損害保険研究
Online ISSN : 2434-060X
Print ISSN : 0287-6337
82 巻, 4 号
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<研究論文>
  • 肥塚 肇雄
    2021 年 82 巻 4 号 p. 1-37
    発行日: 2021/02/25
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル フリー

    国土交通省・自動運転における損害賠償責任に関する研究会「報告書」(2018年3月)は,政府の「自動運転に係る制度整備大綱」(2018年4月17日)に反映される等して関係法令の改正指針となった。実際に,道路運送車両法および道路交通法は改正・施行された。しかし科学技術の進展は目覚ましく,新しい概念が社会に普及した。それが人の「移動」をサービスの観点から捉えたMaaS(Mobility as a Service)という概念である。MaaSは今の時代が大量生産大量消費社会からサービス社会へと移行していく転換期であることを示している。MaaSの構築は,各交通事業者のデータ基盤がAPIにより連携されて可能となる。上記「報告書」では,2025年頃の高度自動運転システムの過渡期が想定されていたが,MaaS構築後の自動運転の責任関係については検討されていない。自動運転車はデータ連携基盤等と常時通信して自動走行する。このため,自動運転車は自動走行の際,サイバー攻撃のリスクにさらされる。このような自動運転車は目に見えない「軌道」を走行するに等しく,自賠法にいう「自動車」(2条1項)に該当せず,運行供用者(3条)も存在しない。したがって自動運転事故には自賠法は適用されない。そのため被害者救済の方策を新たに講じる必要がある。その一つが自動運転事故「災害保険」構想である。

  • 嘉村 雄司
    2021 年 82 巻 4 号 p. 39-67
    発行日: 2021/02/25
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル フリー

    近年の台風・豪雨等に代表されるように,わが国は自然災害の影響を受けやすい国土となっている。自然災害に対しては,災害後の被災者への対応方法の検討も重要となる。そのため,民間保険の有効活用が必要不可欠の課題となっている。もっとも,自然災害のような事象は,民間保険会社のみでは引受けが難しく,政府による何らかの関与(公的関与)が必要となることも考えられる。この点,比較法的にみると,具体的な公的関与のあり方については一様ではなく,わが国においても統一した見解は存在しないものと思われる。そこで,本稿では,このような自然災害保険への公的関与のあり方について,若干の比較法的な検討を行うこととしたい。すなわち,アメリカの連邦洪水保険制度,フロリダ州ハリケーン災害基金およびカリフォルニア州地震保険制度を対象とし,各制度の課題について若干の検討を加えることとする。これらには,関与の主体・仕方等,様々な制度的相違が存在しており,相互に比較参照することにより,自然災害保険をめぐる問題について多様な観点から検討することが可能になると思われる。

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