The Journal of JASTRO
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9 巻, 1 号
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  • 高橋 昭久, 大西 武雄
    1997 年9 巻1 号 p. 1-13
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    それぞれの放射線感受性を左右すると報告されているいくつかの癌関連遺伝子についての機能, 特に細胞周期制御能とDNA修復能およびアポトーシス制御能について紹介する. 現段階では放射線感受性を決定する因子として, 細胞周期制御に伴うDNA修復能についての直接的な証明はなく, アポトーシス誘導の方が重要と考えられる. 癌患者のアポトーシスに関わる癌関連遺伝子の検索は放射線治療の適用による予後の予測にも役立つものと考える. しかし放射線治療適用の患者は, アポトーシスに関連する遺伝子群の変異により耐性能を獲得した悪性腫瘍が多いものと考えられるので, 今後, アポトーシスに関わる癌関連遺伝子の検索とともに遺伝子治療の開発が期待される.
  • 真里谷 靖, 渡辺 定雄, 甲藤 敬一, 樽沢 信子, 福田 栄子, 青木 昌彦, 安倍 明, 場崎 潔, 松倉 弘明, 阿部 由直
    1997 年9 巻1 号 p. 15-24
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    当教室で226Ra組織内照射を加えたT1, T2舌癌47例の治療成績と問題点について検討した. また, 舌癌の治療におけるploidyとpotential doubling time (Tpol) の予後予測因子としての意義について検討した. 組織内照射の線量計算は, Paterson-Parker syslemを考慮した上で, 線量分布図を用いて行った. T2症例のうち12例で外照射を併用し, 16例でintensiveな化学療法を併用した. T2N1の4例中3例で頚部郭清術を行った. Ploidyは, ftow cylometryによって解析し, Tpolはbromodeoxyuridineのin vitro標識および免疫組織染色によって得られた. 5年累積生存率は, Tlで92%, T2で91%であった.5年局所制御率は, Tlで86%, T2で88%であった. 化学療法および外照射併用例の治療成績が不良となる傾向がみられた. これらの先行による“downstaging” は, geographical missを惹起する可能性があると考えられた. Tpotの臨床的意義は明らかでなかった. しかし, ploidyは治療効果や潜在性頚部リンパ節転移の予測因子として有用と思われた. 今後, 生物学的因子を考慮した治療方針の決定や線量分布に基づく組織内照射の最適化などが必要と考えられる
  • 青木 昌彦, 渡辺 定雄, 真里谷 靖, 樽澤 信子, 福田 栄子, 安倍 明, 場崎 潔, 松倉 弘明, 甲藤 敬一, 阿部 由直
    1997 年9 巻1 号 p. 25-35
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    SRTに関しては多くの施設から臨床データが報告されているが, 標準的な分割法はないのが現状と思われる. 今回, われわれは, 自施設で行っている30Gy/3分割によるSRTの治療成績について検討したので報告する. 1992年2月から1995年3月まで, 10MVライナックX線を用い, 41症例 (脳動静脈奇形7病変, 脳腫瘍41病変) に対してSRTを行った.対象症例の年齢は3-80歳, 平均47.4歳で, 観察期間は35-46.1ヵ月, 平均16.7ヵ月であった. 線量は主に30Gy/3分割/3日, 術式は多方向の振り子照射の組み合わせとし, 照射野は1×1-3×3cmの矩形であった. 頭部は自作の3ピースシェルを麻酔なしで固定した. 線量計算は三次元放射線治療計画用システム (フォーカス) を用いた. すべての患者に少なくとも1回の画像診断と臨床検査が行われた. AVM7例中4例にnidusの縮小, 良性脳腫瘍21例中9例および悪性脳腫瘍13例中9例に消失-部分的縮小を認めた. 14例は不変であったが, 観察期間が短い症例が含まれていた. 5例 (星細胞腫3例, 髄膜腫1例, 頭蓋咽頭腫1例) に腫瘍の増大が見られた. 軽度の合併症と考えられる症候性脳浮腫が大脳鎌髄膜腫の1例にのみ認められた. 腫瘍の制御や正常組織の晩期障害に関しては更なる検討を要するが, われわれの初期治療成績は, 30Gy/3分割による定位脳照射が安全かつ有効な方法であることを示唆した.
  • 村上 昌雄, 黒田 康正, 岡本 欣晃, 河野 康一, 余田 栄作, 森 岳樹
    1997 年9 巻1 号 p. 37-44
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    脳転移に対する放射線治療の報告は多いが, 最適な治療法の選択に関しては未だ検討の余地がある. 中枢神経系の転移の診断法の発達にともない, 治療上の諸問題を再検討する必要がある. 我々は全脳照射を行った小細胞肺癌脳転移67例のうち, 15例に照射後の脳再発をみとめた. CT, MRIを用いた検討から, 脳再発様式には初回脳転移巣と同じ部位に再発した再燃と, 初回脳転移巣と異なる部位に再発した再脳転移の2つの様式があることを確認した.
    (1) 初回脳転移治療時を起点とした予後を比較すると, 15例の脳再発例/52例の非脳再発例の1, 2年生存率はそれぞれ, 47/19%, 13/8%で, MSTは10.8/5.7ケ月であり, 前者が明らかに後者より予後良好であった.
    (2) 15例の脳再発の内訳は, 4例が再燃であり, 11例が再脳転移であった. 初回脳転移の奏効期間は再燃例は172±94.4日, 再脳転移例は393-281日であった.再脳転移例は再燃例に比較して初回脳転移数が少なく, LDH値も低値であった.
    (3) 脳再発を来した時点で, 11例は癌性髄膜炎を併発していた. 4例には再度の脳照射を行った. 全例が癌死したが, 12例は脳転移, 癌性髄膜炎が死因となり, 3例は胸部再発, 肝転移が死因となった. なお, 2例に白質脳症を認めた. 脳再発を起点とした予後は2-238日であり, 脳再発様式による予後の差は認められなかった. 小細胞肺癌の脳転移に関しては, 通常分割照射 (平均47Gy) を行った場合の脳再発の約3/4は再脳転移であることから, 脳転移だけが遠隔転移巣であるような症例に対しては, 転移巣の制御を目標にした50Gy以上の通常分割照射を行うべきであると考えている.
  • ルビエールリンパ節領域照射の適応について
    楮本 智子, 砂倉 瑞良, 加藤 真吾, 中島 哲夫, 竹生田 勝次, 西嶌 渡
    1997 年9 巻1 号 p. 45-54
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1982年7月から1994年3月の間に埼玉県立がんセンターにおいて手術をおこなった下咽頭扁平上皮癌一次治療例70例のうち, 術後照射をおこなった22例を対象とした (皿期3例, rv期19例). 術後照射例の3年生存率は27.3%, 3年局所領域制御率は33.7%であった. 局所領域内再発は13例15部位で認められたが, 部位としては, 原発巣切除端近傍の他, ルビエール (咽後) リンパ節領域再発が多かった. 咽頭喉頭頚部食道摘出術, および根本的頚部郭清術という侵襲の大きな根治術施行後であることを考え, 中咽頭側への腫瘍進展例をのぞき, 従来, 術後照射は上内深頚リンパ節領域を上端とする照射野をもちいていた. 術後照射例のうち6例でルビエールリンパ節再発が認められた.そのうち4例は手術標本で多数の頚部リンパ節転移を有していた. 手術単独治療例48例も含め, ルビエール領域非照射例, 照射例について検討したところ, 複数個の頚部リンパ節転移を有し, かつルビエール領域への照射を施行していなかった28例では, 6例 (6/28二21.4%) にルビエール (咽後) リンパ節再発が認められた. 転移頚部リンパ節の個数が6個以上のものでは, さらにルビエール領域再発率が高かった. 中咽頭側への腫瘍進展例では原則としてルビエール領域 (上咽頭後壁) までの照射をおこなったが, 30Gy照射した照射野内から再発をきたした例が認められた. 40Gy以上投与したルビエール領域には辺縁部再発をのぞき, 再発は認められなかった. すなわち, 下咽頭癌術後照射例において, 原発巣の腫瘍進展が中咽頭におよぶ例, および組織学的に複数個の頚部リンパ節転移が認められる例では上咽頭後壁まで40Gy以上の照射がのぞましく, リンパ節転移の個数が6個以上の症例では同部への照射は必須であると考えられた.
  • 不破 信和, 伊藤 善之, 加藤 恵理子, 鎌田 実, 菊池 雄三, 森田 皓三
    1997 年9 巻1 号 p. 55-61
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    背景; 肺癌に対する気管支腔内照射は症状寛解のための姑息的照射として始められ, その有用性についてはすでに明らかにされている. しかしながらその根治治療における役割についてはまだ明らかにされていない. 本研究の目的は気管支腔内照射により長期生存した症例を分析し, 根治治療としての役割について検討することである.
    方法; 対象とした症例は1987年2月から1993年12月までに192 Iridiumによる低線量率腔内照射を施行した41症例でその内訳は肺門部早期例が17例, 術後再発例が13例, 進行例7例, 気管癌4例である. 腔内照射は当施設で開発したスペーサ付カテーテルを用い, 週1~2回施行し, 1回の投与線量は気管支粘膜面で5~7Gy投与した. 外照射は1例を除き併用した.
    結果; 局所再発は早期例では2例に, 術後例では4例に, 進行例では5例に認められた. 3年以上の無病生存例は肺門部早期例6例, 術後例5例, 気管癌1例の計12例に得られた. 障害は気道内出血, 気管支粘膜の潰瘍を各1例ずつ認めた.
    結語; 肺門部早期例および術後再発例の一部は腔内照射により充分根治させうることが示された. 腔内照射は姑息的治療ばかりでなく, 根治治療としても有用である.
  • 併用治療の有効性の検討
    村田 貴史, 藤井 郁三, 吉野 雅成, 永田 憲司, 今村 正浩, 宇田 光伸, 山本 敬三, 田中 敬正
    1997 年9 巻1 号 p. 63-71
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1989年から1995年6月までに47例 (男性36例, 女性11例) の直腸癌の骨盤内再発に対して, 放射線治療および化学療法, 温熱療法を併用して治療をおこなった. 今回, 併用治療の有効性, 副作用について検討した.
    各治療施行例は, 放射線治療17例, 化学療法併用例18例, 温熱療法併用12例であった. 年齢, 初回手術時の病期などの患者背景に3つの治療法では差は見られなかった. 放射線治療は, 全骨盤腔 (内腸骨動脈, 仙骨前を主体) に平均45.5Gyを施行した (一回線量1.5-2Gy). 化学療法は経口5-FU製剤 (11例) またはCDDP, ADMを照射中に一回の投与を施行した. 温熱療法は平均4.5回 (3-6回) 施行した.
    30Gy以上照射した45症例での治療の最大腫瘍効果は56.8%(PR例25例) であり, 放射線治療, 化学療法併用, 温熱療法併用で各43.8%, 69.4%, 58.3%であった. 腫瘍径5cm以下を対象とした化学療法併用は, 放射線治療単独に比べて有効であった (P<0.01). また50Gy以上の放射線照射例では化学療法, 温熱療法の併用により最大腫瘍効果が上昇した (p<0.05).
    疼痛の改善は, 有痛例29例中22例75.9%(各78%, 87.5%, 70%) に認めた. 各併用治療の間に有意な差は認められなかった. しかし, 無再燃中間期間は放射線治療4ヵ月, 化学療法では6ヵ月, 温熱療法では7ヵ月であり, 併用療法で延長した (P<0.05). 中間生存期間は各群で6ヵ月, 10ヵ月, 7ヵ月であり, PR例, 5cm以下での腫瘍でも放射線単独と併用療法の間には差が見られなかった. しかし, 50Gy以上の照射例では温熱療法併用により生存期間の延長が見られた (p<0, 05).
    副作用は25%, 4例 (各17.6%, 27.8%,;33.3%) に現われ, 併用療法で発現率が高くなった (P<0.05). 原発病巣の術直後の合併症を既往に見た14例では8例, 57%に腸管への副作用が高率に現われた (P<0.001).
    5cm以下の腫瘍における化学療法の併用, 50Gy以上の照射と温熱療法の併用による適切な治療の選択は苦痛の改善による患者のQOLの向上と生存の延長に役立つと思われた.反面, 併用療法で副作用の発現は増加し, 副作用の予防のためには併用療法の有無にかかわらず十分な初回手術後合併症の既往の確認と治療前の腎の状態, 腸管の位置, そして化学療法での障害増強の可能性の認識および温熱療法での加温技術の向上が必要であると考えられた.
  • 江部 和勇, 松永 尚文
    1997 年9 巻1 号 p. 73-78
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】 子宮頸癌小線源腔内照射において、MR画像に線量分布図を重ね合せ、各組織における線量を視覚的に読み取る方法を開発したので、その方法及び手技に関して報告する。【方法】 子宮頸癌患者6人を対象とした。作製したMRI対応アプリケータを患者に装着後、MRIを施行する。タンデムアプリケータに平行に、ターボスピンエコー法及びHASTE法にて撮像する。HASTEデータをMIP処理後、アプリケータの三次元画像を作成する。そのうち正面像と側面像を選択する。その2枚の画像上に線源位置をデザインして、線量分布図を作成する。タンデムアプリケータ軸上のターボスピンエコー像と同一断面の線量分布図を重ね合せ、腫瘍及び周辺組織の線量を視覚的に読み取る。【結果】 患者6人ともに、タンデム同軸上のT2強調矢状断像と、それと同一平面上の線量分布図を重ね合せることで、腫瘍はもとより正常組織 (膀胱、直腸) の線量分布を視覚的にとらえることが可能となった。【結論】 従来、X線シミュレーション写真を用いて、A点、B点で線量評価がなされているが、本法は新しい放射線治療計画の一助になると思われる。
  • 鬼塚 昌彦, 早渕 尚文
    1997 年9 巻1 号 p. 79-84
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1996年1月に, ポジキン病に対するマントル照射におけるいくつか因子に関する8項目について郵送によるアンケート調査を行った. 64施設から寄せられた回答の集計を行った結果, 日本の現状が把握できた. 米国のPattem of Care Studyの同様な調査結果との比較から, 日本の現状は調査項目のほとんどで劣る事が示された. 併せて文献的考察を行いマントル照射における問題点を指摘した.
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