The Journal of JASTRO
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12 巻, 1 号
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  • わが国における臨床試行の成果と意義将来目標
    手島 昭樹
    2000 年 12 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    医療実態調査研究のわが国での臨床施行により, この研究手法が十分適用可能で有用であることを証明した. 施設層 (大学病院/がんセンター対その他の国公立病院) でProcessに顕著な差が観察され, Outcomeへの影響も示唆された.Structureとの関連をみると, 外部照射装置のエネルギーと人員数にも施設層で差が観察された. Outcomeに基づいたStructureの改善基準が示す上でもこの研究は重要である. 日米比較研究では食道癌のProcessについて, 米国は日本に比べ施設間格差が少なく, 高い値を示し成熟していた. FTE人員数の比較でもそのことが裏付けられた.また米国における食道癌に対するChemoradiationの普及と, それに伴う外部照射線量の下方へのシフトが観察された. 一方, 手術併用率は日本で高かった. 現在井上班では食道癌, 子宮頸癌, 乳癌, 肺癌, 前立腺癌に対して本格的にPCSを行ってており, その方法論, 経過, 将来の目標が示された.
  • 局所制御とsubclinical neck metastasesに対する有用性について
    濱本 泰, 板垣 孝知, 吉野 雅成, 新野 恵司, 山口 昂一, 渡会 二郎, 青柳 優, 吉澤 信夫, 中村 正
    2000 年 12 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    放射線治療を施行したI, II期舌癌に対し, 原発巣への照射の前に併用した口腔, 上頸部への低線量外照射および低用量化学療法の併用の有用性を検討した. 1978~1996年に放射線治療を施行したI, II期舌癌53例 (I期17例, II期36例) を対象とした. 原発巣への照射は組織内照射49例, 電子線照射4例であった.53例のうち浸潤が深い症例, 腫瘍の辺縁が不明瞭な症例, 大きなT2症例など原発巣の制御が困難と考えられた17例 (I期2例, II期15例) には局所照射前に1回2.5Gy, 週5回照射で計25Gyを原則とした外照射を口腔, 上頸部に加えた. 外照射を加えた17例のうち8例にはペプロマイシンまたはブレオマイシンによる低用量化学療法を同時併用した. 外照射併用例, 非併用例の5年生存率はそれぞれ79.4%, 67.9%, 局所制御率は68.8%, 82.9%でいずれも有意差はなかった. 5年頸部リンパ節非再発率はそれぞれ92.9%, 66.7%で, 有意差を認めた (P<0.05).外照射併用例のうち低用量化学療法の同時併用例と非併用例の間には生存率, 局所制御率, 頸部リンパ節再発率のいずれも有意差は認めなかった. 下顎骨壊死は外照射併用例で1例, 非併用例で1例みられ, 外照射の有無により発生率には有意差はみられなかった.1回2.5Gy, 週5回照射で計25Gyを原則とした外照射は, 潜在性頸部リンパ節転移には有効と思われたが, 局所制御に対する有効性を示せなかった.
  • 伊沢 康幸, 野崎 美和子, 古田 雅也, 村上 優子
    2000 年 12 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】近年, 我が国における乳房温存療法の急速な普及に伴い, 温存療法後の術後接線対向2門照射の症例数も増加しつつある. X線シミュレータを用いた温存乳房に対する術後照射の位置決め方法は, 入射角度, アイソセンタ等の設定に幾何学的計算式や計測器具を用いるなど作業が繁雑で, 正確な位置設定には時間と熟練を要する. われれは, 肺野側へのビームの拡がりを考慮したisocentdc treatment technique (coplanar法) による位置決めをより簡便かつ短時間で行うための支援ツールとして, パーソナルコンピュータでBasic言語を用い, 患者の体厚・体幅から入射角度とアイソセンタの位置を算出する計算プログラムを作成し, その妥当性を検討した.
    【対象・方法】本プログラムの計算結果の妥当性を, 乳房ファントムを用い, 実際に位置決め装置で照合写真を撮影し検討した. また, 種々の厚み・偏位を示す計14種類の乳房のモデルを想定し, これらに対しても本プログラムが適用可能か検討した. さらにこれらのモデルに対して, 乳房内の線量分布の均一性を検討した.
    【結果】乳房ファントムを用いた照合写真にて, ファントムに貼りつけた照射野外側縁および内側縁のマークが完全に一致し, 本プログラムの計算結果の妥当性が確認された.また, 種々の乳房モデルに対しても, 照射野幅を適当に選択することにより十分に適用可能であった.その際の乳房内の線量分布にも著しい偏りはみられなかった.
    【結語】今回作成した計算プログラムは種々の大きさ・偏位を示す乳房に対して, 適用可能である.また本プログラムを利用することで, X線シミュレータによる位置決めの煩雑さを大幅に軽減することが可能と考えられた.
  • 2.声門部喉頭癌について
    早渕 尚文, 小島 和行, 戸田 幸博, 淡河 悦代, 鈴木 弦, 森 一功
    2000 年 12 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    目的;久留米大学病院で行っている頭頸部腫瘍に対する耳鼻咽喉科医と放射線科医 (治療医と診断医の複数の医師) によるチーム医療に関し, 今回は声門癌についてチーム医療開始前と比較して局所制御率や生存率, さらにはQOLがどのような影響をうけたのか検討した.
    方法;久留米大学病院で1978年1月から1997年3月までに治療された喉頭癌のうち声門癌419例について, チーム医療を行う前の1991年3月までの約12年間のA群の237例とチーム医療を行うようになった1991年4月からの6年間のB群の182例とに分けて, 局所制御率, 喉頭保存率, 生存率などの点から検討した.
    結果;チーム医療を行う以前のA群ではT1の症例はレーザー治療が優先され, またT2の症例では喉頭部分切除や喉頭全摘術が優先されていた. 一方, チーム医療後のB群ではT1, T2いずれでも放射線治療が中心になった. 根治的放射線治療の割合はT1とT2の症例を合わせてA群57%, B群82%であった. 治療結果は, B群の局所制御率はT1とT2を合わせて91%で, A群の78%より有意に向上がみられた (P<0.01). また, B群では再発後に喉頭全摘術を行わなければならない症例も減ったため, T1とT2を合わせて喉頭を温存できない症例は例外的になった. さらに, T3, T4を加えた声門癌全体の5年生存率も向上した.
    結論;チーム医療を行うことによって, 声門癌では放射線治療の役割が増し, 局所制御率が向上し, T1とT2では喉頭を保存できない症例は例外的となった. この結果, 生存率の向上だけでなく, QOLの向上も得られた.
  • 菅原 正, 仲澤 聖則, 柴山 千秋, 増淵 二郎
    2000 年 12 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    喉頭扁平上皮癌に対するaccelerated hyperfractionation (AHF) の腫瘍効果と正常組織に対する副作用を回顧的に検討した. 1974年から19年間に自治医大放射線科において根治照射 (総線量50Gy以上) を受けた226名を対象として, 週10回分割 (AHF) 群 (105名) と週3 (25名) 一週5回分割群 (96名) の局所制御率などを比較した. 追跡期間中央値は6.2年である. 5年制御率はI+II期においてAHF法97%, 週3-5回法74%と有意にAHFが高く (P=0.0003), III+IV期で72%に対して22%と同様にAHFが高かった (P<0.00001). 粘膜の早期反応はAHFにおいて有意に強かったが, 十分耐容可能であった. 甲状軟骨壊死と強い喉頭粘膜浮腫の晩発障害はAHF群と週5回分割群ともに各1例, 計2例つつ観察された. 喉頭癌は照射期間依存的性格の高い腫瘍であり, 60-62Gy/40回14週間のAHFは, これまで行なわれて来た通常分割法と同程度の晩発障害率で, 高い局所制御率を示す良好な分割法であることが示された.
  • 放射線治療非併用例と併用例の比較
    辻野 佳世子, 広田 佐栄子, 高原 圭子, 高田 佳木, 小西 宗治, 河野 範男, 菱川 良夫, 河野 通雄, 阿部 光幸
    2000 年 12 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】当センターでは乳房温存手術後に基本的に照射を行わず, 再発の危険性が高いと思われる症例にのみ照射を併用してきた. そこで照射併用例と非併用例の治療成績をretrospectiveに比較し, 照射の意義について再検討することがこの研究の目的である.
    【対象及び方法】当センターにおいて1989年11月から1998年8月までに乳房温存療法を施行した症例は161症例163乳房で, そのうち38症例39乳房 (24%) に残存乳房への放射線治療を行った. 照射併用例で有意に若年者, 腫瘍径の大きい例, 腋窩リンパ節転移陽性例, 乳管内進展著明例, 断端陽性例が多かった. 照射は全例4MVX線を用いた接線照射で残存乳房に45-50Gyを投与し, 断端陽性または近接の6例ではさらに電子線による5.4-10Gyのboostを行った.
    【結果】経過観察期間は2.4-108ヶ月 (中央値37ヶ月) である. 非照射例で10例, 照射例で1例に乳房内再発を認め, 累積5年同側乳房再発率はそれぞれ, 9.9%, 3.4%(N. S), 累積5年同側乳房温存率は90.3%, 96.7%と有意差はなかった. 累積5年原病生存率は96.6%, 96.0%と良好で差はみられなかった. 多変量解析では, 浸潤癌 (p=0.0095) が同側乳房再発率に寄与し, リンパ管浸潤 (p=0.05), 非照射 (p=0.07) も同側乳房再発に影響していることが示唆された. 照射に伴う重篤な有害事象は現在までのところ認めていない.
    【結語】今回の検討では再発の危険度が高いと予想される症例に対し放射線治療を行った行ったが, 照射群と非照射群で温存乳房内再発率に有意差はみられず, 多変量解析にては照射により再発率が低下することが示唆された.
  • 山本 道法, 羽田 良洋, 白根 誠
    2000 年 12 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    早期声門がんの放射線治療成績を再調査し, その予後因子を検討した. 対象は1977年から1997年までの21年間に当院にて根治的放射線治療がおこなわれた初回治療64症例と再照射例4例である. ステージはTl (n=56), T2 (n=12) であった. 全例扁平上皮がんで分化度は高分化 (n=33), 中等度分化 (n=25), 未分化 (n=1), 分化度不明 (n=9) であった. また診断時の喉頭ファイバーの所見に基づいて以下のように分類した; very small tumor (VST)(n=46), 声帯の長さの113以下の大きさの病変で声門上部または下部に浸潤を認めないかもしくは僅かな浸潤を認めるもの; small tumor (ST)(n=22), VSTより大きなもの. 放射線治療はテレコバルトをもちいて左右対向2門照射にて施行された. 1回線量は2Gyで, 総線量は56から64Gy (平均60Gy) であった. 治療期間は38から49日であった (平均44日).全症例の2年, 5年局所制御率はそれぞれ85%, 78%であった. 局所制御率に影響を与えた因子は, 腫瘍サイズ (P=0.Ol46) と新鮮例か再発例か (P=0.0226) であった. 多変量解析にても, 再発例新鮮例 (P=0.0495) と腫瘍サイズ (P=0.0273) が, 局所制御率に影響を与える因子であった.
  • 腫瘍残存に従った照射野と再発形式
    大泉 幸雄, 玉井 好史, 今宮 聡, 秋庭 健志, 母里 知之
    2000 年 12 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    口腔癌における術後照射の成績向上のため, 特に照射野と再発の関係を術後残存度に従って調べた. 1984年から1998年に36人の口腔内扁平上皮癌患者が術後照射を受けた. 内訳は, 5人の病期I~III, 15人の病期IV, 16人の再発癌からなる. 術後残存は, 19人の原発巣 (7人顕微鏡的, 12人肉眼的) と8人のリンパ節残存 (5人顕微鏡的, 3人肉眼的) があった. 術後照射は, 平均で52Gy125分割135日間であった. 全5年生存率と5年無再発生存率は, 各々38%と21%であった. 20人の再発は6ヶ月以内であったが, 4人においては4年前後に原発巣に再発した. 再発にかかわる因子は, 術後残存度及びリンパ節陽性数であった. 残存腫瘍に対する制御率は, 原発巣では5116人 (31%), リンパ節2/5人, 両者残存では3人中全例再発した. リンパ節転移のない9症例の内, 原発巣のみの照射で, 照射野内再発は3例あったが, 照射野外再発はなかった. リンパ節陽性例で完全に摘出され原発巣も残存のない場合, 原発巣を照射野外にした5例中4例が原発巣に再発したが, 原発巣も照射した4例では原発巣に再発はなかった (p<0.05). リンパ節陽性例で完全摘出され原発巣に残存がある10例では, 主に原発巣に照射されたが, 4名の頸部リンパ節再発の内3名が照射野外であった. 下頸部照射9例には, 照射野リンパ節再発はみられなかった. しかし, 照射野外再発率は, 患側頸部のみの照射と両側頸部の照射で統計的な違いはみられなかった.
    結論; 術後腫瘍の残存度に従った照射野の設定は局所領域再発の制御に重要である. リンパ節転移のない場合では, 患者のQOLからみても原発巣のみへの照射で良いが, リンパ節陽性例では原発巣も含み下頸部までの照射が必要であろう. しかし, 両側頸部照射の必要性はみいだせなく, 患側のみの照射で充分であるかもしれない.
  • 鹿間 直人, 小口 正彦, 篠田 充功, 西川 敦, 曽根 脩輔, 岡嵜 洋一, 荒川 和清, 廣川 裕
    2000 年 12 巻 1 号 p. 67-72
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1995年から98年までに我々の施設で外照射および腔内照射を併用して治療した食道表在癌は20例であった. 年令の中央値は75才で, 16例で肝硬変や慢性腎不全などの合併症を認めた. m癌が3例で, sm癌が17例であった. 外照射40-60Gy/20-30回と腔内照射10-18Gy/4-8回で治療し, 2年累積生存率および無病生存率は90%, 94%であった. 急性期の食道炎は比較的軽度であり, ほとんどの症例でRTOG Acute Radiation Morbidity Scohng ChteriaのスコアでGrade 0または1であった. 急性期の有害反応の発生のために照射休止を 要した症例はなく, 全例で治療を完遂することができた. 1例で照射終了後にGrade 2の放射線肺臓炎を認めたが, 外来にてステロイドの投与にて改善した. 局所再発した2例を除く18例の食道の遅発性放射線反応は, RTOG/EORTC Late Radiation Morbidity Scoring Schemeのスコアで14例 (78%) がGrade 0であり, 4例 (22%) がGrade 1と評価された. 食道狭窄や潰瘍, 出血, 穿孔などの重篤な反応は見られていない.
  • 永野 尚登, 藤野 英世, 中山 敏, 田之畑 一則, 松原 升
    2000 年 12 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    ガンマナイフ治療により, 聴神経腫瘍は, 早期に一過性に増大した後, 次第に縮小して行くとされている. この変化を3係数よりなる数学的モデル式で表現した. また線量容積分布との関係を検討した. 対象は1992年から5年間に当院にて治療した151例のうち, MRIによる体積測定 (3画像以上に腫瘍影を認める) が5回以上なされ, その観測期間が12月以上であった84 (男35, 女49) 例で, 周辺, 平均, 最大線量 (±2SD) はそれぞれ13.9±3.1, 18.6±4.2, 28.6±7.5Gy, 治療時腫瘍体積は5.5±9.3cm3であった. 3パラメータの分析から16例の不変群, 41例の急性期増大群, 27例の亜急性期増大群が群別できた. 俊足腫大即効型の第2群では, 平均時定数0.3月で治療後すぐにピークに達した後, 平均時定数23月の速さで順調に縮小する. 鈍重膨大遅効型の第3群ではこれら2つの平均時定数は1月, 43月であった. 更に第3群では増大程度の大きいものが多く, 急性期増大群の約3倍の増大率を示した. 判別分析によれば66%の正答率で26Gy以上の照射体積の小さいものが急性期増大群に多い (p<0.0426). 必要以上に照射線量を増加すると鈍重膨大遅効型となり, 有効性に乏しい治療になると考えられる.
  • 3週間での6分割HDRと3分割LDR
    神宮 賢一, 秋田 雄三, 大曲 淳一, 島村 易, 田原 隆, 吉村 恵, 和田 進, 松井 正典, 中村 和正, 寺嶋 廣美, 増田 康 ...
    2000 年 12 巻 1 号 p. 79-88
    発行日: 2000/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    TandemとOvoidによる腔内照射を行った子宮頸癌新鮮144例中, 腔内照射が低線量率 (LDR) でA点に45-55Gy13分割13週照射された84例と, 高線量率 (HDR) で30Gy16分割/3週照射された60例の, 腔内照射によるICRU直腸線量を算出した. 外照射線量毎の, 直腸線量での放医研分類2度以上の直腸障害発生率を算出し, S字状曲線を作成した.
    S字曲線から求めた10%直腸障害線量は, 外照射0GyでHDR: 41Gy, LDR: 51Gyとなり, 線量率効果比LDRIHDRは1.24となった. 同様に外照射10Gyでは, 1.17, 20Gyでは1.23, 21Gyでは1.26となった. 外照射0Gyから20Gyまでを纏めても1.24であった.
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