The Journal of JASTRO
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12 巻, 4 号
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  • 中村 和正, 増田 康治
    2000 年 12 巻 4 号 p. 285-291
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    血液内科を中心とした造血幹細胞移植の発達により, これまで予後不良と考えられていた一部の非ホジキンリンパ腫症例にも治癒が得られるようになった. そのため, 非ホジキンリンパ腫の治療においては, 骨髄移植を含めた化学療法の発展に多くの関心が寄せられているが, 放射線治療の果たす役割は依然重要である. ここでは, 九州大学大学院臨床放射線科において, 過去15年間に治療を行った非ホジキンリンパ腫症例より得られた知見を紹介し, 他の報告と比較しながら放射線科の役割について考察する.
  • 豊田 達也, 青木 幸昌, 小塚 拓洋, 小野木 雄三, 中川 恵一, 佐々木 康人
    2000 年 12 巻 4 号 p. 293-305
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    放射線科病棟で電子カルテシステムを構築し, 放射線治療目的で入院した患者の治療経過を, 電子カルテを用いて記載して, 電子カルテシステムの有用性の検討を行った. 電子カルテを使った場合と, 従来の紙のカルテを使って記載した場合と, カルテを読む立場から比較検討を行った. 治療経過に関する必要事項を確認しながら, 入院中のカルテを読む時間の計測を行い, 電子カルテと紙のカルテの比較検討を行った. 治療経過の必要事項を決めるにあたっては, 放射線腫瘍学会のデータベース (放射線治療病歴記録) の項目を参考とした.
    その結果, カルテを読む時間の平均値は, 電子カルテでは130.0秒, 紙のカルテでは249.9秒であった. t検定のp値は0.0001で, 電子カルテと紙のカルテの間に有意差が見られ, 電子カルテの方が有意に短かった. 原発部位, 外部照射病巣の記載に関しては, 記載頻度に有意な差は認められなかった. 治療方法の記載に関しては, 記載頻度は同じであった. 治療経過の必要事項として選択した記載内容の差の評価では, 有意な差は認められなかった.
  • 濱本 泰, 新野 恵司, 吉野 雅成, 板垣 孝知, 山口 昂一, 吉澤 信夫, 高橋 晃治, 渡会 二郎
    2000 年 12 巻 4 号 p. 307-313
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    口腔vemlcous carcinomaの放射線治療の経験に文献的考察を加えて, 放射線治療の有用性について検討した.
    対象は1986年~1998年に山形大学医学部附属病院で放射線治療を施行した口腔verrucous carcinoma8例 (TlNO: 1例, T2NO: 3例, T3NO: 1例, T4NO: 2例, 全摘後の局所再発症例: 1例) である. 原則として1回線量2.5Gyで週5回照射した. 根治目的で照射した症例は治療中断例を含め6例であり, 照射線量は20Gy/8分割~60Gy/24分割 (中央値47.5Gy) であった. 術前照射の2例では25Gy/10分割の照射を行った.
    根治目的で照射した6例全例でCRが得られたが, 2例で局所再発がみられた. 45Gy以上照射した5例のうちでは4例で局所制御されており, 局所再発した1例では扁平上皮癌が局所再発した. リンパ節転移を来たした症例はなかった.
    vemcous carcinomaは, 放射線感受性がかなり良好な症例も多く, 放射線治療が根治治療となり得る可能性があると考えられた. 感受性が非常に良好な症例では15~20Gyで腫瘍が肉眼的にほぼ消失したが, このような症例でも扁平上皮癌の根治線量程度の照射を行った方がよいと思われた.
  • リアルタイムCT透視ガイドと画像をもとにした治療計画
    桜井 英幸, 三橋 紀夫, 村松 博之, 秋元 哲夫, 石川 仁, 黒崎 弘正, 斉藤 淳一, 中山 優子, 早川 和重, 新部 英男
    2000 年 12 巻 4 号 p. 315-326
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    局所再発直腸癌に対し, リアルタイムCT透視を用いた照射針刺入とCT画像をもとにした治療計画による高線量率組織内照射法の開発を目的として, 9例に本法を施行した.照射針刺入は, CT画像をリアルタイムで再構成可能なヘリカルCTを用いた. 術者はCTガントリーに隣接したビデオモニターにより照射針刺入の過程をリアルタイムに見ることができた. その後CT画像は照射針および主要臓器の輪郭を再構成可能な治療計画用CTにオンラインで転送され, PTVに対する線量は最適化された. 一回5Gyの連日多分割照射法で総線量30から50Gyの照射を行った. 個々の症例に対し13から36本 (平均19.1本) の照射針がPTvに対し刺入可能であった. CT透視の時間は一例あたり平均370.1秒であった. 照射針刺入時のトラブルは認められなかった. 針抜去後に腓骨神経不全麻痺が明らかとなった一例があったが, 徐々に回復した. CTをもとにした治療計画は従来のX線写真をもとにしたものよりも, 迅速で正確であった. DVHの解析では, 線量分布は腫瘍に限局し, 周囲の正常組織への影響の少ない照射が可能であることが示唆された. リアルタイムCT透視により安全で正確な照射針刺入が可能になった. CTをもとにした治療計画による高線量率組織内照射は局所再発直腸癌に対する有用な治療法となる可能性がある.
  • 平塚 純一, 常 義政, 余田 栄作, 長瀬 尚巳, 成廣 直正, 久保田 壽一, 田中 啓幹, 今城 吉成
    2000 年 12 巻 4 号 p. 327-335
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】限局性前立腺癌に対する外照射併用高線量率組織内照射治療の初期成績として, 治療後のPSA値の推移と治療後18ヶ月目に施行した生検結果を中心に報告する.
    【対象と方法】対象は1997年10月から1999年8月の期間に限局性前立腺癌と診断され当科で外照射併用高線量率組織内照射治療を施行した39症例である. 平均年齢は, 69.7歳 (58歳~82歳) である. 病期分類はTlc: 7例, T2: 21例, T3: 11例, そして治療前PSA値の平均は, 35.9ng/ml (中央値: 13.2ng/ml) で30症例が10ng/ml以上であった. 17症例が, 放射線治療前にホルモン治療を受けていたが, 全例とも放射線治療後にホルモン治療は, 併用していない. 治療内容は, 小骨盤部への外照射 (4門照射) で45Gy/25回を配分し, それに加えてマイクロセレクトロンによる高線量率組織内照射: 5.5Gy×3回/30時間を施行している. 治療評価として以下の3つを定義した. Biochemical failure: 臨床的評価で局所・遠隔とも再発所見がなくPSA値が1.5 ng/ml以上で連続3回上昇する場合24), 25). Clinical failure: 臨床的に再発所見を認めた場合. Biopsy failure (18M): PSA値は正常に推移し, 臨床的評価でも再発所見がないにもかかわらず18ヶ月後の前立腺生検で癌細胞を認める場合. 最終評価は, 2000年5月に行ない, 経過観察期間は, 放射線治療終了時を起点として, 9~31ヶ月 (平均: 20.1ヶ月, 中央値: 19.6ヶ月) である.
    【結果】9~31ケ月の観察期間で, 最新のPSA値が, 2.0ng/ml以下になっている症例は, 36例 (92%), その内26例 (67%) は, 1.0ng/ml以下のレベルを示している. 39例の治療評価は, 遠隔転移を認めたClinical failure 1例 (3%: 1/39) を除き38例でBiochemical failureは認めなかった. そしてBiopsy failure (18M) は1例 (7%: 1/15) であった. 有害事象に関しても, ほとんど認められず, 高齢者にも十分耐え得る治療法であった.
    【結語】今回の初期治療成績の結果は, 観察期間が短く, 特に晩期有害事象に関し断定的な結論は言えないが, 本治療法の有効性を強く支持するものと考える.
  • 井上 武宏, 稲邑 清也, 原内 一, 安藤 裕, 梅田 徳男, 手島 昭樹, 永田 靖, 菱川 良夫, 福久 健二郎, 河内 清光, 西尾 ...
    2000 年 12 巻 4 号 p. 337-341
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】放射線腫瘍学広域データベース (Radiation Oncology Greater Area Database (ROGAD)) の第1次から第7次登録患者のなかで頭頸部癌のデータ解析結果を報告する.
    【方法と対象】頭頸部原発の症例は1,311例 (14.6%) であった. 部位分類で最も多いのは喉頭の28%であり, 次に舌, 中咽頭および下咽頭がそれぞれ11%, 副鼻腔10%, 上咽頭9%, その他22%であった.
    【結果】各入力項目についてデータを検討すると平均で10%に未入力があった. 病期分類では0期が0.5%, I期18%, II期17%, III期14%, IV期33%, 不明と意味不明 (X) 1%, 未入力18%であった. 病理分類では扁平上皮癌が78%, 腺癌2%, 腺様のう胞癌2%, 悪性リンパ腫7%, その他7%, 未入力3%であった. 扁平上皮癌に限定しても病期が未入力の症例が15%に認められた.
    【考察】ROGADでの一番の問題点はデータの欠損である. 例えば扁平上皮癌の患者のうち15%で病期が未入力であった. 誤入力と考えられるデータも認められた. ROGADの登録システムを導入することによって初めてデータベースを作った施設も多いと思われる. 現在までに入力されたデータは未入力や誤入力が多く, データ全体の信頼性に疑問が生じる. これまでのデータ入力の問題点を各施設にフィードバックし, 今後のデータ入力の精度向上をはかるべきであろう.
  • 肺癌
    永田 靖, 原内 一, 稲邑 清也, 手島 昭樹, 井上 武宏, 菱川 良夫, 安藤 裕, 福久 健二郎, 梅田 徳男, 河内 清光, 西尾 ...
    2000 年 12 巻 4 号 p. 343-350
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1991年に「放射線腫瘍学データベースの構築」のグループ活動が開始されて, 9年間が経過した. 本報告は, その中で登録数が最多であった「肺癌」に注目して, そのデータの解析を行い, 国内での肺癌治療の現状と問題点を検討する.
    本報告は1992年から1998年までの第2-8次のデータ集積結果の内, 臓器単位では最多であった肺癌症例2,082例の集積結果である.
    患者の性別は男性1,584名 (76%), 女性498名 (24%) であった. 年齢分布は, 最頻が60歳台で36%, 次いで70歳台で27%, 50歳台で17%であった, また最高齢は87歳であった.
    患者の病期分類は1期が6%, II期が5%, III期が34%, IV期が54%であった.
    組織分類は, 腺癌が35.1%, 扁平上皮癌が26.4%, 小細胞癌が14.3%, 大細胞癌が3.3%であった.
    治療方法は, 放射線治療単独が52%, 放射線+化学療法が31%, 放射線+手術療法が10%, 放射線+化学+手術療法が4%であった.
    治療対象病巣は, 原発巣のみが16%, リンパ節のみが9%, 転移のみが37%, 原発+転移が28%, その他が10%であった.
    治療方針は, 根治目的が24%, 準根治目的が11%, 対症目的が27%, 姑息目的が37%であった.
    2-7次のデータの追跡調査に基づく1,775例のうち, 転移なし876症例に限定してみると累積生存率はKaplan-Miere法を用いて, 脱落症例を生存ないし死亡と仮定した場合, 1年が86.7%-36.8%, 2年が73.6%-18.2%, 3年が59.6%-11.2%, 5年が40.1%-7.0%とかなり広い幅で算出された.
    データ欠損率の割合は, 組織型のGradeが88%と最頻であった. T分類は17%, N分類は18%, M分類は12%, S tage分類は14%欠損していた. 治療の一時効果も11%, 合併症も16%と欠損率が高く, また合併症の部位は, 自由記載方式であったために記載に混乱が見られた.
    JASTROデータベースは, 今回の検討課題を参考にして, データベース入力項目の再検討と, データ登録者への継続的な啓蒙活動が必要であると考えられた.
  • 安藤 裕, 稲邑 清也, 原内 一, 手島 昭樹, 井上 武宏, 永田 靖, 菱川 良夫, 福久 健二郎, 梅田 徳男, 河内 清光, 西尾 ...
    2000 年 12 巻 4 号 p. 351-358
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1992年11月から1998年12月までにJASTRO広域データベース (ROGAD) に登録された1,130例の乳癌症例について臨床評価を行った. 治療の対象となった病期はIV期が一番多く約37%を示し, 治療方針は根治+準根治が約60%, 対症および姑息がそれぞれ約20%であった. データベースの記載では, 項目によるばらつきが多く, 未記入・誤記入合わせて平均約9%あった. 治療前後のPerformance Statusを比べるとPS2から4では, 改善が約3割から5割認められた. このような広域データベースを構築することにより, 記入者に対する教育的な効果や学会に対する政策的な価値があると考えられる.
  • 手島 昭樹, 永田 靖, 菱川 良夫, 安藤 裕, 福久 健二郎, 梅田 徳男, 井上 武宏, 原内 一, 稲邑 清也, 河内 清光, 西尾 ...
    2000 年 12 巻 4 号 p. 359-364
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1992年11月から1998年12月までにJASTRO広域データベース (ROGAD) に登録された230例の前立腺癌症例について臨床評価を行った. 組織学的低分化例 (G3: 52%) または進行例 (IV期: 73%) が, 多く登録されていた. 骨盤リンパ節領域または前立腺への外部照射線量は65Gy以上が22%であり, 米国PCSのデータ90%に比し未熟であった. 推定年間症例数は過去7年間で2.4倍に増加していた.
  • 治療間誤差
    宇野 隆, 安田 茂雄, 有賀 隆, 磯部 公一, 原 竜介, 町田 南海男, 川上 浩幸, 伊東 久夫
    2000 年 12 巻 4 号 p. 365-370
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    CTシミュレーターをもちいた治療計画における, シミュレーションー治療問の誤差を計測し, 諸因子との相関について検討した. 仮想シミュレーションを行った77症例を対象に, デジタル再構成画像と照合写真とのあいだで, 照射野の照合を行った. アイソセンター位置のずれを肉眼的に計測したうえで, 様々な治療因子との関係を調べた. シミュレーションの時に, アイソセンター位置を体表にマークしていないにもかかわらず, ずれは許容範囲内であった. ずれに影響した因子は, 治療部位と固定具の有無だけであった. また, 治療計画時のCT撮影上の基準点から実際のアイソセンターまでの距離は, ずれの程度と相関しなかった. CTシミュレーションにおいては, アイソセンター位置が決定されるまで患者を寝台上に拘束する必要はないと考えられた.
  • 築山 巌, 片野 進, 清水 秀昭, 野本 由人, 庄司 一寅, 平岡 真寛, 光森 通英, 田中 敬正, 永田 憲司, 不破 信和, 広川 ...
    2000 年 12 巻 4 号 p. 371-377
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
  • 多施設問での比較
    伊東 久夫, 吉田 弘, 菊池 雄三, 晴山 雅人, 兼安 祐子, 茂松 直之, 中野 隆史, 加藤 恵利子, 茶谷 正史, 竹川 佳宏, ...
    2000 年 12 巻 4 号 p. 379-382
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
  • 山田 章吾, 根本 建二, 広川 裕, 晴山 雅人, 永倉 久泰, 西村 恭昌, 早渕 尚文, 小口 正彦, 伊藤 善之, 酒井 邦夫, 大 ...
    2000 年 12 巻 4 号 p. 383-384
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
  • 西台 武弘, 平岡 武, 小幡 康範, 佐方 周防, 田伏 勝義, 森 剛彦
    2000 年 12 巻 4 号 p. 385-388
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
  • 菊池 雄三, 喜多 みどり, 浜島 信之, 晴山 雅人, 根本 建二, 酒井 邦夫, 伊東 久夫, 幡野 和男, 菅原 正, 池田 恢, 唐 ...
    2000 年 12 巻 4 号 p. 389-393
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
  • 頭頸部癌患者
    大川 智彦, 佐々木 武仁, 唐澤 久美子, 母里 知之, 新部 英男, 菅原 正, 兼平 千裕, 斉藤 勉, 高橋 健夫
    2000 年 12 巻 4 号 p. 395-398
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
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