海上保険法を含む商法の現代化作業の過程で,法制審議会が作成した「商法(運送・海商関係)等の改正に関する中間試案」のパブリックコメント手続きに則り,損保業界は意見書を提出,海上保険実務を担う者として一連の議論に対する立ち位置を明らかにしている。
試案は,海上保険法を企業保険のデフォルト・ルールを示すものとして存続させることを前提に,自発的申告義務を定める「告知義務」の規律の新設,失効や以後免責を定める「危険の変更」の規律の維持を提言。また,審議過程では海上保険法の適用範囲が実務実態に近い形で確認された。委付の廃止をはじめ,予定保険,法定免責の規定整備など,現行海上保険実務に沿った提案が多いが,航海保険の規定の廃止,遅延免責の導入見送りなどは実務家に異論を残した。
本稿では,今日の海上保険実務とその背景にある考え方をもとに,損保業界がどのような意見を表したかを記す。
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