中のゴム内部での発泡及び消泡のメカニズムを解明すべく、X線イメージングによる加硫中のゴム内部での発泡/消泡過程のリアルタイム観察を行った。その結果、発泡はゴムの剛性が増加する事よりも架橋密度の上昇により顕著に抑制される事を、消泡のスピードはゴムの空気透過係数と相関する事を見出した。
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松岡 俊文, 片所 優宇美, 山邉 浩立, 小林 和弥, 岩崎 哲士, 葭谷 暢仁, 梅田 和紀, 日比 隆太郎, 澤 侑乃輔, 岡部 博, ...
2014 年2 巻1 号 p.
146-150
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
石油増進回収技術の開発には、油-鉱物、水-鉱物の界面における水分子および油分子の集積、吸着現象の解明が必要である。本研究では、鉱物として自然酸化膜付Si基板を、油相としてシクロヘキサンを、水相として超純水を採用し、X線反射率法を用いて固液界面に垂直な方向の電子密度分布を推定した。その結果、分子動力学法で見られたO-bridgeのシリカと水の界面の疎水性gapの存在は確認されなかった。このことから、この自然酸化膜はOH端を有しているか、疎水性gapが小さいため表面粗さに埋もれて確認できなかったことが示唆された。
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林 靖, 水口 将輝, 小嗣 真人, 大坂 恵一
2014 年2 巻1 号 p.
151-153
発行日: 2014/07/10
公開日: 2021/01/15
ジャーナル
オープンアクセス
自動車用高効率モーター用磁石としてL1
0型FeNi磁石の合成を試みている。プロセス中の結晶構造変化を調べることで高性能なL1
0型FeNi磁石合成の指針を得ることを目指した。今回は塩化物前駆体の還元反応過程をex-situ X線回折によって調べた。その結果、脱水、還元の順番で反応が進行していくが、途中で反応が停止することが明らかとなった。
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