日本ハンセン病学会雑誌
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73 巻, 1 号
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  • 松岡 正典, 張 良芬
    2004 年 73 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    Application of molecular biological techniques to the epidemiological study of leprosy is described. Studies of detecting Mycobacterium leprae DNA in samples of the nasal mucus are discussed in terms of the epidemiology and the significance of high prevalence. Epidemiological studies on the transmission of leprosy and correlation between geographic distribution of different M. leprae rpoT genotypes and prehistoric spread of the leprosy by genotyping based on the genomic polymorphism are introduced.
  • 前田 百美, Patrick J. Brennan, 牧野 正彦
    2004 年 73 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    ハンセン病の病原体であるらい菌の生体防御に関わる因子として、リポ蛋白に着目した。現在までに、結核菌の分子量19kDのリポ蛋白が、感染免疫反応に重要な役割をしているインターロイキン12(IL-12)を強く誘導することが報告されている。近年、らい菌のゲノムプロジェクトのデーターベースが完成され、脂質附加を受けることが予想される幾つかのリポ蛋白をコードするらい菌遺伝子を探索することができた。その結果、らい菌の33kDリポ蛋白はIL-12を強く誘導し、生体防御反応に密接に関与しているものと想定された。
  • 近藤 晶子
    2004 年 73 巻 1 号 p. 23-35
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    ハンセン病はさまざまな眼病変を引き起こすが、その後遺症となる眼疾患も頻度が高く多様である。Primary impairmentはらい菌による神経や眼組織への直接浸潤の結果起こる障害であり、secondary impairmentは神経麻痺と遷延する炎症から派生する合併症である。現在の日本の療養所においてはこれらの後遺症の管理が主体となっている。
    療養所入所者の定期健康診断の中で臨床眼科検査を行い、後遺症とその罹患状況を調べた。その結果、既存のハンセン病後遺症に加え、加齢による眼疾患の増加が見られた。さらにハンセン病特有の複合した知覚障害や身体障害は検査や治療を難しくしている。これらの問題解決のためには、機器の改良や新しい医療技術の適用を受けて、進行する視覚障害を最小限にとどめられるよう求められていると考える。
  • 和泉 眞藏, Indropo AGUSNI
    2004 年 73 巻 1 号 p. 37-46
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    らい菌のMicro-satellite多型であるTTC repeatの発見に端を発したハンセン病の分子疫学の進歩は、感染源、感染様式などハンセン病医学の基本的な問題について実証的な研究に道を開いた。そこから得られた科学的知見は、未治療の多菌型患者をほとんど唯一の感染源と考え、早期発見・早期治療と多剤併用療法の普及により公衆衛生問題としてのハンセン病を制圧しようとする現行の戦略に根元的な疑問を投げかけている。こうした現状におけるハンセン病専門家の責務は、それぞれの地域の分子疫学的データに基づいて実行可能なハンセン病対策を提案することである。
  • 森 修一, 加藤 三郎, 横山 秀夫, 田中 梅吉, 兼田 繁
    2004 年 73 巻 1 号 p. 47-63
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    本研究は戦前、日本に唯一存在したハンセン病患者の自由療養地である群馬県吾妻郡草津町湯の沢部落の社会科学的分析の中から、何がハンセン病患者の隔離の二つの側面である「迫害されている患者の社会の圧力からの保護」と「感染源である患者からの社会の防衛」のダイナミズムを後者への優位に導いていったのかを明らかにすることを目的とするものである。その過程は湯の沢部落の実態の解明(「草津湯の沢ハンセン病自由療養地の研究I、II」)、自由療養地議論の展開と消滅の過程の検証と湯の沢部落の関わり(「草津湯の沢ハンセン病自由療養地の研究III」)、湯の沢部落消滅後にその精神が日本の隔離政策に与えた影響(「草津湯の沢ハンセン病自由療養地の研究IV」)などの研究の総体である。
    本稿では戦後、栗生楽泉園から始まる患者運動を通して、湯の沢で培われた精神は楽泉園内でも生き続け、患者運動の戦端を開き、「特別病室」を廃止、職員の不正を暴き、やがて多磨全生園と共闘し、「全国癩療養所患者協議会」を生み、絶対隔離政策と対峙する力を形成する様相を描いた。併せて、「特別病室」設置の背景、戦中を中心としての療養所内の混乱の様相とその要因を述べた。
  • 儀同 政一, 並里 まさ子, 熊野 公子, 後藤 正道, 野上 玲子, 尾崎 元昭
    2004 年 73 巻 1 号 p. 65-67
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/30
    ジャーナル フリー
    日本ハンセン病学会は、2000年に「ハンセン病治療指針」1)発表し、化学療法をはじめ診断と治療、後遺症の予防と治療についてのガイドラインを、2002年には、治療指針に基づいて治療を受けた患者の「ハンセン病治癒判定基準」2)を示した。ハンセン病の治療は、治療指針またはWHO/MDT(1997)3)に基づいて治療されるが、すでにMDT3薬中2薬に対しては多くの耐性報告がある。その対応策としてニューキノロン系薬であるオフロキサシン(OFLX・商品名タリビット)が多用された結果、OFLX耐性も増加してきている。厚生労働省「新興・再興感染症研究事業ハンセン病感染の実態把握及びその予防(後遺症の予防を含む)・診断・治療法に関する研究」の一環として、ニューキノロンの使用基準に関する小委員会はOFLXの耐性症例を調査しOFLX耐性の発生を防止する方法を検討した。その結果を踏まえて、小委員会はここにニューキノロンの使用指針を提示する。
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