損害保険研究
Online ISSN : 2434-060X
Print ISSN : 0287-6337
76 巻 , 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
<論文>
  • 長谷川 直哉
    2014 年 76 巻 3 号 p. 1-32
    発行日: 2014/11/25
    公開日: 2019/07/21
    ジャーナル フリー

     本稿は,CSRの萌芽からM.ポーターが提唱した「共通価値の創造」に至るサステイナビリティ・マネジメントを巡る議論の変遷を俯瞰する。サステイナビリティ社会の構築を目指して多くの企業がCSRに取り組んでいるにもかかわらず,グローバル社会では環境問題や社会問題の多くが手つかずの領域として取り残されている。共通価値の創造とは,社会問題への取り組みによる社会的価値の創造と企業の経済的成長を両立させるマネジメント手法である。共通価値は決して新しい概念ではない。わが国企業も古くから共通価値の創造に取り組み成果を挙げてきた。郡是製絲と損害保険事業の事例を通じて,わが国企業の共通価値創造の実態を明らかにする。消費型社会から循環型社会へのパラダイムの変革を通じて,企業社会も質的に変容しつつある。サステイナビリティとはサバイバビリティでもあり,社会の変化に呼応して,企業は常に変革し続けなければならない。損害保険事業が創造すべき共通価値の方向性が問われている。

  • 西口 博之
    2014 年 76 巻 3 号 p. 33-52
    発行日: 2014/11/25
    公開日: 2019/07/21
    ジャーナル フリー

     貨物海上保険においては,運送中に保険事故が起こった場合,保険者はその事故による損害を保険金という形で被保険者に支払い,その事故が運送人の過失等による場合には,運送人と被保険者との間で締結された運送契約に基づき被保険者が有する運送人に対する損害賠償請求権を代位取得して,その損害賠償請求を運送人に対して行う。しかしながら,事故に係る運送人に損害賠償責任があっても,運送契約上の裏面約款や運送人の免責事由等により,損害賠償請求ができない場合もある。

     最近船荷証券の元地回収という商慣習に関連して,運送人の損害賠償請求を争う紛争例では,裏面約款の仲裁規定により請求が棄却された裁判例が出現している。

     船荷証券の元地回収は,今後も海上運送方法として継続して使用されると考えられるので,これにより生じる保険事故における損害賠償請求権の保険代位にも関心が深まると考えられる。

  • 澤田 宏慎
    2014 年 76 巻 3 号 p. 53-79
    発行日: 2014/11/25
    公開日: 2019/07/21
    ジャーナル フリー

     本稿は,情報提供・説明義務違反の法的性質を再検討することを目的としている。契約締結の準備段階で行われる情報提供や重要事項の説明に関して事業者が故意または過失によって顧客に損害を生じさせた場合,顧客は如何なる主張が可能なのだろうか。契約が締結されていないことを根拠として不法行為責任に留まるのか,それとも契約締結に向けた準備段階に入ったことを根拠として債務不履行による損害賠償責任にまで及ぶのか。この問題は,保険募集規制の在り方にも大きな影響があるといえよう。

     本稿では,その方法論として「契約締結上の過失」法理に関する事案である最高裁判決(最二判平成23年4月22日民集65巻3号1405頁)の分析を行う。これにより,転換期にある保険募集規制に対して如何なる示唆があるかを考察していく。

  • 日野 一成
    2014 年 76 巻 3 号 p. 81-101
    発行日: 2014/11/25
    公開日: 2019/07/21
    ジャーナル フリー

     近時のジェンダー法学では,年少者の逸失利益に関する男女間格差について,憲法14条1項後段事由による性差別として,考慮されるべき問題であると考えられている。

     とりわけ,平成13年の自賠法改正(平成14年4月施行)により法定されたと考えられる自賠責支払基準において,男女別「全年齢平均給与額」が算定のベースとされていることから,この支払基準の男女の差別的取扱いについて違憲性の疑いが生じていることになるように思われる。本稿では,女子年少者の逸失利益の算定に関する男女間格差の問題について検討し,その上で,自賠責支払基準における問題について考察を行う。

  • 永井 治郎
    2014 年 76 巻 3 号 p. 103-133
    発行日: 2014/11/25
    公開日: 2019/07/21
    ジャーナル フリー

     この小論はイギリス名誉革命期より18世紀前半に至る火災保険近代化の歩みを辿るものである。そのとき保険をなによりも信用制度として把握し,その中核となる保険信用つまり保険金支払いに対する信認の変遷に焦点が絞られる。最初にThe Fire officeが土地保障に基づく信用の創設を行った後,The Friendly Society等が追徴金と預託金に基づく信用を形成するが,やがてその中心は追徴金から預託金へと移行する。そしてThe Sun Fire Officeでは常設基金が登場し,最終的に二大特許会社が資本金と前払確定保険料をもつに至って,保険信用の近代化は完成する。この歩みは同時に,それぞれの時期に保険を構成した人々の利害関係を反映している。これを大きく地主階層(OWNER)のものと商人階層(TRADER)のものとに分けると,前者には土地所有が,後者には商品流通に伴う抵当制度と手形流通が深く関わっていることが判る。近代保険はこれら2つの要素の統合の下に誕生したのである。

<講演録>
<翻訳>
<損害保険判例研究>
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